時空の狭間で見る夢
えーん……えーん………
遠くから声が聞こえる。
えーん………えーん………
子供の泣く声みたいだ。
えーん………………えーん………………………
その泣き声が、だんだんと小さく、弱々しいものになっていく。
なんだろう。
なんで泣いているのかな。
余程悲しいことがあったのだろうか。
………………………………………………………………
ぼんやりと何もしないでいる内に、泣き声は沈黙へと変わる。
いや、いつの間にか沈黙に変わっていた、という方が正しいか。
けれども。
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その“沈黙”という“声”は、涙は、本当はまだ涸れていないのだ。
それが分かる。
まだ、泣いているのだと。
そう思ったら、自然と。
どうしたんだい。
おいで。
僕は何となく呼びかけた。呼び込んだ。
不思議だろう?
僕も、自分がどうしてそのような行動に出たのかは分からない。
けれども、やはり何となく。
本当に、ただ何となく、僕は手を伸ばしておいたのだ。
ほんのわずかな同情とか、興味関心とか、何かに利用できないかという打算………普段の僕なら、その辺りだと解釈できたかもしれないけれど、どうやら今の僕のこの行動は、そのどれでもないみたいだ。
「うわ遠慮なく引っ張るね君」
小さな手に力任せに引っ張られることで、僕の意識はだんだんと浮上していく。
長い眠りから、ゆっくりと目覚めるかのように―――。