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桜が散る朝へ  作者: 夜桜
2/2

播谷美咲は頭痛が痛い 参謀編ep:1 御前会議

今回は説明会と思っていただければ

会話文以外が難しい

「それでは御前会議を初めさせていただきます。本日の議題は大天武帝国の今後の方針を決めます。司会進行は播谷美咲が務めさせてもらいます。」

重々しい空気の中、会議が始まった。

「まずは内閣からの方針はどのような内容でしょうか」

「はい、内閣としては国内の立て直しを最も重視すべき部分だと考えています。現在は前年の震災の被害と世界恐慌の影響で非常に不安定です。多くの企業が倒産し、失業者が急上昇、震災の影響で大凶作です。このことから国内の立て直しが先決だと考えております。」

これを聞き、大倉陸軍大将は鼻で笑った。

「冗談を言わないでください、杉田総理。今までそんな機会いくらでもあったでしょう。そんな体たらくだから、内閣の期待が下がり陸軍への期待が高まるんですよ。」

「それにそこまで立て直したいのであればまず、財閥をどうにかするのが先でしょう。」

「それまでです、大倉大将。今は国の今後の方針を決める場です。」

あまりにも行き過ぎた発言に美咲は司会として止めに入った。

「そうでした、失礼しました。」

今まで何も発していなかった寺岡空軍大将が大倉大将の方を睨んだ。

「陸軍にはどのようなお考えなのですか。場合によっては我々空軍、いや空軍、海軍にも関係があるのではっきりとしたものをお聞きしたいです。」

寺岡大将に呼応するように米山海軍大将も意見する。

「そうです!突然作戦を変えられて困るのは我々なんです。はっきりとした意見があるんですよね?」

「当然です。陸軍の方針としては周国の傀儡化を提案させていただきます。」

周りが眉を潜めている中、大倉大将が不敵な笑みを浮かべながらそう言った。

「現在の周国は内部分裂が多発しとても不安定な状態です。そこに我が国が参戦し、制圧すれば膨大な資源を手に入ります。更に周国の広大な工業地帯、沿岸部を手に入れることで我が国の経済を回復することができるでしょう。」

「わかりました。海軍、空軍はいかがでしょうか?」

米山大将が寺岡大将に耳打ちをする。

「海空軍としては資源を手に入れることは賛成なのですが、どうやってあの広大な周国を攻略するつもりなのですか?」

「周国は時代遅れな兵器しか持っていません。そして内部分裂で更に戦力が低下しています。一度どこかを突破できればたちまち敗走していくでしょう。現に天海事件のときは半年ももたずに敗走しました。」

「そういえば美咲大将。」

急に自分の名前を呼ばれ美咲の体がビクリと震える。

「何でしょう」

「君は確か天海に侵攻していたな。」

「...はい、そうですが。」

「それなら私が言っていることがわかるはずだと思うのだが。」

大倉大将が同意を強要するような目で美咲を見ている。

「理解はできますがあのときとは全くと行っていいほど状況が違います。」

美咲は肯定すると思っていた(だろう)大倉大将からとてつもなく視線を感じたがフルシカトし、話を続ける。

「それに今周国と戦争すると他国に参戦理由を与えてしまう可能性が高いです。私としては周国との戦争は避けるべきだと考えています。」

「未開の地が多くインフラが最悪な周国での戦争は対策なしでは相当な痛手を負うことになるでしょう。それに魔法の技術は我が国に引けをとりません。それでもまだ周国との戦争を検討なさりますか?」

大倉大将はぐうの音も出ず、黙り込んでしまった。そして少しの間、会議室に沈黙が流れた。その沈黙を破ったのは寺岡大将だった。

「なら、美咲大将。あなたならこの現状をどう打開されますか?我が国は他の列強とは違い、資源が乏しい。ゲルノアやアデルトは植民地との貿易で経済を回しています。列強に対抗するために戦争して領土を奪うこと自体は悪手ではないと思うのですが」

全員の視線が美咲の方へと向いた。今井大将が周りに気づかれないように合図をしている。美咲は事前に今井大将と話し合っていた内容を思い出して、落ち着いて話し始めた。

「まず私なら列強にならい、経済圏の成立させます。そのためにまず天海国、遼古国への経済支援行い、三カ国経済圏を成立させます。」

「...その理由は?」

「天海国、遼古国は農耕、酪農国家です。ですが天海国には鉄鋼などの資源、少しですが石油も取ることができます。なのでこの二カ国を発展させることで安定して資源を手に入れることができます。」

「なるほど、それなら他国に必要以上にお金を払わずすみますね。」

寺岡大将は納得したように頷いていたが、米山大将はどこか納得いっていないようだった。

「しかし、総理が先程おっしゃっておられた失業者達はどうするのですか?」

「天海国、遼古国に移住させ、そこで労働者として雇えばよろしいと考えています。」

「国内の財閥、企業には手をつけないのですか?」

「本来なら率先して国内の経済に目を向けるべきですが、今の我が国は利権まみれです。こちらに時間をかけるぐらいなら...と考えています。」

美咲は想像よりも大将の反応がよく舞い上がってしまいそうになっていた。今井大将と目があうとウィンクをしてきたのでこちらも二人だけの合図をする。

「これは美咲大将が一人でたてたものなのですか?」

「いえ、これはそこの...今井大将と二人で考案したものであります。」

まさか自分の名前が上がると思っていなかった今井大将が目を白黒させているのを見て、美咲は気分がスッキリした。

「といっても美咲大将が大まかな内容を決めて、私は少し肉付けしただけですので」

慌てて立ち上がり資料を落としかけた今井はなんとか持ち直した。

「最後に聞きたいのですが周国はどうするおつもりですか?」

今井大将のお陰で和んでいた空気は大倉大将の疑問によってすぐに張り詰めた空気に変わってしまった。「三カ国経済圏を完成させる事ができたら周国との戦争は必要ないと考えています。」

大倉大将は苛立ち、寺岡、米山大将はどこか安堵するような表情を見せた。

「確かに周国とは小競り合いがずっと続いている状態ですが、いつ正面衝突になるかわかりません。だから正面衝突になる前に和平をむすべきだと思っています。しかし、もし、周国から仕掛けてきた場合は」

「徹底的に叩き潰します。」

「私としてはこの案に賛成なのですが大倉大将、米山大将、杉田総理はどうでしょうか。」

「はい私はそれが良いと思います。」

「もちろん私は賛成です。」

「...私もみなさんが良ければそれで」

やっとこの長かった議会がまとまり美咲は笑顔が零れそうになっていた。いやもしかしたらこぼれていたかもしれない。とにもかくにも方針がやっとまとまり、部屋で休めると美咲は思った。

「では我が国は天海国、遼古国への経済支援を行う方針とします。」

やっと、やっと

「以上を持ちまして本日の御前会議を「大変です!!」」

・・・

「何だ、陛下の御前だぞ!」

「今入った情報によりますと皇道派の青年将校らのクーデターが発生しました!」

「なん...だと..」

驚きで二の句が継げない大倉大将に代わり、美咲が応答する。

「規模は3200名ほど、首謀者は陸軍将校の粟津、太田 下澤らの誰かです!奴らはもう何人かの要人を殺害、更に洞町、祥門街一帯を占拠しています!」

途端に議会はざわめきだす、これだから議会の連中は嫌いなんだっと心の中で悪態をついて気合をいれる。

「おい、今すぐ都内の師団を陸軍省に集めろ。私も今から陸軍省へ向かう。さぁ急げ!」

「はっ」

ふと議会の方を見ると不安そうな面持ちの今井と目があった。美咲は今井にウィンクして足早に陸軍省へと向かっていった。




夜 10:30

「やっっっっっっっと終わったー」

「お疲れ様〜美咲」

あの後、美咲は計四師団をつれてクーデターの鎮圧に向かった。最初こそ善戦していた反乱軍だったが、陛下が激怒しているという情報が流れるとたちまち崩壊していった。将校たちによると「陛下のためになると思い」とか云々カンヌン語っていた。当然陸軍のクーデターなので陸軍内で解決しろということで、結局美咲は今の今までずっと仕事していたのである。ちなみに大倉大将は重要な用事が入ったと颯爽と去っていった。同じ大将でも大倉大将は参謀総長で美咲は参謀次長、そのためいつも何かと面倒事を押し付けられるのである。

「もうつかれた〜しのちゃんおんぶして〜」

しのちゃんとは今井しのぶのあだ名である。彼女は美咲の同期で学生時代からの友人である。今いるここも学生時代からの思いである河川敷だ。

「それは目立ちすぎるからダメ。」

「そんな〜。せっかく御前会議が終わって開放されたと思ったのに!あの瞬間にクーデターすんなよ事前に通達しろよクソがー」

「口が悪すぎるよ美咲ちゃん」

「良いでしょ、どうせここには誰も来ないんでし。」

「そういう問題じゃないよ。」

「じゃぁどういう問題よ」

「そりゃぁ、女の子、だし...」

「なにそれ〜しのちゃん乙女〜」

「やめてよー」

「かわいいかわいい」

「もう知らない!先帰るからね!」

「ごめんてっば〜」

なんだかんだ美咲が坂を上がるまで待ってくれる今井を可愛いと思いながら美咲は宿舎へと帰っていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。「ここはこうしたほうがええやろ」や「ここわかりにくいねん!」、「ここええやん」など意見があればお待ちしております。

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