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忍者恋々  作者: 寺子屋カヤ
2/8

3人目

「ぐう…」

「おい、忍者様をなめるんじゃねーよ、タコ助が」

四郎がB丸の整った髪を手で撫でてぐしゃぐしゃにする。

「っ!縄で縛られているんじゃ…」

「あ?」

陰陽師が自分の顔を背中の四郎の方に向ける。

「なんだよ。こんくらいの縄、抜け出せないんじゃ、忍者って言わないぜ」

四郎が手をひらひらさせながら、不敵に笑う。

「忍者は服にたっくさん隠し袋を持ってろのさ」

いつも間にか、A四郎が棒手裏剣を持っている。

「こーゆー、手裏剣を持っている忍者は腕がいいんだせ?腕が悪ければ悪いほど、手裏剣の刃先の数が増えるんだ」

四郎がさらに体重をかけ、陰陽師が顔をゆがませる。

タン、タン、タン、タンー。

かすかにだんだんと牢屋への階段を下りる足音が聞こえてきた。


「やべっ」

四郎が慌てて切った縄を拾い集め、縄の両端を両手で握り、両手を背中に回す。

四郎の正面からは縛られているように見えるが、後ろから見れば縄を切ったことが分かる。

「私はお前が縄を切ったことを言うぞ」

「はあ⁉」

小さな声で二人が話す。

「誓え。ばらされたくなかったら、後で私の縄を切ると」

「チッ…。分かったよ」

     

「ガチャン」と鍵が開き、「ギィー」と扉が開く。

真っ暗な扉の向こうから、縄で縛られた青年が倒れ込む。

「ガチャン」と鍵がかかる。


新しく入った罪人は牢屋の内側の扉の下に、うつ伏せのまま動かない。

「……」

「……」

「……」

四郎と陰陽師が、お互いの顔を見る。

「おい、大丈夫かい?」

四郎が体に巻いた縄が、はらりと落ちる。自由になった四郎の手が、倒れた男の肩を揺さぶる。

「……」

閉じていた目を開け、ゆっくり起き上がり、四郎と陰陽師の顔を交互に眺める。

「?」

四郎が首をひねる。

「どうか、いたしましたか?」

陰陽師が少し身を乗り出す。

「……」

目覚めたばかりの男はまたゆっくりと、うつ伏せになる。

「ちょい、ちょい、ちょい、ちょい!」

「起きてください!」

四郎が、青年を無理矢理座らせる。

人形のように扱われ、死んだ人のように首を垂れている男は九朗と言った。


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