無事 戻れる
このはなしは ここまでとなります
脅しではないことはわかっている。今のこの考えだって伝わっているのだろう。
こいつらは、人ではない、と再度思ったとき、しゅい、と顔の前にそれが振り落とされた。
「 ―― 覚えておけ。わたしは、みかけによらず、気が短い男だ」
「――・・・・・」
「落ち着けサモン。それじゃあギョウトクも、―― 謝ろうにも頭が下げられねえ」
ぶっとい刀はしまっておけ、というひどくしわがれた声に、ようやく坊主は両手をついて、頭をさげた。
「まあ、ウワサ、だ。噂。 あ、そうそう。おまえ、戻ったらちゃんと、『噂』、訂正しておけよ。わしに謝りにきても、―― 無事、戻れるってな」
とたん、ひれ伏した坊主の顔からいきなり血が滴り落ちる。
押さえた坊主は顔を上げて、薄布のむこうを見据えた。
「ほお。せっかくの男前に、ひでえことすんなあ。カマイタチは役神のくせに、手が早くていけねえ。でも、―― しかたねえか。 あいつらも、妖物みてえなもんだからなあ・・・」
ふありと、薄布が一際ゆれると、音もなくそれがむこうから這い出した。
のたりとうねる太く長い胴は、ギョウトクをぐるりと囲んでも、まだ布のぬこうに体を残しているようだ。
鈍く光った鱗で覆われた体の、ちいさな頭がぐうと持ちあがりこちらを見おろす。
生臭く荒い息をもらす、 『 おのれと同じ顔 』 が、しゃべった。
「 ―― 妖物じゃあ、しかたねえよなあ? そういうことだよ なあ、 ギョウトク?」
自分と同じ笑い声が降る中、坊主はただ、頭を下げ続けた。
―― ゆらぎて さて
つぎなるは ――
いやなはなしに、最後までおつきあいくださった方、目をとめてくださったかた、ありがとうございます! 先は、すこしは明るいはずです・・・
よろしければこりずにおつきあいください。。。




