表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― ゆらぐ噺 ―  作者: ぽすしち
 ゆらぎ やむ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/53

なにゆえ



  

    ― ゆらぎ やむ ―





  

 薄布のむこうに気配はあるが、やはり人ではないなとギョウトクは心得た。


「――こたびは、拙僧せっそうした若い者どもが、揃って突然、姿をくらました、と、聞き及び、こうしてみかどのご意見をうかがいたく、参った所存でございます」


 上宮じょうぐうの謁見の間。


 坊主の正装で床に膝をつくが、顔はしっかりと前を見たままだった。




 なにゆえこのおのれが―――。

 


 一人の男を思い浮かべ、にがにがしく正面で揺れる薄布をにらむ。

 



 傍らに、えらく顔の整った背の高い男がいるが、たしか壱の宮の大臣だ。

 あんな身体つきのくせに、大水で流された岩や橋を軽々運ぶのだと聞いた。



 

       ふん、妖物のようなものだ。



 薄布がゆれ、なにか大きな者の、暖かく生臭い息のようなものが顔をなでる。



「――ほお。わしに謝りに来たわけじゃねえのか?」


「それは・・・その者たちの意志で消えたとあらば」


「それ以外に何がある? わしが耳にした話じゃあ、ここでの暮らしが性に合わんと、ずっと言ってたらしいでな。 ―― 西の領土にでも遊びに行ってるんじゃねえか、と聞いた。」


「・・・さて、高山たかやまの者が、なにゆえ西へ行く必要がありましょう?」


 ここに推すために手を貸してくれたのも、北の将軍だ。


 おかしなことを聞かされたように、わらうその顔つきに、おのれと帝の間に立つ男の気が揺れた。



「おい、ギョウトク。たかだか三十年、高山にいるだけで、ジュフク殿と等しい場にいるなどと思うなよ。 おまえの黒い腹の中など、丸見えだ」


 冷たく整った顔をむける壱の大臣は、見かけによらず、ひどくはっきりと言葉を投げる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ