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おとぎばなし ― ゆらぐ噺 ―  作者: ぽすしち
 とお

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41/53

首輪

ここよりひどい残虐場面となります。動物、人に対する暴力行為、流血、残酷な表現おおし。

 くれぐれもご注意ください。


「―――ようやく、きたか」


 真っ暗な闇に、男の顔が浮かんでいる。


 やはりあの、カイと名乗った男だ。



「リンは?リンはどこだ?」



 浮かんだ顔が、嫌な笑いにゆがむ。

 むこうも同じような灯を持ち、照らされた表情が揺れ、さらに、奇妙に歪んで見えた。



 「 『リン』?それは、この、汚い犬のことか? 」


 男の後ろの闇で、いくつかの笑いがもれると、それが、床に投げ捨てられた。




「!?っリン!!」



 落ちたとき、弱く甲高い声を出した茶色いかたまりを守るべく、シュンカは床に身を投げ出して這い寄り、それに腕を伸ばす。


  手が届き、抱き寄せたその手ごたえに、血が引くようだった。


 

  リンは、ぐんにゃりと重く、茶色い毛はどこも、黒くぬれている。



 シュンカの震える手から落ちた蜀台は、からからと音をたて、向こうへ転がり、ぼんやりと、闇から抜きでたカイが、それを拾った。



「ふん。 なにやら『術』のこもった首輪などさせて。少し手間取ったがな。 おれには、そんなもの効かぬぞ」


 セリが作ってくれた赤いそれが、ほうり投げられた。



 シュンカはそれに眼もくれず、ただ抱きしめ名を呼び続ける。

 

    


   りん、りん、どうしよう、りん、どうすれば、りん、りん

 


  ふさがったはずの首の傷が、開いていた。


 


   ―― いや、違う

 

 同じ場所を、傷つけられたのだ。




 血が、ぼんやりとした明かりに、ぬめって光る。


 それがまだ、 ―― 止まらない。




申し訳ございません。まだ場面つづきます

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