表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おとぎばなし ― ゆらぐ噺 ―  作者: ぽすしち
 いつつ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/53

菓子


 ため息がもらされ、離れる気配。

「まったく。セリ殿か?結界にすんなり入り込ませるなどと・・。おまけにサジが渡してしまった」


「すみません・・・おれがヒョウセツさまにお礼をいいたいと言ったので」


「この包みはなんですか?」


「おれの母が、よく作ってくれた菓子で、セリさまが時々食べたいと言ってくださるので、作るんです。よろしければ、食べてみてください」


 テーブルにのった包みをひろげたヒョウセツは、固まった。


 自分は、粉をねって窯の内側で焼くこの菓子を、・・・知っている。



 ―― この子は・・・じゃあ、あのサクラの子どもか・・・?



「形がうまくないんですが、味は、大丈夫だと思います。・・・スザクさまも、なにも言わなかったので」

 子どもが嬉しそうに、くすりともらし、また、あたりに『気』があふれる。


 それに当てられたヒョウセツは、こめかみを押さえ、あわだった肌をさする。



   自分の肌を



 菓子をつまみあげる。

 さっきから役神のサジがじっとそれを見ているのがわかる。

 さぞかし、食べたかろうが、これほどの『気』がつまった菓子など、簡単には分け与えられぬ。


「――この菓子は、もらっておきましょう」

「ありがとうございます!」

 ざあああっと、子どもからそれがあふれ出た。

 


 ―― わざとだ。

 

 セリが、子どもの蓋を緩めたのだろう。

 なにを、したいのか?



「・・・シュンカ。ここに来るのに、セリ殿に何か言われましたか?」


「その・・、こうして、いきなりでないと、逃げられる。と・・」

「・・・それだけですか?」

「はい。そうです」

「・・・・・そうか」


 

   『逃げるな』と、いうことか・・・・。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ