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おとぎばなし ― ゆらぐ噺 ―  作者: ぽすしち
 みっつ と 半

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20/53

ふくらんだ


「いいか?もらえんなら、菓子でも悪口でもとりあえずもらっておけ。で、もらってから、どうするか考えろ」


 ぽん、と、坊主が、子どもの『気』に蓋をするときのように、頭に手を置いた。


「いっしょに考えてやる。おれも、テツも、アシもいんだろ。だから、もらっても気にすんな。おまえは、伍の宮のシュンカだ」



 ぶわりと、子どもの目元に水がふくらんだ。


 アシは驚く。


 水といっしょに、シュンカの中の何かが膨らんだ。




「コウセンの菓子、本当にいらねえのか?」

「―――――」 頭に坊主の大きな手を置いたまま、子どもは首を振る。

 拍子に、水がこぼれた。


 なら、貰いにいくぞという坊主を見上げ、子どもは「はい」とほほえんで、いきなり坊主にしがみついた。

 

 

 何日ぶりかで、あの、心地の良い『気』があふれる。

 

それを心地よく感じながらも、どこか淋しく感じる己を、アシは不思議に思いながら、向かい合う二人をながめていたら、今度は絵師が現れる。



「おいスザク。そういうときは、ぎゅうと抱きかえしてやるんだよ」


 この男は、時々ここへも顔を出すので珍しいこともないが、眼が合ったアシは、そっと、手招きでよばれ、一緒に台所を後にした。




「・・・おまえさ、すごく淋しそうに、二人のこと見てたよ」

「わたしがですか?」


「・・どうしようか?人間くさく、なりすぎてしまったな・・」

「セイテツ様、わたしは、役神です」


「そうだよ。おれの術で、どうにでもなる、役神だ」

「―わたしは」


「おまえのことは好きだよ。でもな、おまえは、役神だ」

「――忘れては、おりません」



「――おれが、忘れそうだよ・・・」




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