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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生させられたけど、オレはこのまま終わるつもりはない  作者: ウエス 端
決闘裁判編

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21.審理の結果

 シーラッハ司教は少し咳払いしてから、落ち着いた口調で淡々と審理の結果を説明し始めた。


「まず今回の件で既に確定済みの内容について説明する」


 なんだ、結果は後回しか。早く無実だと聞きたいのにじれったい。


「昨日18時30分頃にヒューゴ・ザイドリッツ他2名が女子寮にて、1階大浴室の屋外換気口の蓋を取り外して天井裏に侵入し、浴室内換気口の隙間から中を覗き見するという破廉恥行為に及び、その場で現行犯逮捕されるに至った」


 ここまでは朝に先生から聞いたとおりだな。そういえばヒューゴの家名を聞いたのは初めてだ。


「ここからは不確定事項につき、臨時理事会にて審理した内容だが」


 やっと来たか。早く安心させてくれ!


「今回の実行犯が、逮捕された3名だけではない可能性があるとのことで、その真偽について慎重に審理が執り行われた」


 早く! 早く結論言ってくれよ!


「タツロウ・タカツキーが18時15分頃に他3名と男子寮玄関付近で合流して犯行を実行し、発覚後に男子寮の自室に逃走したとの疑義についてだが、状況証拠から、その通りに実行されたものと強く推定される」


「ちょっと待てよ! オレはやってないって言ってんだろ! その時間は屋上に洗濯物を取りに行ってたって、アリバイも説明しただろうが!」


 司教に激しく食って掛かってしまった。だけど、無実の罪で裁かれたんじゃ堪んねえよ!


「おやめなさい、タツロウ! 司教に対して大変失礼な振る舞いですよ!」


 グーテンベルクに体の動きを抑えられ、強く諌められた。でも、このままじゃ……。


「まあ良い、この状況では仕方あるまい。タツロウ君、もう落ち着いたかな? 続きを話したいのだがね」


 落ち着いた口調の中に、底知れぬ迫力を感じたオレは、座り直して黙るしかなかった。


「では、続きから。強く推定はされるが、確定的な証拠は無い。一方で、被疑者のアリバイ主張にも、第三者の証言はないが矛盾は無く首尾一貫しており、こちらが真実でないとも言い切れない」


 だから、ずっとそう言ってるのに……。だけど今度は最後までちゃんと聞こう。


「また、逮捕済みの3名の証言も一方的であり、無関係の者に責任を擦り付ける意図がある可能性も考えられる」


 よし来た! 当然といえば当然だが、この証言が疑われたのが何より嬉しい。


「しかし、被疑者に有利な内容についても確定的な証拠が無く、どれが真実であるのか、審理を尽くしても事実を認定するに至らなかった」


 えぇ〜、じゃあどうすんだよ。はっきり断定できないからって、このまま自室で謹慎を続けるんだろうか。


「そこで、本件について異なる内容を事実と主張している両者、すなわちタツロウ・タカツキーとヒューゴ・ザイドリッツ他2名による、『決闘裁判』を執り行う」


「は……はぁ」


 あまりに突拍子もない処分結果に、オレは言葉を失った。要するに、揉めてる当事者同士でやり合って白黒つけろってことかよ?


「決行は明日の午後、場所は実習の練習場にて。審判は剣術師範のロレンツ、立ち会いの責任者はこのシーラッハが務める」


 あしたぁ?! わけがわからないことをほとんど準備なしでかよ?


「詳細は追って知らせる。それまでは自室で待つがよい」


 司教はそう言うと、すぐに立ち上がって部屋から退出してしまった。呆然とするオレを置き去りにして。オレは自分では喧嘩好きだと思ってるが、決闘して裁判するとか、理解を超えてる。


 見かねたグーテンベルクに促されて、ようやくオレも応接室を出た。


「司教のご説明どおり、あとで詳細が書面で知らされます。恐らく私が説明することになりますので、ご質問はその際に承ります」


 そう言われながら部屋に入る頃には、オレもだいぶ覚悟ができてきた。恐らく拒否できる立場じゃないし、もう決まってしまったモンはやるしかない。


 それに、この件はオレだけじゃなく、オヤジやドラゴベルク家の名誉にも関わる問題だ。どういう形であれ、オレは自分への濡れ衣を払拭するために全力を尽くすまでだ。

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