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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生させられたけど、オレはこのまま終わるつもりはない  作者: ウエス 端
神学校転入編

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15.腹が立つ

 窓から朝日が差し込み、部屋が完全に明るくなったところで目が覚めた。壁の時計を見ると7時過ぎだ。


 もう少し……と思ったところで思い出した。そうだ、洗濯して干した運動着を取りに行かねば!


 急いで顔を洗って制服に着替える。髪の毛はボサボサだが、時間がないので、学校に着いてから適当に整えることにする。


 階段をハアハア言いながら屋上まで上り、運動着を取り込んで一旦1階の部屋に戻る。この時点で7時半を過ぎてるが、朝食を急いで食べれば大丈夫だ。


 そうだ、ついでに井戸から部屋で使う水を汲んでこよう。どうせ玄関は俺の部屋のすぐそこだから手間はそれほどかからない。というわけで水汲み桶も一つ持って部屋を出る。


 食堂に入ると、マルコの姿が見えた。夕食時に比べると人がかなり少ない。爵位持ち家以外でも自室で食ってる奴らもいるのかな。


 朝食のパンとスープ、サラダを受け取ってマルコの隣席につく。


「おはようマルコ。起きるの早いな」


「おはよう、タツロウ。俺が早いというよりかは……君がちょっと遅いかな」


あっさりツッコまれてしまった。マルコはすでに食べ終えてるが、席を立とうとしてまた座り直した。


「いいよ、先行ってもらって。今日は後で一人で登校するよ」


 マルコは少し申し訳なさそうにしてたが、さすがに待ってもらうのは忍びないので、先に行ってもらった。


 急いで朝食を口に詰め込み、片付けて井戸に水を汲みに行く。食堂の時計は7時55分だから、8時半の始業時間には充分間に合う。


水の入った桶を右手に持ち早足で食堂の出入口を通り過ぎようとしたところで、横からドカッと勢いよくぶつかってこられた。オレは転倒して水を床にぶちまけてしまった。


「ああ、ワリイワリイ。朝っぱらから水汲みご苦労さん、ビンボーニン!」


 誰だ急いでるときに……って、またヒューゴか! 取り巻きっぽいのが2人、クスクス笑ってる。


「ちゃーんと、床を掃除してから登校しろよな! せいぜい遅刻しないように気をつけるこったな〜」


 このやろう、誰のせいで! と突っかかりかけたが、とにかく早く床を拭かないと。食堂に雑巾を借りて急いで水を拭き取り、大急ぎで登校した。


 なんとかギリギリセーフだったけど、もうみんな席についてるし、アーベル先生もすでに教壇に立っていた。


「おはようタツロウ君。初日はとても疲れたのかな? 明日からは、早めに登校するように気をつけてくださいね」


 先生から気を使われてしまった。と同時に教室内にみんなの苦笑が響く。ヒューゴの奴はニヤニヤ笑ってやがった。クソ〜、覚えてやがれ!


「ドンマイ。俺と別れたあと、なんかあったのかい?」


「いや、ちょっとね。明日からは気をつけるよ」


 マルコから慰められて、腹が立つのを我慢して平静を装った。つまらんことで騒ぎを起こしてオヤジに迷惑かけるのは避けたいのだ。気を取り直して勉強に集中しよう。


 午前中は昨日と同じく、教室で講義を受けた。相変わらず先生の話は何言ってるのかわからんことが多いが、マルコとサンドラにこっそり教わりながら、少しだけだが理解できるようになった。


 休み時間は、顔の広い2人を通じて、他の学生とも話をすることもできた。話してみると、マルコが言ってた通り、割と気さくなやつが多くて楽しいし、ようやく学園生活らしくなってきた。


 さて、午後からは昨日と同じく実習の授業だ。ただし剣技の方だ。


 ここで初めてマルコとは別授業となった。同じく剣技を週一回選択してるが、曜日が違うのだ。でも多少はここに慣れてきたし、なんとかなるだろう。


 練習場で待ってると、先生と思しき男が入ってきた。白いシャツと黒のスラックスで膝辺りまであるブーツを履いて、髪が少し長い格好はいかにも剣士っぽい。名前はロレンツだとマルコから聞いてる。


「一同ご機嫌よう。今日も安全に稽古に励もう。と、その前に、君か転入生は」


「はい、タツロウ・タカツキーです」


 昨日と同じ流れだ。これは最初にオレがどの程度の腕前か確認だろうな。


「一通り、今まで身につけた技を見せてもらいましょうか。まずは素振りで」


 技って言われてもなあ……。剣技は苦手ではないが魔法ほど得意じゃないし、地元の先生の指示どおりの地味な稽古しかしてないぞ。


 え、魔法が得意と言えるのかって? ハイハイ、全然さっぱりですよ、スイマセンね〜。


 考えてもしょうがないので、とにかく習った通りの剣筋で木刀を素振りしてみた。我ながら、ごくフツーの技で何ら見るべきところはない。


「悪くないですね。基本の動きは出来ているようだ。これなら、このまま稽古に参加しても問題ありません」


 まさかのOKが出た。得意と思ってた魔法がまるで駄目で、不得意なはずの剣技が評価されるとは、上手く行かないなあ。


 稽古に入る前に全員での柔軟体操、ランニングに素振りなどのウオーミングアップをたっぷり行なって、これだけで授業の半分近くを使った。オレはこれだけでも結構疲れてしまった。みんな体力あるな。オレが無さすぎるだけか。


「それじゃあいつもどおり、2人一組になって打ち合い稽古ね。タツロウ君が入って偶数になったから、先生と組めなくなって一同ガッカリしてるかもしれませんが」


 みんな、なんとも言えない乾いた笑いをした。たぶんガッカリしてる人はいないと思う。


 さて、誰と組もうかな。と考えてると、後ろからあまり聞きたくない声が聞こえてきた。


「相手してやるぜ、転入生」


 振り向くと、ニヤついた顔のヒューゴが立っていた。


「ヒューゴ君、それじゃ頼むよ。タツロウ君、彼の方がかなり強いと思うけど、一緒に稽古すると得るものは多いだろうから頑張ってみなさい」


 ロレンツ先生から有無を言わせない指示が出てしまった。こうなったら仕方ない。ここでこれまでの借りを返させてもらうぜ。

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