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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生させられたけど、オレはこのまま終わるつもりはない  作者: ウエス 端
神学校転入編

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12.食堂へ行こう

 意気込んで授業を受けたオレだが、全然ついていけず、既に気持ちはボロボロだ。


 そもそも、みんなよりだいぶ遅れを取ってる。今は春で日本で言えば4月頃だが、こちらは秋入学なので、既に半年遅れなのだ。その上、これまで勉強は不真面目だったので、先生が何を言ってるのかチンプンカンプンだ。


 そんな状態で午前中の4コマ終わってしまい、酷く落ち込んでたのだが、マルコとサンドラから


「自分たちで良ければ、いつでもわからないところを教えてあげるよ」


 と励まされた。オレにはもったいないくらい良い友だちが出来て幸せだなぁ。


 それにしても腹が減った。昼休みになったのでメシでも食うか。そう言えば寮の食堂に用意してあるから管理人室に来いってグーテンベルクが言ってたな。でも


「俺も行くから一緒に行こうよ」


 とマルコから提案があった。


 オレはもちろんすぐOKした。やっぱり、出来るだけ管理人たちとは関わりたくない。監視されてると思うと心が落ち着かないんだよな。


 寮まで行く道すがら、実は管理人に案内してもらう予定だったと話すと、マルコからはちょっと驚いた様子の反応が返ってきた。


「え、別に案内されなくてもわかるでしょ。そういや昨日は会わなかったけど、部屋は何階?」


 1階で、管理人室の隣の倉庫を急遽改装した部屋だと話すと、あ〜それで、といった感じで


「食堂は、その管理人スペースの奥の壁の向こうにあるんだよ。玄関入ってすぐの階段を上がって各階に行くと、少し奥に食堂へ繋がる階段があるから、学生たちはそこから入るのさ」


 と説明してくれた。そうだよな、それなら1階以外は、わざわざ説明されなくても何となくわかるよな。


 そうだ、ついでにちょっと確認してみよう。


「管理人からは、他の空き部屋はすぐ修理できないからって言われたんだけど」


「うーん、どうなんだろう……。話で聞いただけなんだけど、ずっとゴミとか溜め込んで酷い汚部屋のまま卒業したとか、不祥事で退学処分になったヤツが腹いせに部屋を破壊していったとかはあるらしいけどね。もしかしたら実際にそういう部屋しか残ってないのかも」


 これだけだと、ウソかどうかはまだわからないな。あと、あれも今聞いておこう。教室じゃ聞きにくいことだし。


「自己紹介のときほとんど拍手もなかったけど、歓迎されてないのかな」


「いや、そうじゃないよ。それは、タツロウが一人で教室に入ってきたからだよ」


 え、転入生はオレだけだから一人なのは当たり前だろ?


「入学のときもそうだけど、初登校の時には使用人が付き添いで来るのが普通だからね。それがいないってことは、使用人を付ける余裕のない貧乏貴族か、特待生の平民っていうことになるワケさ」


 それと拍手の大きさがどう関係するんだ?


「ここの学生が入学する目的の一つとして、いろんな領地の諸侯や貴族の子弟たちと誼を結ぶことがあるんだよ。将来家督を継いだときに、役立つことも多いからね。だけど俺たちみたいな貧乏貴族とはメリット無いから、彼らにとってはあまり興味が無いってだけだよ」


 うわっ、それじゃもう友だちできないんだろうな……。


「いや、個人的には人の良いヤツの方が多いクラスだから安心しなよ」


 そうなのか、ホント安心した。寮内はもう仕方ないけど、せめてクラス内では楽しく過ごしたい。


 おっと、寮の出入り口に到着だ。玄関に入るとちょうどグーテンベルクが管理人室から出てきた。


「グーテンベルクさん、食堂にはクラスメイトに案内してもらうことになりました」


「そうですか……。まあ、その方が助かります。マルコ君、それじゃあとはよろしく」


 相変わらず目つきが鋭いので怖く感じたが、口調は普通だ。さすがに気にし過ぎかな。


 オレとマルコは玄関横の階段を上がって2階に入った。ここは奥までの距離が長く、すぐには部屋数を数えられないくらいで、人の行き来も多い。


「うわっ、人がいっぱい通ってる!」


「そりゃあ、1階に比べればね」


 つい都会に出てきたばかりみたいなことを言ってしまった。マルコのツッコミを受けつつキョロキョロしながら歩いてると、何かにドンッとぶつかる衝撃を右肩に感じた。


「ってーな、気ぃつけろよテメー!」


 向こうから歩いてきた男とぶつかってしまった。オレより少し背が高く、全体的に恰幅がいい。顔つきは、言い方は悪いがちょっとチンピラっぽい。


「ん……? お前、朝に教室で見た転入生じゃんか。付き人もいない貧乏人のクセに、ちゃんと前見て歩けっつーの!」


 口調もなんかガラ悪いな……。それに貧乏人とか関係ないだろ。カチンときたよコレ。


「そりゃ失礼。けど、これとオレに使用人がいないのは関係ねぇし、いきなり貧乏人呼ばわりしなくてもいいだろコラ」


「あぁ!?」


 しまった、つい言い返してしまった。騒ぎを起こせる立場じゃないのに、ヤバいことになった。


「まあまあ、二人ともこんなところでやめなよ。俺たち、昼メシで食堂に向かってただけなんだよ。俺が謝るからさ、今回はそれでカンベンしてよ、ヒューゴ」


「マルコか……。もういい、次からは気ぃつけろよボケ!」


 ヒューゴっていうのかアイツ。しかしマルコのおかげで助かった。


「ゴメン、迷惑かけた」


「いいって、気にするなよ。アイツもちょっと気が短いだけだからさ」


 もう初日からマルコには世話になりっぱなしだ。次からはホント気をつけよう。オレはこんなことで騒ぎを起こしてる場合じゃないんだ。


 嫌なこともあったが、やっと食堂に到着。多数の寮生が食事できるようにメチャメチャ広い。端から端まで50メートル近くあるんじゃないか?


「おやマルコ、あんたの分はこっちに取ってあるよ。お連れさんかい? あんたもどうぞ」


「いつもありがとう、助かるよ。今日はサンドイッチだね、美味しそう〜」


 さすがマルコ、食堂のオバ……お姉さんキラーでもあるのね。ハラ減ってたので一気に食ってしまった。昼食は基本的に夕食と朝食の残り食材で作ってるそうだが、とても美味しかった。


 さあ、午後はいよいよ得意の魔法実習だ。腹ごしらえもできたし、みんなにオレの力を見せてやるぜ!

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