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名ばかり皇帝の跡継ぎに転生させられたけど、オレはこのまま終わるつもりはない  作者: ウエス 端
演劇大会編

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119.重大発表

 週が明けて、オレは普通に登校した。


 それにしても今朝は、朝日を浴びながら解放感たっぷりで歩いて滅茶苦茶気持ちよかった。


 何から解放されたのか……。


 まずは退屈から。


 昨日は寮の自室で一日中安静にしていたので、退屈で仕方がなかった。


 だが、校医からの指示を守って耐えたのだ。

 長かった……でもまだ2、3日は強度の高い運動は控えるようにと言われている。


 あと一つは、アンジェリカのガード役から。

 

 今朝、早めに寮を出るために早くから食堂に行って、そこから部屋に戻ろうとした時のことだ。


「タツロウ、おはよう! 今日は早いじゃないか。まだ無理しないほうがいいと思うけど」


「おはようマルコ。早いったって、アンジェリカを迎えに行かなきゃならないから当然だろ」


「あ……ゴメン。アンジェリカは少なくとも今日までは入院なんだ。伝えるのを忘れていたよ」


 まあ、伝えられなかったことは気にしていない。


 正直に言えば、朝から強い緊張感で登校するという状況に疲れてきていたので、肩の荷が下りたという感情が先にきたからだ。


 でもアンジェリカの状況は気になるな。

 明日からまた元気に登校できるならいいんだけど。



 朝は爽やかな気分だったが、時間が経過するにつれて、いろいろと気になることが出てきた。


 なにせ週末に予定されている演劇部の定期発表会まで1週間を切っているのだ。


 大道具係の作業もだが、アンジェリカとのダンスパートの稽古も欠かせない。


 いや、彼女は強い精神的ショックを受けて入院しているのだし、もちろん無理はしてほしくないのだが。


 演劇部員の端くれとしては気になってしまうのだから仕方がない。


 そういうわけで今日は授業に身が入らなかった。

 いつもと一緒だろうって?

 うっせーな。


 とにかく放課後になったのだから部室棟に向かおう。


 そして教室から出ようとドアを開けようとした瞬間だった。


 ドアの向こうに人の気配を感じる……2人、いや3人か?


 オスヴァルトの件に関係する奴らだろうか。

 それともまた別の奴らか。


 オレはいつでも反撃できるように身構えつつドアをバッと開けて叫んだ。


「誰だ! ドアの前で待ち構えているのは!?」


 しかし、そこにいたのはキョトンとした顔でオレを見ている3人の女子たち。


「はあっ? どったのタツロウ。あたし、レオナだよ」


「……まさか、この3人の顔を忘れてしまったとかでは、ないですよね?」


「あらあら、思っていたより元気そうじゃない〜」


 レオナとソフィア、そしてハンナ先輩だった。


「なあんだ、脅かさないでくれよな」


「それはあたしらのセリフだっての」


「……タツロウ君、まさかドアの向こうにいる私たちの気配に気づいていたとか?」


「そうだけど。このところいろいろあったから、そういう感覚が過敏になってるのかもな」


「なんか面白そう〜! 親しい女子のピンチをきっかけに覚醒したって感じかしら〜?」


 ハンナ先輩は相変わらずよくわからんところを面白がってるな……。


 それはともかく、コイツら何の用があるんだ?


「よくわかんねーけど、特に用事がないってんならオレは行くよ」


「……どこへ行こうというのです、タツロウ君? まさか、せっかく迎えに来た私を置いて部室棟へ先に行くなどと……そんなこと言いませんよね?」


 ソフィアは微笑みの表情とは裏腹にオレに強いプレッシャーをかけてきた。

 オレは一人で行くことを諦めた。



 3人の女子たちと一緒に部室棟へ向かうオレ。


 傍目には羨ましい光景に見えるかもしれんが……ひっきりなしに話しかけられて、ずっと聞き続けるというのは結構疲れるのだ。


 あ、でも今日は先に話題を振ってその状況に陥るのを阻止しよう。

 それにうってつけの話題があるのだから。


「今更なんだが……オスヴァルトとその一味はあれからどうなったんだ?」


「タツロウにはまだ言ってなかったっけ?」


「……えーと、それはですね」


「その話は私が説明するわね〜」


 ハンナ先輩が説明してくれるのか、それは助かる。


 正直言って、ソフィアはこういう説明があまり上手ではないからだ。


「まずは3年生の大柄な男バスティアンから。タツロウ君が倒して捕縛したのは覚えてる?」


「まあ一応」


「そのまま守衛さん経由で警察に引き渡されたから安心して」


「ヤツの子分……なのかな? あの3人の雑魚どもは」


「子分じゃないみたいよ。バスティアンがあの事件の前に『案件』として校内で募集した不良たちで、繋がりは薄いらしいわ」


「なんかややこしいっすね。それで今は」


「それも安心して。学校の敷地内を逃げ回ってたんだけど、自滅して今は警察行きよ」


「自滅?」


「一人だけ飛行魔法が使えたから、それにあとの2人が掴まって敷地の塀を乗り越えようとしたんだけど〜」


「重さに耐えきれずに落ちたとか?」


「そのとおり! そこを守衛さんたちに見つかってあえなく御用となったの」


 ゲスなアイツらにふさわしい間抜けな末路で、ざまぁ見晒せってんだ。

 直接ブチのめせなかったのは残念だけど。


「それで、肝心なオスヴァルトはどうなったんですか? まさかとは思うんですけど」


「今回は、本人が現場にいたのと、殺人未遂まで犯しているから、さすがに学校内から警察に引き渡すべきだって声が上がったらしいの。でも親御さんが学校側に強く働きかけてきて、今は実家に逃げ帰ってるって聞いたわ」


「嫌な展開ですね……」


「もう私たちの前には現れないと思うけど。でも不安よね」


「……私は、彼のことを絶対に許せないです。私たちも酷い目に遭いましたが、人を刺しても平気でいるような人をそのままにしてほしくない。何より、アンジェが彼にどれだけ苦しめられたか……」


 ソフィアは静かにではあるが非常に強い怒りと憤りを見せた。


 普段は他人をあまり非難しない彼女がここまで口にするなんて、オスヴァルトに対して余程ブチ切れているのだろう。


 あと聞いたことは2つ。


 一つはオスヴァルトが所有するクラブハウスについて。


 学校側は週末に急いで封鎖して、誰も中に入れないようにしたとか。


 外の別邸と繋がる地下通路も見つけ出して、入口は土嚢で塞いだようだ。


 地下通路のことは学校側も寝耳に水だったらしく、それで慌てて対応したのだろう。


 あと、ドミニクが知らずに運ばされていた『危ないクスリ』について。


 以前から警察には怪しまれていたらしく、今後徹底的に調査されるらしい。


 そこから調べられたら、オスヴァルトもさすがにお咎め無しでは済まないんじゃないかと密かに期待している。


 その関係でオレとドミニクも事情聴取される見込みだとか。


 オレはなんも関係してないのにとばっちりもいいところだ。


 それもこれも、ゲーツとカスパーのせいだ。


 アイツら、オレの行く手を、まるで路上にころがる犬の◯ソのように何度もジャマしやがる……!


 まだまだ聞きたいことはあるが部室棟に着いてしまった。


 そしてドアを開けると、そこにはヘルムートが待ち構えていた。


「やっと来たか。4人ともすぐに2階の稽古場へ来てくれ。オリヴィア部長から部員全員に向けてお話がある」


 週明けにいきなりかよ。

 まあ、あの事件について説明があるのだろう。


 そしてオレたちが稽古場に入ると、既に集まっていた部員たちの前に立っている部長がおもむろに話し始めた。


「みんなに集まってもらったのは、もう察しがついていると思うが……先週末に我が部の一部部員たちが巻き込まれた事件についてだ」


 やっぱりな。

 オレたちは当事者なんだから説明など不要なんだけど……まあ我慢して聞くことにしよう。


 しかし部長が最初に言った発言に、オレは愕然とする羽目になった。


「事件については説明するが……まずはアタシが決断した重大事項を発表する。今週末の定期発表会なんだが、主演女優を交代して上演することにした」


 交代って、アンジェリカを降ろすってことかよ。

 そりゃあないぜ!

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