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96. ケップラー王国からの一歩

 あたりは暗くて不気味だけど、ウルグベお母さんにもらった遠見のグラスをかけてトケイソウを探す。


 これは、明るくなっていい!

 あいかわらずチェリーの返事はないけど……


 そうだ! 


 あのときマッピングしようとしていたから、もしかしたらチェリーがギリギリしてくれているかも?

 チェリーと交わした最後の出来事を思い浮かべながら、あのときのトケイソウを思い出してみる……


 あったーーっ!!

 

 ありがとう!! チェリー!!


 わたしのいるところより、もう少し西でピコピコしている……


 方角が分かるのも最高! 

 アリオさん、ありがとう!


 あとはコレもアリオさんからもらったブーツで、地面から数センチ浮いて滑るように進んでみた。


 怖いっ! 

 速すぎる! 


 なんて元気なお年寄りなんだ……

 いろいろ試しながら、西へ向かう……


 あっ、これ、これ!

 やっと見つけたーっ! この花だよ!


 さあ、次はこのトケイソウに、どうやって連れて帰ってもらう?


 近づいてみるか……

 あれっ?

 

 二メートルぐらいまで近づくと、このトケイソウ? 同じだけ離れるんだけど……

 もしかして、触れさせない気なの?


 そういえばあのとき、花びらをチョンっと触れたよね……

 そうしたら、花びらがぷるんっと揺れて……


 よしっ! キミをさわってやる!


 くーーっ!!

 そ〜ろっと近づいても、ダメ。

 飛びついても、ダメ。


 これは早めに出てきて正解だよ。

 いろいろ試して……


 あーーっ! どうしよう?

 近づく方法がわからない。

 もう、ダメなのか……


 空もうっすら明るくなってきたような……

 なんて、ことだっ!


 もしかして、このトケイソウに遊ばれているのか?

 疲れてくたくたで、ノドも渇いた。


 しょうがない、花から目が離せないからその場に座ってウルグベお母さんにもらった水瓶を出し、地面に置いてセットのコップに水を入れトケイソウの横で飲むことにする。


「フゥーッ! おいしい!」


 やっぱりこの水は、すごくおいしい。

 んっ? 

 さっきは気づかなかったけど、この水? 入れた量よりも多くコップの中に水が入っているかも……


 もしかして? わたしが満足するまで、このコップの中に水が溜まったままなのかな?


 試しに、満足したと思うと……


 ほぉーっ! 

 コップが、カラになった。


 すごいコップだ!

 元気もでたぞ!


 おっ?! ちょっと花が近づいてきた?


 ひょっとして、トケイソウも水が欲しい?


 そうだ!


「おいしい水だよ! さあ! 水をかけてあげるから、こっちへおいでよ」


 トケイソウに話しかけてみる。


 また、少し近づいてきた?!


 よし!

 いつでも動けるように水瓶とコップはしまって、今度はわたしの指から少しだけ魔法水を出す。


 これは行水で慣れているから、うまくできる!


 あと六十センチ?! そのぐらいまできたところで、まずはトケイソウにお水をかけてあげる……

 ギリギリだな。


「おいしい? いっぱい飲んだら、触らせてくれるかな〜?」


 ジリジリ近づいていく。


 もうあとちょっと! っというところでトケイソウが急に宙へ浮いた!?


「ちょっと待って、どこへ行く気なの!? わたしも連れて行ってよーっ!」


 ドンドン上へ上がっていく……


 おいて行かれる?!

 

 そう思ったとき、思いっきりジャンプしていた……


 こわい!! 


 もらったブーツのおかげであっという間にトケイソウへ追いついて、なんなら少し超えてしまう!?


「うわーあっ!!」


 タッチのような触れ方で、なんとか触れた……


 地面に降りるときには、お年寄りの補助のリングと赤ちゃんのリングが役に立ったのか?

 空気のクッションで無理やり起こす補助のリングでどうにか起きれたけど、その衝撃があんがいスゴくて、それを一緒にもらった赤ちゃんのリングのバリアが効いて助けてくれたようだ。

 ケガがなく助かった……

 いつもの身体強化と違って難しすぎる!


 トケイソウはタッチした場所に留まっているから良いけど、今からどうなるんだ……


 おーっ!?


 トケイソウの三本の雄しべが、回りだした!


 でたーーっ! 大量の霧だ!


 金色のトケイソウが、光っている。


 こい、こい、頭の上に花よ、こいっ!



 よし、きったーーーーっ!! 



 からだが、浮いてるっ!?  

 うわーっ? こわい! 


 金色の光の粒がーーっ! やった!!


 キラキラしていてキレイ…… 

 あーぁ、まぶしいーーっ!


 ピッカーッ!!


 一瞬強く輝いて、思わず目をつぶってしまった……


 あわてて、目を開ける。


 あたりは霧に包まれているけど……あれか!?


 一ヶ所だけフワッと、見通しのよさそうな場所を見つけた。


 あそこだ!!

 全力で走って、その場所へ向かう。


 走りながら、叫んでいた……


「チェリー! チェリー!!」


 あと少し、頑張れ! もう少し!



 霧が薄れて明るいところまで、あと少しだ!



「チェリー! 待っててーっ、いま行くよーっ!」



 えぇーいっ!! 



 やったーーぁ!!


 大きく踏みだした一歩で、視野が変わる……


 でたーーっ!!


 ケップラー王国とは、お別れだーーっ!



 もう少し、離れよう……

 そのまま、五十メートルぐらい走って進む。


 後ろを振り返ると、霧状のモヤが白く光って小さく消えていくところだった……


 助かった? ふぅーーっ


 その場で、しゃがみ込んでしまう。

 そしてまたチェリーを呼んでいた。



「チェリー? チェリー! 聞こえる?」



「はい。パール、聞こえています!」


「うぅーーっ!! やっと、つながった!!」


 ハァーッ……


 安心感と疲れから、その場でゴロンと寝転んで。


 いつもより青く感じる青空と、白い雲をじっと眺めて……



 あぁ……やっぱり、青 もキレイ……



 

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