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92. リリンゴで共同事業

 しばらく、タルボ家に優しい時間が過ぎていく。


 見ていたわたしも、心が暖かくなる……


 テトリはわたしにまでステキな言葉かけてくれた。


「パール……迷い人はオレに一番欲しくて手に入らないと思っていた家族を与えてくれたんだな……すごいよ……ホントにありがとう」


 心からよろこんで感謝しているのだという気持ちがヒシヒシと伝わってくる。

 少し光ってキラキラしているテトリの目を見てしまうと、こっちまで涙腺が緩みそうで……

 テトリがタルボさんを好きだったのは、わたしでもすぐに分かったからね……ホントによかったよ。


 ケップラー王国にきてから、一番ポカポカした時間だった。



 でも、そのあとがすごくて……


 お店の中に戻ってテトリがタルボさんたちに、わたしが持っているリンゴの話をしたところから、おどろきの話になっていった。


 マジックバックから取りだして、リンゴを見せる。

 それは、幻のリリンゴだという。

 

 何人かの迷い人が持ってきては、すぐに食べられてしまい、おいしかったとウワサだけが町中に流れている果物。


 よけいに一番に食べられてしまうことになった、 当たり人一番目の果物らしい。

 

「種は? どうしたの?」


「みんなもらった竜人が、丸ごと急いで全部食べてしまうようで……無いんだよ」


 アリオさんの言葉にビックリする。

 種もシンも、食べるんだ……


 それからはみんなで話し合い 、リリンゴはテトリとアリオさんの共同事業で育てることに決まる。

 

 王様にはお姫様に合わせてくれたら、お土産で切ったリリンゴの果実を、少しずつ渡すことにした。


 アリオさんが殺されないようにアリオさんの価値をリリンゴで上げていく。


 みんなで、おーーっ!! と盛り上がる。


 あとはお姫様に結婚してくださいと、言いに行くときの品物。


 ツガイのお姫様と王様と王妃様、王太子様とそのお妃様。

 最低五つなにか、いるようだ。


 すごいなーーっ!


 テトリも自分のツガイが、普通の人であるように願っていた。


「この革のカバンで、良いと思うんだけどなぁ?」


 アリオさんが告げると、最低でも同じランクが四つか五ついると、タルボさんが説明している。


 ウルグベお母さんは家のお宝をすべて渡してしまったら、お姫様がきたときに箔がつかないし、生活させられないから、リリンゴでなんとかならないかと聞いていた。


「リリンゴを王族に渡すことは、ダメだ! 取られて終わりになる。それよりもアリオと結婚したら、リリンゴが手に入るかも? っと思わせないといけないぞ」


タルボさんがそう説明すると、テトリが話しだす。


「姫様には、腰に付ける小さな革のカバン。採取用の革の大袋を王様に。布の大袋を王妃様にして、小さい方の革袋を王太子様で、布袋も小さい方を王太子のお妃様にすれば、ここにも残るし、ちょっと差もついてちょうどいいぞ」


「「「「 おーーっ!!」」」」


 テトリのナイスな意見で、決まった!


 あと別にアクセサリーをお姫様に渡すことになるけど、それはなんとかなるそうだ。


 ウルグベお母さんが、鉄のシャベルを溶かして作ると言っていた。


 なるほど……シャベルにしておくのは、もったいないもんね……んっ?


「そうだ、忘れてた! いいモノがあるよ!」


 腰のマジックバックから、ホワイトベアーのキバを二本とツメを四つだして、みんなの前におく。


「これはわたしが、なにかの武器にしようと思ってとっておいた一匹のホワイトベアーのキバとツメ。これを、テトリがタルボ家の家族になった記念とアリオさんのツガイが見つかった記念に、迷い人がお祝いで渡したことにするんだよ! まずキバ二本は、タルボ家長男のアリオさんとそのツガイになる人が持つことにして、残りのツメはタルボさんたち三人とテトリのツガイになる人が、ひとつずつ家族の印に持つように、感謝を込めて渡したことにしたらアリオさんにテトリ、タルボさん一家全員にもいいんじゃないかな?」


「「「「パール(ちゃん)?!」」」」


「パールちゃん。またすごいことを、思いついてくれたね……こんな高価なモノ。ホントにわたしたちがもらって良いのかい?」


「どうぞ!」


「それはいい案だぞ!! アリオに値打ちがでるし、テトリもこれで身内にしやすくなる! それにオレたちまで箔がつくぞ!」


「ありがとうパール。でもおまえ、こんな高価で壊れやすくてもろいモノで、どうやって武器にするつもりでいたんだ?」


「飛ばして、刺そうかな? っとか、わたしは基本逃げるけど、どうしようもないときは離れたところから硬いモノを魔法で飛ばすしかないし、あんまり血も見たくないから、これも死骸の骨から頑張って取ってきたんだよ」


「パール! おまえ、たいへんだなぁ〜」


「まあね。冒険者なのに血とか苦手な、わたしが悪いんだけど……ね。ハ、ハ、ハッ」


「パールちゃん、良いモノがあるよ!」


 ウルグベお母さんが持ってきてくれたのは、小さな果物ナイフ?


「これは食材を、自分の思う通りに切り分けてくれるモノ。登録した人の手はぜったいに切れないから、安心なんだよ」


「パールちゃん、ホントにいろいろありがとう。それからこれも、すぐ登録して。この魔道具は登録した者が獲物に被せて願うと、必要な部位ごとに分けてくれて便利なんだよ。でも血液や液体が欲しいときには、入れ物を必ず一緒に入れておくこと。忘れないようにね! これで苦手な死骸からキバを自分でとらなくてもよくなるよ」


 ウルグベお母さん、アリオさん、最後にタルボさんがなにか、持ってきた。


「これも持っていきなさい。この棒はパールちゃんの手の中に入るサイズから百メートルぐらいまで伸びる棒だ。鉄よりもだいぶ強いから、伸びろと願って獲物をついてもいい。 あとこの先から雷のようなモノを出せる。弱い獲物ならこれで大丈夫。すぐに登録しなさい。これは一メートル以上離れたら戻ってくる機能が付いていて安心だぞ」


「わーっ! うれしい! これで遠くから、ひっそりやっつけられるー!!」


「パール、おまえホントに冒険者か?」


「まだ十歳になってないから仮の冒険者だし、弱いのは仕方ないんだよ。それに血が苦手だから薬草ハンターになるつもりなんだ!」


「なるほどね。パールちゃんの国にはいろいろ薬草があるんだね。もし行けたならこの人の眠り薬でも、作ってもらうんだけどねぇ〜」


 詳しく聞くと、タルボさんはお父さんが亡くなってから百年間。

 そんなに長く眠れなくなってしまったそうで、眠りも浅いから顔も歳より老けてしまったそうだ。


 テトリも、じいさんって呼んでたな……


「きっと、ワシはもう大丈夫だ! 祖父さんと父さんの悲願だった迷い人にも逢えて、当たり人にもなれたしな。ウルグベ、おまえは心配しなくてもいい」


「そうかい、それならいいけどね……」


 ウルグベお母さんは、ツガいのタルボさんのことが心配なんだな……


 でも、なんで寝れないのかな?


 あっ、あった……


 もうひとつ、あったよ!

 それもよく眠れてスッキリ起きれるスグレモノ!


「あの〜ぉ。ポーションとは違ってお薬なんですが、よく眠れてスッキリ起きれるモノが一本あるんですが、タルボさんいりますか?」


 腰のマジックバックから、サッとだしてタルボさんの前においた。


 これでタルボさんが、ぐっすり眠れるといいな……


 ウルグベお母さんの目が、キラリッと光ったようにみえたけど?



 さすが、ツガイさん!


 ホントにタルボさんが心配で……


 大好きなんだね。



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