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09. 力強い味方

 力強い味方が増えた。


「少しはやいが教会に行って『スキルの確認』をしたらどうだ」


 決まりはないが平民は五歳ぐらいで『スキルの確認』をする。


 貴族様は魔力が高めなので、三歳ぐらいで『スキルの確認』をするそうだ。

 魔力の高い子どもが謝って魔力を暴走してしまわないようにするためで、平民としては少しはやいが教会で『スキルの確認』をしてはどうかと料理長のトムさんが勧めてくれた。


「スキルの…… 確認? なにそれ? どんなことが わかるの?」


 人と違うモノがいろいろでてきて、それを他の人たちに知られるのがなんだか怖いので聞いてみる。


「大したことは分からないよ。 シーナのときも分かったのは、魔法の適性とステータスレベルだったかな? スキル魔法は授かってなかったからな」


「そうね。十年以上前のことだから、少しは変わっているかもしれないけど。そういえば三年ほど前に辞めていった侍女さんが、子どものスキル確認のときボードにでてくる文字が全部読めるようにって、文字をもう一度確認してから教会に行ったと笑って話していたっけ」


「あー そういえば、そんな話しを聞いたことがあるな。本人しか見えないボードだけど、子どもが字を覚えていないときには子どもと手を繋いで親がボードを読まなきゃいけないからだろう」


「じゃあ、親も文字が読めないときは どうするの?」


「そんなときは教会の神父様が、代わりに手を繋いでボードを読んでくださるんだよ」


「へー 、なら自分で文字が読めたら、誰にも知られることなくスキルの確認ができるってことね」


「そういうことだな」


 にっと笑って、マークがわたしの頭を強めに撫でる。


 地味に痛いし、顔が ゆがむ。



「なに、ちょっとぐらい変なスキルや文字がでてきても気にするな。なんでもない顔をしておけば、大丈夫だ」


 わたしのゆがんだ顔を見て、トムさんが笑いながら うなずいている。


 元冒険者だからか馬番だからか知らないが、マークは力がありすぎ!



 文字も読み書きできるようになり、今度のマークのお休みには『スキルの確認』のため教会へ連れて行ってもらえることになる。


 あとは図書室だけど、本は高価な物だから普通にお願いしても平民の三歳の子どもでは図書室の中を少し覗かせてもらえても、中には入れてもらえないだろうと、おとな三人の意見が 一致した。


「図書室に入って、どんな本が読みたいの?」


 シーナに問われる。


「この国の常識や情勢。魔法についてや、使い方とか?」


「教会でもご教授願えば、魔法のことを少し教えてもらえなかったかな? 」


「あれか、腹に力を込めて外にだす!」


「なにそれ?」


「教会が教える魔法の誘導法。雑だろう?」


 平民の子どもは必要にかられて魔法を覚えることが多い。


 五歳ぐらいともなると家の手伝いやらで教会に行って『スキルの確認』をする前に魔法を使って水を少し出したり、もと火を 一瞬出したりできる子どもがたまにでてくる。

 でも調べると、ステータスレベルは低い。

 もともとの魔力量の関係だといわれている。


 教会ではステータスレベルよりどんな魔法に適性があるのか?


 なにか特別なスキル魔法は授かってないか?


 そういうところのほうに注目しがちらしい。



 図書室については忍び込むにしても、家令のセバスチャンさんに知られないようにすることが辺境伯様たちに分からないようにするよりも難しいらしく、頭の痛いところだ。

 いっそ味方にしてしまってもよいのでは? とも思うが、そう簡単な感じでもなさそうなので、この件は しばらく保留となる。


まずは教会へ行って『スキルの確認』をすることが、当面の目標に決まった。








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