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63. キノコの女王は森の妖精?

 もう一度、バンブ林にチャレンジするぞ!


 今度もメリッサお姉さんのところで薬草を買って、虫対策をしておかないと……

 残念なことだが冒険者なのに虫が苦手だ。

 いまはチェリーに提案されて、すごく薄いバリアをずっとかけている。

 コレがどこまで効いているのか?

 見ないですむなら少しお金がかかっても、虫対策は大事!


 今日一日で準備して、明日出発しよう。


 キラン キラン

 

 あいかわらず、キレイな音色……

 そして落ち着く香り。


「あっ、パールちゃん。いらっしゃい! ポーション用意してあるわよ。ちゃんと昨日売ってきたのね?」


「はい。ギルドですぐ売れました」


「よかった! もったいないようだけど、ギリギリまで粘ってギルドで売れなかったり、ポーションの効果が減ってるときに必要になって困ったことになった人をなん人も見ているからね。これはすごく大切だから覚えておいて。この国はポーションを手に入れやすいけど、交換したいときにポーションが売ってないところもあるの。お金があるなら良質なポーションが手に入るうち、早めに新しい物と交換するのが一番いいのよ」


「そうですよね!  大切なことなので覚えておきます。それからまた一泊でバンブ林に行こうかと思っているので、虫よけの薬草とお薬を揃えてもらえますか?」


「ええ、いいわよ。もしかして、今度はキノコの女王狙いね? あれ探しに行くんでしょ!」


「そうなんです、よくわかりましたね。やっぱり有名なんですか? 昨日、図書室でバンブの林を調べてたら大きく載ってて、お金になりそうなキノコですよね。名前からしても女王ってついてますし」


 ふ、ふ、ふっ


「そうよ、ホワイトベアーとゴールデンタイガーに気をつけて探さないといけないでしょう。それにあのキノコは朝に頭を出し始めてもお昼過ぎにはもう成長して倒れてしまうし、午後には集まってきた虫たちに食べられちゃうのよ。たった半日で跡形もなく消えるから『森の妖精 』なんて呼ばれたりしている、とっても貴重なキノコなのよ」


「わぁ?! 見つけられたら、ホントうれしいでしょうね〜」


 メリッサお姉さんが実はあのキノコの女王を見つけるには、ちょっとしたコツがあると話しだす。

 それを特別わたしに教えてくれるという……


 そのかわり、一本はギルドを通さず確実に買いたいから融通してほしいと言ってきた。


 値段はギルドで買うときと同じでよいので、かならず売ってほしいそうだ。

 それなら貴重な見つけるコツを教えてもらうのだから情報料だと思い、一本しか取れなくてもそれをメリッサお姉さんに渡すことを約束する。


 結果、聞いて正解だったよ!


 ギルドの図書室には載ってない、ものすごい情報だった。

 メリッサお姉さんも、他の人にぜったい言っちゃダメだという。


 それはまずホントに朝のはやい薄暗い時間、バンブ林でおとなの中指と親指で輪を作ったぐらいの大きさの、白っぽい卵状のモノを見つけるところからはじまる。


 驚くことに、そこからキノコの女王は頭を出すそうだ。

 地面の中に卵状のモノが隠れていることもたまにあるみたいだけど、通常は地面の上にあるからそれをまず見つけて、先に確認しておくことがものすごく大切だと教えてもらう。


 キノコの女王は頭を出したら、二、三時間で白いレース編みのドレスのようなモノをキレイに広げる。

 この見た目からキノコの女王と呼ばれているそうなんだけど……

 もうお姉さんのここまでの情報だけでも聞いてよかったと思ってしまうのに、まだ続きがあった。


 卵状のモノからでたキノコの女王の頭。

 この頭頂部、暗緑色の部分がすごく臭いらしい。

 その臭い匂いで、虫たちが寄ってくる。


 だからバンブ林でもし卵状のモノが見つけられなくても、朝のはやい時間ならまだ虫たちに食べられる前の可能性があるそうだ。


「臭い、ホントに臭いところをまず探すのよ!」


 そんなに、二回もいうほど臭いのか?


 お姉さんの情報は、まだまだ続く。


 最高の採取方法も実は特殊なようだ。

 数時間で成長するキノコの女王を卵状の部分からそっと抜いて、かならずその場で臭い暗緑色の笠部分を水で洗う。


『採取したキノコの女王は水で洗うこと』


 これはギルドの本に大きく載っていたな。

 臭かったから、なのか?

 でも、ここから先は載っていなかった。


「よく覚えておいてね。キノコの女王を洗う水は、魔法でだした水で洗うことが一番肝心なのよ! これがとても大切なところなの」


「魔法水ですか?」


 この工程でポーションにしたときの効力がだいぶ違うみたいだ。

 

「まだあるのよ。洗ったら暗緑色の部分が黄色ぽくなるから、今度はそれを風魔法で軽く乾燥させるの!」


 そのときの風の温度をわたしの手をとって教えてくれようとしたので、あわてて自分にかけていた薄いバリアを切った。

 大丈夫? バレてないかな?

 

 メリッサお姉さんはわたしの手のひらに向かって魔法の風を出し、風の温度を教えてくれる。


「これ以上熱くしたらぜったいダメよ!」


 ぬるい風? 冷たくない風? 涼しい風? そんな感じの風だった。


「この温度はどうやって覚えましょう? 難しくないですか?」


「ンーッ、これは感覚なのよねー」


「そうなのか……頑張って覚えます!」


「ふ、ふっ。やっぱりパールちゃんは、水も風魔法も使えるのね。まだ使える魔法があるんじゃない? あっ、答えなくてもいいのよ! わたしもわたしの祖母も数種類の魔法が使えるから、なんとなくパールちゃんもそうかなぁ〜って、わかちゃうのよねぇ〜だから、実はパールちゃんも薬師に向いているのよ〜」

 

「えっ、そうなんですか?」


「不思議ね〜。でもこれはあまり人には言っちゃダメよ。もちろんわたしたちのこともね」


「はい、わかりました」


「なにかあったら相談にのるから、ホントに気をつけて」

 

 なにをどう気をつけたら良いのかわからないけど、わかる人にはわかるんだと教えてもらう。


 なんでも知ってるお姉さんは、やっぱりすごい!

 だからつい、気になって聞いてしまった。


「メリッサお姉さんって……なん歳なんですか?」


「あら、パールちゃん。女の子でも女性に年齢は聞いちゃダメよ〜」


 そう言って、とぼけたあと……


 う、ふっ


「特別パールちゃんには、教えてあげる」


 っと聞いた年齢が……



 「えーっ!! 七十五歳!?」


 


 


 


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