60. 薬草三種とバンブの値段
まだお昼過ぎと言うこともあり、ギルドの買い取りカウンターは空いている。
この時間ここへ来る人は少ない。
ギルドのお姉さんは、わたしの持っているバンブの木をじっと見ている。
なんなら、ギルドに入ってからずっと見られていた。
めげずにカウンターへ置くと、すぐバンブの木が五本ですねと言って査定に入る。
親方はもう、オレが買うとお姉さんに伝えていた。
それからバンブの葉といつもの薬草。
今回も三種。
ヨウモギ草、ポポタン草、キンギン草を買い取りカウンターへ出す。
さあ、いくらになるのか楽しみだ!
このバンブの木はわたしより少し長い。
わたしの身長は今たぶん140センチないぐらいだから、この木は160センチぐらいだろう。
それが五本。
バンブの葉、百枚。
葉はもう少しあるけど、自分用とあとはメリッサお姉さんや宿屋へのお土産。
三十枚ずつ渡すつもりで分けてある。
あとはいつものヨウモギ草が四十個。
これは十個でワンセット。
ワンセット満額の買い取りで、銅貨五枚になる。
ポポタン草は五本。
こっちは一本から買い取りできる。
満額で、一本が銅貨二枚。
キンギン草は三十個。
五個でワンセットだ。
ワンセット満額が、銅貨五枚。
この三種の値段はわかる。
いつも満額の高値で買い取りしてもらってるから計算は簡単。
全部で銀貨六枚だ。
「お待たせいたしました。今回バンブの買い取りは、一本銀貨一枚で買い取らせていただきますので、バンブの木だけで銀貨五枚。あとバンブの葉ですが、これは十枚がワンセット満額で銅貨七枚になります。ですのでこれは銀貨七枚になり、合わせて銀貨十二枚。それにいつもの薬草三種が銀貨六枚ですので全部合わせると銀貨十八枚。大銀貨一枚と銀貨八枚になりますが、どうされますか?」
「わかりました。では銀貨八枚は現金で、残りの大銀貨一枚分はギルドに預けます」
胸ポケットから出したギルドカードを預ける。
それを確認すると、待ってましたと親方がすかさずお姉さんに声をかけた。
「じゃあ……バンブの木は、一本ギルドの取り分が二割増しで銀貨一枚と銅貨二枚だな。全部欲しいが三本買う! すぐ売ってくれ!」
「わかりました。あちらのカウンターまで行ってください」
ギルドのお姉さんは別のカウンターに親方を誘導する。
わたしはお姉さんから銀貨八枚とカードを受け取り、お金が入っているか確認してギルドをでてきた。
うーん……
たしかにビミョーな金額だ。
あのウロに使った薬草代と今回は無料だったけど、あの薬代を考えると儲けてはいるだろうけどホントにビミョーだよ。
あの親方が言ってたことがわかる……
今回は、しょうがない。
まずはメリッサお姉さんのところへ報告だね。
♢♢
『薬師メリッサ』のドアを開ける。
キラン キラン
やさしいハーブの香り……
店の奥からお姉さんが出てきた。
「あっ、パールちゃんおかえりなさい! どうだった? きちんと眠れた?」
「はい。あのお薬のおかげでぐっすりです。あのお薬は売り出すんですか? いくらするのかな? 次に行くときにも欲しいんで、金額が決まっていたら教えてもらえますか? えっと、それからこれ。お土産です」
別にしておいたバンブの葉を三十枚、カウンターの上に置く。
微笑んで話を聞いていたメリッサお姉さんが急に。
「これは、バンブの葉ね! もしかして、バンブの木も一緒に持って帰ってきたの?」
「はい、五本持って帰ってきてすぐ細工師の親方が三本買ってくれました。あと、三種の薬草もギルドに預けてます」
「ありがとう! パールちゃん今日は使ったお薬の報告よね? きてくれてすぐで悪いけど、今からバンブの木を買いにギルドへ行くから、明日また来てくれる? ホントにごめんね!」
お姉さんはバンブの葉を急いで奥に持っていき、お店に鍵をかけドアには休憩中の看板をかけると走って、そう、ホントに走ってギルドへ向かった。
おいていかれたわたしは宿屋へ戻って、おかみさんとオヤジさんに帰って来たと顔を出し、少し早い夕食を食べさせてもらう。
おかみさんたちにもバンブの葉をお土産に渡すと、よろこんでくれた。
お茶にするそうだ。
あとはオヤジさんから果物を少しもらって、部屋でゆっくり休むことにした。
実はわたしの部屋にはお風呂がある。
お湯を頼んで持ってきてもらうことのできる、少しだけ上等な部屋を借りているのだ。
お湯は自分で用意できるからね!
マークがこの部屋をパールは行水が好きだからと、辺境伯様に頼んで借りてくれた。
だから今も毎日、お風呂に入れている。
これが一番うれしいかな。
昨日はお風呂に入ってないのでゆっくりとつかって、部屋でのんびりする。
ふ〜ぅ。
自分の分のバンブの葉を魔法で細かくし、少しだけポットに入れ煎じて飲んでみた。
さわやかな風味で、まずまずかな?
部屋にはお風呂があるけど、ベッドに小さな机と椅子。
あとはクローゼットと壁面にテーブルのような台がひとつ。
ものは増やさないようにしているつもりでも、冒険の準備用品だけでテーブルがいっぱいになる。
薬草を入れておく袋を洗ったり、革袋を乾かしたりしていたら時間はすぐに過ぎていく。
チェリーと今回の反省点や次の目標なんかを話しながら、今日は早めにベッドへ入る。
一番の反省は検索の意識を切ったこと。
いつものように完全に切れることはないけれど、検索を切るとチェリーとの繋がりが薄くなり危険だと知った。
特に冒険中はもう少しチェリーを意識し、補助してもらわないとダメだ!
チェリーにはスキルマッピングでマーキングした獣や魔物が、まずは五十メートル近づくと検索でわかるように意識して魔法をかけておくことを提案される。
そうすることでチェリーがわたしに、知らせやすくなるみたい。
あと軽い結界魔法、バリアをかけっぱなしで生活してみたら、レベルが上がるかもしれないと告げられた。
今わたしは、レベル59。
ここからぜんぜん上がらない……
八歳になっても、九歳になっても、レベルは59のままだから試してみてもいいかも?
軽い結界魔法。
バリアが使えるようになったときは、ホントによろこんだ。
つらかった虫問題が、少しだけ解決できたよ。
チェリーがレベル56からの特典だと教えてくれたときのうれしかったこと……
まあ、虫を少し弾く程度の結界魔法だったけどね!
ずっとつけたままも、したことがない。
できるだろうか?
バリアは危険がないと使えているのかわかりにくいし、そんなことにならない安全な冒険をしているからあまり練習できていない。
身体強化とセットで使うことが多く、走るとき顔やからだに飛んでくる虫を弾くだけで大満足していた。
これは案外、難題なのか?
練習がてらホントに薄いバリアを意識してからだにつけ、今日は寝てみようかな……
あらっ、不思議? 寒くも暑くもない。
これは、いいかも?!




