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59. バンブの木で水筒 作り

 あわてて検索をかける。 


「本当だ。急にスピードを落として近づいてきているから、これはホワイトベアー狙いだね。 もう少し離れたところで様子を見ながら確認しようか」


「はい。検索は切らないで、風下に向かってください」


「うん、わかった」


 そう〜っと、ホワイトベアーから距離を取る。

 しばらくすると鋭い目をしたゴールデンタイガーが姿を現した。


 金色ですごくキレイ!


 そんなちょっとどうでもいいことを考えていると、一瞬でホワイトベアーに襲いかかっていく。

 見る間に急所の首へ襲いかかられ、不意をつかれたホワイトベアーはゴールデンタイガーの餌食になった。


 ものすごくはやい!


 これは気をつけないと、わたしなんてあっという間に食べられてしまう。

 絶対、検索は切ってはダメだ!

 なんだかとても勉強になったなぁ〜。

 ゴールデンタイガーにマーキングだけして、その場をそっと離れる。


 あとはまわりになにもいないことを確認したバンブ林で、よさそうなバンブの木を四本切り倒す。

 そしてそのまま長い木を担ぎ、途中人に会わないようちょっとだけ遠回りしながら、ウロ近くまで急いで戻ってきた。


 はじめに開けた場所でバンブの葉を集める。

 これも薬になるそうだ。

 それから程よい太さのところで、持って帰えりやすく木を切り揃えておく。 

 残ったバンブの木で今から水筒作りをするから、まずは魔法で木の水抜き。

 この工程がすごく大切らしく、ちょうど良いところまでチェリーに教わりながら水を抜いていき、やっと水筒作りができる。


 使いやすい長さに切った水筒は飲み口のところを斜めに切って、飲みやすいよう内側を少し削り、水が流れやすくなる工夫をしておく。


 これもチェリーに教えてもらった。

 飲み口の穴は小さく二箇所空けるか迷って、もう大きめにドンとひとつ開け中が完全にのぞけるようにした。

 飲み口のセンは同じバンブの少し細い部分で簡単に作る。


 普段は魔法で水が出せるからコップも作って、それで飲めば大丈夫。

 人がいるときだけ水筒から水を出すことにする。

 中が完全に見えるようにしたのは、カビや汚れがすぐわかるから念のため。

 浄化の魔法も覚えたので使うたびかけるつもりでいるけど、やっぱり目で確認したい。


 それから細い棒二本で使う『ハシ』

 これもバンブで作る。

 はじめハシを使いこなすのが、なかなか難しかった。

 でも慣れればフォークより楽な調理道具だ。

 全部チェリーに教わる。


 長めと短め、それから予備と……

 そうだ、お皿もバンブの木なら簡単にできる!

 スープが入る深めのお皿と少し大きめの浅いお皿。


 魔法を使って作るから、あっという間に完成だ!

 何気にあのしおりとネックレス作りが、わたしを器用にしてくれた。


 まだまだ作れるから、適当に切って持って帰ろう。

 もう今回はこれと頼まれた薬草で終わりだな。


 日が沈む前に戻って、リンゴを食べウロで休む。


 思っていたより余裕があるなぁ。

 毛布を出してくるまりホッとひと息つく。

 ウロのフタは内側から二枚重ねるタイプなので、少し隙間を開けて薄い青紫の景色を眺めながら……


「チェリー 、魔物がそばまでこないかなぁ?」


「はい。ここらへんはまだダンジョンというより森になるので、大丈夫だと思います。 薬師メリッサからいただいた薬を飲まれますか?」


「んっ、飲むけどもう少し起きてるよ。夜の景色も見てみたいからね」


 ウロの回りは本当に安全で、たまになにか動物が通っているのかな? でも快適だ。


 夜の景色は真っ暗で、思っていたよりすぐ飽きてしまう。

 しょうがないから、お姉さんからもらった薬をクイっと飲んで……気づいたら、朝だった。


「チェリー、おはよう! ホントによく眠れたみたい。昨日の夜は危なくなかった?」


「はい。おはようございます。昨日はなにごともなく、静かな夜でした」


 見張ってくれていたチェリーにお礼をいって、持ってきたリンゴを食べる。

 あとは頼まれた薬草採取に向かうだけ。

 

 なれた薬草なので、場所はわかっている。

 三箇所まわって丁寧に採取すればいい。


 今日はみんなが心配しているだろうからウロに一度戻り、隠しておいたバンブの木を丈夫なヒモでまとめ持ちやすくし、いつもより早く帰ることにした。


 自分の背より長いバンブを五本身体強化で持って歩くとちょっと目立つけど気にしない。


 それでもやっぱり森近く、木の細工ものを扱っている店のおじさんが店の前で声を掛けてきた。

 

「お嬢ちゃん、それっバンブの木だろう? まさか、とってきたのかい?」


「はい、そうですけど?」


「頼む、それを少しわけてくれ!」


「今からギルドに持っていくので、そこでよかったらどうぞ」


「わかった、ちょっと待ってくれ! 一緒にギルドに行くから。ちょっとだけ止まっててくれよっ!」


「えっ、お店はどうするんですか?」


「大丈夫だ! おーい! 少し出てくる! あと頼むぞーっ!」


 店の中から男の子が出てきた。


「親〜方〜、どこ行くんですか〜? はやく帰ってきてくださいよって、あーっ! これ、バンブですか!」


「そうだ。ギルドまで一緒にいって買ってくるから、待ってろよ!」


「はいっ、親方! 絶対買ってきてくださいね!」



 ギルドに着くまでのあいだ親方がなんだかバンブに詳しそうなのでバンブの林について聞いてみる。


 あの林はホワイトベアーもでるし、あそこまで行ってこれをかついで帰ってくるヤツは珍しいと言われた。

 もっといいモノがあるから、これでは割に合わないのか?

 わたしのように薬草ハンターならあの奥にバンブの子や珍しいキノコもあるらしく、バンブの木だけで帰ってきたというと、残念な子を見る目でなんだか見られたけど、親方はバンブ狙いだから嬉しそうだった。

 これからはギルドの二階にある図書室で、今から冒険にいく場所の地図なり獲物や薬草の分布図を確認して、それからダンジョンに向かうとよいと教えてもらう。


 そんなところがギルドにあったのか!

 知らなかった!


 そのあとも今度またバンブの林にいってバンブの木を持って帰るなら、できるだけ太いバンブを頼まれる。

 どれくらい太いのがいいか聞くと、太ければ太いほどよいという。

 長さは親方の背ほどでいいようなので、またかついで持って帰ってくるよっと伝えるとすごくよろこんでくれた。


 気の良さそうな親方にも出会って、ギルドの図書室のことも教えてもらったし。


 ンーーッ、これで……


 今回の野宿は、まずまず成功としよう!


 


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