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50. 装備ができた

 やっとベストと腰巻きの装備ができあがったと、バンさんから連絡がきた。

 マークとシーナの三人で革屋さんへ向かう。

 店の前にはもう、バンさんが待ち構えていて驚かされる。

 いつから店の前にいたんだろう?


「パールちゃん、ようやくできたよ! さぁ、見てくれ! いや、着てみてくれ!」


「おい、バン!!  少し落ち着け! すまないなこんなんで……昨日まで頑張って作っていたからなぁ、できあがりが気になって仕方がないんだよ」


「おれたちも気になってたから、大丈夫さっ」


「そうね、わたしもはやく見たいわ。パール着てみせて」


 バンさんの手にある赤茶色のベストがわたしを惹きつける。

 今日はシーナが作ってくれた深緑のズボンに茶色のシャツを着ているので、完ぺきな冒険者スタイルの完成だ。


 バンさんに手伝ってもらい腰巻きを先につけて、それからベストを着せてもらう。


「軽い?」


 まだシワがひとつもないピシッとした革なので、もっと重いのかと思ったら意外と軽かった。


「だろ? わかってくれてうれしいよ!! これはシャークの革のおかげさ。着心地はどう?」


「うーん、まだ革がピシッとしているから、着せられてる感じは少しするけど、すごくいいよ! 苦しくもないし」


「見ていてもいい感じよ。ベストの襟元もステキ! わたしもひとつほしいぐらいよ!」


「よかったな!! バン! シーナちゃんのお墨付きがもらえたぞ! コイツはシーナちゃんがこれなら許してくれるか? って、だいぶ気にしていたからな」


「まぁ、そうなの? バンさんこのベストも腰巻きもとてもステキよ」


 シワになるのがイヤで、ふたつを脱ぐとシーナとマークがベストと腰巻きに飛びつき、できあがり具合の素晴らしさをほめて裏側のシャークの革の部分をじっくり確かめていた。

 

「軽いなぁー」


「ホント、軽いわー!」


「見た目はちょっと変わったポケットの多いベストに見えるけど、実はそこがパールちゃんの心臓だったりするからシャークの革を重ねて使っていたりと、知恵を絞って工夫したところなんだ!」


「すごいなぁ! ホントに良く考えられている……おれもほしいよ」


「なんだ、マーク! シーナちゃんとペアで作ってもらうのか?」


 ハッ ハッハーッ


「なっ、なに、なんだってっ!」


「もーぉ、おじさん。からかわないでよ! シャークの革はもうないでしょう? あったら、あと三枚ほしいわー!?」


「えっ、シーナさんホントに?」


「そうよ、実はわたしたちも三年後には王都へ行くのよ。そのときに、これがあれば安心でしょ?」


「そうか、寂しくなるがパールちゃんひとりってのもなぁ〜。じゃぁ、トムさんも一緒にかい?」


「ええ、そうなの」


「そうか……しょうがないな……」


「三年あるなら、なんとかなるかもしれない……」


「おい、おい。無茶はするなよ!」


「わかってる……」


 あぁ、これはわかってない、わかってるだな。


 三年のあいだにできればっということで、一先ず落ち着いた。


「パール、これで明日から狩もできるぞ!」


「そう……なるね」


「ふふふ、パール。頑張ってね」


  ♢


 朝から今日は完ぺきな装備でヘデラの森に入る。

 カイルさんにもカッコイイよっとほめてもらった。


 「まずはウサミミぐらいからかな?」


「そうだな。パールにはそれぐらいからだな」


 ウサミミか〜

 妥当なんだけど、なんだかなぁ〜


 カイルさんの案内によって、あっという間にウサミミの巣穴までやってきた。

 

「まずはパール、思うとおりにやってみろ」


「えー!? なにも、思えない!」


 ちょっと向こうで草を食べているあのウサミミをやるのか……無理だ!


「マーク、わたし……剣では無理だよ。魔法でもいい?」


「魔法か……」


「マーク。まずはウサミミを仕留めることができるようになるのが肝心だろう。魔法でもいいんじゃないか?」


 ありがとう! カイルさん!


「そうだな。じゃぁ、やってみろ」


 くーっ、つらいけど……


「ごめんねー!! ウサミミちゃん!! 火の小玉ミニいけー!!」

 

 向こうで草を食べているところに、親指と人差し指で輪を作ったぐらいの火の玉がすごい勢いで飛んでいった。


 あっ


 小玉が大きい! それではダメなんだけど……

 みれない。


 シュパーンッ!!


「「えっ」」


 な、なに?


「おい、パール。みてみろよ」


「顔がない……」


「威力がありすぎだな……」


「まあ、血抜きがしやすいな……」


「ごめんなさい……」


 それからしばらくは、木の枝を使って魔法の練習をすることになった。

 細い枝だけをサッと折れるぐらいの威力を覚えること……


 あとからカイルさんにせめて自分が仕留める獲物は、最後まで責任をもってみているようにいわれた。

 もっともだ……

 いつもおいしくお肉は食べてるのに……反省。

 マークもうなずいている。


 それからは心を強く持って、自分の仕留める獲物には目をそらさないでみていられるように頑張った。

 

 そっと、後ろから仕留めているけど……

 マークはちょっと呆れてたかな?

 でもカイルさんはそれでも良いといってくれる。

 

「まずは最後まで責任をもって仕留めること!」


「はいっ」


 他にも今のうちにと、危険な獣にわざと遭遇させられて、その対処方法とさばき方も教えてもらう。


 マークが最後は剣で仕留めてくれたけど、わたしは無理かな?

 腰にある剣はもうお飾りでも別にいいよ。


 マークに獣の急所を教わり、そこを氷の玉か槍を作って打ち仕留めることにしようかな?

 火玉では毛皮が少し焦げることに気がついた。

 でもやっぱり、血は苦手だ。


 捌くのは冒険者になるなら必要だと、トムさんが見るだけでもいいから慣れておくようにと小さなころから指導してくれていたので見慣れてはいるけど……

 実際してみると、ちょっとつらい。

 やろうと思えばできるぐらいでいいかな?

 マークにそれとなく伝えると苦笑いして。


「気持ちはわかるが、もう少しだけ頑張れ。これは役に立つからな」


 もう少し頑張らないとダメみたいだ。


 わたしは薬草専門のハンターになるのに……



 ちょっといじけたわたしに、マークがスッとポポタン草を一輪、目の前に差しだす。


「パール、かわいい花だよ。笑ってくれよ……」


 もーっ! 



 キレイに咲いてるポポタン草は黄色くて……

 ホントに、ホントに、かわいかった……





 

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