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49. 薬草採取の方法

 無事、辺境伯様に森へ入る許可をもらえた。


 カイルさんは辺境伯様から、まだ森で見つかっていない香木を薬草のついでに探してくるようご指示があったみたいだ。


 わたしはマークから少しでも冒険者になる知恵をつけなさいと言付かったくらいかな?

 よかったよ。


 カイルさんにはマークの足が良くなっていることを隠さず告げている。

 カイルさんもマークが足を少し引きずって、痛そうにしていたのを何度かみていたようなので、よかったなあっと言ってよろこんでくれたあとは、なにか二人で話し込んでいた。

 やっぱりカイルさんにも王家や貴族様には気をつけるよう注意を受ける。

 マークの足のことは、黙っていてくれるそうだ。


 本格的にヘデラの森へ入っていく。


 この森はまず入り口近くから続く色とりどりの蔦の多さに驚かされる。

 ヘデラの森独特な蔦たちがわたしたちを歓迎しているのか? 拒んでいるのか?

 これから起こるであろう冒険に心が弾む。


 ンーッ いい香り!

 森特有の樹木が発する清々しい何とも言えない香りで癒され、少し心を落ち着ける。


 狩と薬草の採取方法などは冒険者だったマークに教わり、カイルさんには森の案内と薬草の見分け方やアドバイスをしてもらう。


 森に入ってそんなに奥までいかなくてもカイルさんの案内で、薬草はすぐに見つけられた。


 まずは、ヨウモギ草。

 図書室で調べたとおりピアンタ王国では、どこの森でも生えている基本の薬草だ。


「あっ、それならわかるよ! これでしょう?」


 カイルさんの足元に生えていたのと同じ薬草が、わたしのそばにも少し生えていたので、本に書いてあったとおり丁寧に扱って大切に根から引っこ抜いた。


 んっ? マークがチラッとカイルさんを見る。

 マークは、悪い大人の笑顔だ……


 あれっ?


 カイルさんはいかにも、引っかかったなっという悪い微笑みで、なんだかうれしそうに説明しだした。


「これをみろパール! 葉の全体が楕円形で、先がとがっているようで少し丸みを帯びている。深い切れ込みもほら、あるだろう。そして表面は緑色で、裏は灰白色の綿毛が生えている、これがヨウモギ草だ。パールのモノと比べてみろ」


 悔しいけど、裏側の葉の色が違うし、綿毛がない……

 比べたらわかる……これは、違う。


「いいかパール、慌てずよくみて観察しろよ。薬草にはこういうよく似たものがある。それが、毒を持っていたりすることもあるから、必ず正解を覚えておくこと!」


「……はい」


 なんだか二人にやられた感はあるけど、これはいい勉強になる。

 図書室の本には、ここまで詳しく載ってなかった。


「それからパール、ヨウモギ草に根っこはいらない。次の人か今度くる自分のために残しておけよ。ヨウモギ草は柔らかい新芽の部分のみをやさしく採取すること。あと、どんな薬草でもそこに生えているすべてを採らないこと、少し残せよ。それは冒険者としてのマナーだな。覚えておくように」


「はい」


 そこから、二人のスパルタ教育が始まった。

 

「カイルさん、この薬草いるかい?」


「いや、いまはいいよ」


「パール、この薬草を採取してみろ」


「これは、ポポタン草?」


「そうだ、よく知っているな。図書室にこもっていた甲斐があるな」


 えへっ


 気分よくポポタン草を薬草採取用ナイフで集めていく。

 十本採ったところで、マークにみせた。


「50点だな」


 えーっ、ちょっと厳しくない?

 不満が顔にでていたのか、カイルさんが説明してくれる。


「パール、このポポタン草はすべて使えるんだよ。これはポーションになるだけじゃなくて、薬にもお茶にもなるから、根っこから採取するんだ」


「これは、根っこからなんだ……」


「そう、そして花は黄色くてかわいいが、開花寸前のもので葉は小さめの柔らかそうなものが一番効果が高く上質とされるから、つぼみを探すこと」


 続けてマークも教えてくれる。

 これは、知らなかった?!

 さすがは元冒険者だよ!


「パール、小さなシャベルを持っていると薬草採取には役立つぞ。根っこは、シャベルで掘り出して土を丁寧に落としてやるといい」


 カイルさんが薬草をとるコツを教えてくれると、マークも何か思い出したのか。


「そうだ。土が付いたままだと、高値で買い取ってもらえないんだよ」


 思っていたより、細かいなぁ。


 薬草によって根ごとや茎までなど、採取方法がいろいろ違うことを知った。


 五本で一組の薬草の束ね方。

 十本の場合や半端な本数のときなど……

 袋の選択の仕方。

 革袋にするか、布の袋にするのか。

 どう持ち帰るかによって、ギルドでの薬草の値段が変わってくる。


 マークの指示で、同じところで採取した薬草を違う持ち帰り方で小屋に持ち帰り、薬草の状態の違いを観察したりといろいろ試した。


 スキルマッピングは薬草を数種類見つけて、めぼしい物だけをマーキングして試している。


 ヨウモギ草、ポポタン草、キンギン草、ヤクシ草、それと香木をいまはマーキングしていて、チェリーに教えてもらったとおりマッピングの範囲も自分で決めてちょうどいいところを探っている最中だ。


 今は五種類が、ピコピコしている。


(チェリー、この五種類のピコピコをたとえば香木だけに絞れたりできるのかな?)


(はい。できます。マーキングの選択をひとつにすると願ってみてください)


 わーっ、すごい!!

 案外あるなぁ〜

 

 スキルマッピングの使い方もわかってきたし……

 あとは、狩か〜

 でもこれはわたしの冒険者の装備ができてからなので、もう少しあとだな。

 それまで薬草をいっぱい探そう!


「マーク、足は大丈夫? 痛くない?」


「あぁ、大丈夫だ。それよりあれ、わかるか?」


 そこには、80メートルはありそうな大きな高い木がそびえ立っていた。


「あぁ、トワランの木だな。樹皮がツルツルしているから動物たちでも登りにくいし、背も高い目立つ木だ」


 カイルさんが説明してくれる。

 ホントに飛び抜けて高いなぁー


「パール、この木を覚えておけよ。この木の上にはオオミツバチが巣を作っていることがある。ハチを避けるにしてもハチミツをとるにしても重要なことだ。今日は巣があるかだけ確認する」


 えっ、えっ、マーク大丈夫?

 あっという間に、一本のロープを使って登っていった。

 

「は、は、はっ! あれは、シーナの好物なんだ。何度かこのハチミツをとる機会があってな、シーナがよろこんで食べていたのを覚えてたんだろう……まぁ、愛の力だな」


「愛の力……」


 へ〜ぇ やっぱり、頑張るんだ……

 マークも意外とやるんだね。


 シーナに教えて あ.げ.よっ !


 



 

 

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