02. 前世の記憶
目が覚めてしばらくベッドの中でボーッとして、何がなんだか分からないまま起こってしまったことを考え整理する。
まず思い出したことは、わたしの『前世の記憶』
それも自分の名前やどうして死んだのかなどは思い出せないのに、今よりもっと大人の思考が自分の中に芽生えていた。
絶対 三歳ではない。
前世は今とはどうもぜんぜん違う世界なようだ。
ずいぶん進んだ文明で、今のお屋敷よりもずっと高い建物に馬車とは違う馬のいない乗り物や空を飛ぶ乗り物まである……
映像で知ったのか誰かに語ってもらったのか、それとも本を読んで知り得た情報なのか分からないけれど前世の事柄が頭の中に渦巻いていた。
わたしは水に囲まれた小さな島に最低でも祖母だと思う人と一緒に住んでいたようで、他の家族がいたのかも分からない。
モヤがかかったようになっていて、その時の自分の顔も祖母だと思う人の顔もぼやけて分からなかった。
ただ歳がいった女性がそばにいる……
そう感じとった。
わたしの暮らしていた島は、昔の暮らしを大切にする数少ない変わった島らしく『宇っ宙人』に知られないよう、ひっそりと食材を水中や山で採取し料理して食べていたようだ。
今はそれが普通だけれど、前世では食事はサップリメントと言う固形の粒状の物が主流で、料理を作る時間を無駄なことと惜しんでいた。
料理を作ること。
そしてそれらを食べることは、野蛮な行為として推奨されない。
料理を作って食べるそんな暇や時間があるのなら、栄養のあるサップリメントを サッと食べてもっと働くか、自分を磨いて国に貢献する人になれっと『宇っ宙人』が強制していた。
そう、前世には今の世界でも存在している『魔物』
わたしは見たことがないけど(三歳だし)
その『魔物』のような少し爬虫類に似た顔をしていて、しっぽがあり 二足歩行の魔法が使える知能の高い、人とは別の生き物。
『宇っ宙人』が存在していた。
前世のわたしや周りの人たちは、誰も魔法が使えない。
そんな人たちは『地っ球人』と呼ばれ、区別されていたように思う。
今世、今は大なり小なり魔法が使える人たちがいるし『魔物』は討伐される存在だ。
『宇っ宙人』と『魔物』は別の生き物で、ぜんぜん関係ない。
あーっ、頭が混乱してしまいそうになる。
けれど前世には『地っ球人』と『宇っ宙人』と呼ばれている 二つの異なった人? 生物? が、存在していたのだ。
そして……
『地っ球人』は 弱く『宇っ宙人』は とても強かった。