16. 四歳になって
四歳になって、やっとレベルが20に上がった。
レベル3から始まってレベル10になるまでは、トントン拍子に進んで、そのあともそこそこ調子はよかった。
でもレベル19で、ピタッと止まる。
練習方法に問題があるのかな?
検索をして身体強化しながら湖まで走って行くのが日課となっていて、そこで魔法の練習をしている。
湖には辺境伯家の敷地内にある小道を通り抜けていくのが一般的な行き方。
その道の途中で馬小屋を通る。
だから湖に誰かが向かうと、すぐに気がつく。
人を寄せつけないつくり。
湖には、めったに人がこない。
今は馬たちの散歩コースになっている。
特に火魔法を使うときは誰にもみられる心配がないので、湖では安心して練習できた。
火の魔法、小玉。
『ファイアーボール小』は、顔の大きさ。
怖くて練習を止めた、中玉。
『ファイアーボール中』は、両手で輪を作った大きさに決定した。
大玉の『ファイアーボール大』は、まだ試していない。
中玉の『ファイアーボール中』を試したら、細木が一本吹っ飛んで怖くなって止めた。
その代わりにもっと小さい、ファイアーボールをあみだす。
親指と人差し指を輪にしたぐらいの大きさ。
もう『小玉ミニ』って呼んでるけど。
その『小玉ミニ』を今は、もっと小さくする練習中だ。
できるだけ小さな火の玉を自在に操れるようになって、敵にそっと忍び寄ることができたら、安全で便利じゃないかと思ったんだけど……
レベル19では、なかなか難しかった。
レベルが20になったから、ちょっと期待している。
水の魔法も毎日タライの水と飲み水をだして、素早く一瞬でお湯にできないかと練習しているところだ。
今はまだ水からお湯へと段階が必要で、はやく一発で思う温度のお湯がだせるようになりたい。
あとは、氷を魔法でだす練習かな。
まだ飲み水で使うための小さな氷のようなモノ、これが数個ぐらいしかだせていない。
モノを一瞬で凍らせたら、凄い攻撃力になると思うんだけど、これもまだ難しい。
マークの飲み水を少しだけ冷たくして、黙って渡してみる。
目を一瞬大きく見開いて、驚いていた。
「氷の魔法が使えるのか…… これはナイショにしろ。 使える者が少ないから、おまえのような子どもがこの魔法を使えると人に知られるのは危険すぎる」
「うん、わかった…… でも小屋では使うよ。 水が冷たいとおいしいよね!」
「んっ…… おれのも…… たのむ……」
冷たい水、おいしかったんだね。
チェリーが以前、わたしのレベルは3だけど、すべて3だと告げていたから、もしかして魔法はすべての種類使えるのかもしれない。
まだいろいろ練習中だけどね。
レベル20になって、まずはどこでもできる検索から使ってみたら、嬉しい誤算があった。
検索はレベル19で190メートルの範囲が可能になっていたので、レベル20では200メートルだと思っていたら、なんと1000メートルだよっ!
レベル10台と20台では、こんなに大きく違うんだとしみじみ考えさせられた。
これから使う魔法が楽しみだなぁ。
気をよくして、次の挑戦に進むことにする。
じつはレベルが20になったらやってみたい魔法があった。
それは、ヒール!
レベルが10台のとき、一度だけチェリーに尋ねてみた魔法。
最低でもレベルが20なければ、まともなヒールにならないと教えられ、この時を楽しみにしていた。
さて、何をヒールしたものか……
「チェリー、どうやってヒールを使ったらいいと思う?」
「はい。 まずは身体強化なしで走ってみてはどうでしょうか。 そのあと自分にヒールをかけて、確認してください」
なるほど。
身体強化なしで…… 走るね……
やってみましたよ。
そして、おもいっきり…… こけました。
チェリーはこうなると、わかっていたのではないかと疑ってしまう。
こんなに気持ちと足が、チグハグになるなんて……
はいっ!
ヒールはなんとか、できました。
擦りむいた膝はまだ少し赤みが残っているけど、もうヒリヒリ痛くはないから、ギリギリの合格点だね。
できれば擦り傷ぐらいは、跡形もなく消えて欲しかった……
これはわたしが毎日使っていた身体強化のすごさを、痛みとともに実感することができた貴重な実験ってこと?!
でも身体強化がないと転げてしまう運動神経って、どうなのよ?
このまま身体強化していて、わたしの体は大丈夫なのだろうか?
ちょっと、心配になってしまった。
チェリーに確認した方がいいのかな?
ねぇ チェリー どう思う……




