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110. 魔法袋が三つ

 魔法袋はラメール王国では、そんなに珍しくないのかな?


 メリッサお姉さんもラメール王国にいるときに、お祖母さんからもらって持っていたし……

 時間が遅くなるもの以外は、案外出回っているのかも?

 サラマンダーが一匹でも、収納できる量はすごく多いからなぁ〜?


 そんなことを考えていたらドアが開いて、もう外に出ても大丈夫だと告げられる。


 外にはシルバーウルフが固まって積んであった。

 これから解体をするので、もう少し時間がかかるそうだ。

 三人は解体も素早く、手慣れているな……


 ソードがそんなにおいしいお肉ではないけれど、今日の夕食はシルバーウルフのステーキとスープだと笑顔で教えてくれる。


 あと、この毛皮は売ってしまうらしい。

 ライがいるか聞いてきたので、記念に一枚もらうことにした。

 イスにでも敷こうかな?


 解体で血の匂いがきついはずなのに、ぜんぜんしない……


 だれか風の魔法が得意な人がいるようだ。

 この三人はわたしが思っているよりハイスペックなのかも知れないな。


 ソードはたぶん、護衛だしね。


 解体後はもう少しだけ馬車で走って、今日の目的地まで無事到着できた。


 アレっ? これは、どういうことだろう……


 わたしがオトイレに行っている数分のあいだに火が焚かれ、なぜか大きなテーブルに椅子それにナイフやフォークまですべてがキレイにセッティングされ並べられている。

 どう考えても、魔法袋からそのままだしたとしか思えない……

 頭の中でチェリーに、相談してみた。


(チェリー。これは、どう思う? おどろいたほうがいいのか? それとももしかして、魔法袋を知っているのか試されてるのかなぁ?)


(はい。試されています。あの馬車も魔道具ですから、パールがどこまで知っているのか気になるのでは?)


(ちょっと、待ってよ! チェリー!? あの馬車、魔道具なの? それって、わたしのテントと一緒ってことなんじゃないの? わーっ、すごい! はやく教えてよーっ! 中も見てみたいなーっ? じゃあ、無理におどろかなくてもいいかな)


 もう気にしないで、ライに勧められるまま席に座って、食事をすることに決めた。


 パンがサッと出てきて……

 高価なジャムもあるぞ。


 普通になにも気にせず、パンをちぎってジャムを少し塗って食べてみる。


 うん、おいしいジャムだ。

 パンは……ちょっと、パサつくかな?

 やっぱり、時間が普通に経過する魔法袋だ。


 お水も、ある……

 水瓶は、ないな……


 一口飲んで、んっ?! びっくり。

 わたしの魔法水と同じぐらい、おいしい! 


 だれ? この人も魔力が多いぞ!

 この魔法水は、だれの? 


 あれっ、ライがじっと見ている……

 ライだ! ライの魔法水だ!


「おいしい、お水だね」


「そうか……」


 ニヤっと笑って、ライが答えた……

 正解だな……


 ガントがお肉を焼く係だったのか、おいしいそうに焼かれたステーキを持ってきてくれた。

 野菜とスープは、ソードが持ってきてくれる。


 みんなで、一緒に食べるようだ。

 外なのにナイフやフォークを使って、ガサツそうなガントまでテーブルマナーはみんな完璧みたい。


 よかった……これは、シーナに感謝だな……

 なんとか、みんなと食べていても恥ずかしくない。

 ホントに貴族の人たちとテーブルを一緒にする日がくるとは……

 あの、へんに目が肥えた辺境伯のみんなの、ありがたい指導を思い出すよ……


 シルバーウルフのお肉は少し硬いし、独特の風味もあったけど、温かい料理はうれしい。


 ソードと一緒に片付けようとしたら、ライのそばにいるように言われる。

 わたしはお客さん扱いのようだ。

 ソードはすばやくテーブルの上のモノを片付けて、お茶を淹れてくれた。


 さあ、ここからかな?

 なにを告げられるのか……


「パール。きみはこれを、知っているかい?」


 ライが自分の腰のカバンから、魔法袋を取り出して見せてきた。

 ソードもガントもわたしを、じっと見ている。

 ガントは目が合うと、小さくうなずいてきた。


 フゥーッ、ひとつ息をはいて……


「はい、知っています。魔法袋ですね」


「やっぱり、知っていたか……」


 ライが持っているモノは、サラマンダーが一匹のモノだそうだ。


 魔法袋は珍しいモノだけど、ラメール王国では知っている人も多いそうで、もし余っているなら譲ってほしいと言ってきた。

 それが無理なら、だれにも知られないようにして、自分だけで使うように忠告される。


 使い方を間違えると大変なことにもなる貴重なモノだから、もしもお金が必要で手放さなければいけないときには、一番に声をかけてほしいと伝えてきた。


「ライは……もう持っているのに、まだ欲しいの?」


「欲しいか、欲しくないかと聞かれたら、欲しい。でもそれだけじゃない。 この魔法袋が、悪いヤツらの手に渡らないようにしたいんだよ」


「すごいね。考え方が、王様みたい……」


「っ!! そうか、そうなのか……」


「ライ。もう、話しても大丈夫だろ?」


 ガントが意味ありげに、ライに声をかけている。

 ライは軽くうなずき、場所を変えると言いだした。


 ソードがスッと立ち、大きなテーブルを自分の持っていた魔法袋にしまう。

 ガントも自分の魔法袋を取りだして、馬車と馬を取り囲むように、四隅にバリアのようなモノをおく。


 魔法袋が、三つ。

 ホントだ、全員持ってるよ……


 ライには馬車の中へと誘導される。


 すごい!? 


 チェリーの言っていたとおり、この馬車は魔道具だ!


 ラメール王国は、ホントに進んだ国なんだ……


 もうっ、おどろきだよっ!!

 

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