11. スキルについて
帰りはマークがはやくスキルについて聞きたいからか、わたしに合わせて歩くのが辛いのか、抱っこで帰ってくる。
小屋まで 三十分もかからなかった。
辛かったんだな……
小屋に戻ってお茶を入れてもらう。
手渡しでコップをもらい、一口 飲む。
あっ、マーク特製ハーブティー!
これは、美味しいやつだ!
テーブルに向かい合って、一息 入れる。
一応、わたしが落ち着くまでは、聞くのを我慢しているみたいだけど、そばで ソワソワしているマークが気になってしょうがないので話しだした。
「えっとー 。スキルだと思うけど、やっぱりボードには『前世の記憶』って書いてあったよ。あとレベルは〜 たぶん 普通? かな?」
『前世の記憶』のところで軽くうなずいていたマークが、レベルの話しで首をひねる。
「レベルが普通って、どうしてわかったんだ?」
「えっ。あー それは、50って数字があったから 100の半分…… ちょうど真ん中かな? って思ったんだけど?」
片手を額にあてだした。
「ウーン……」
アレッ? 違った?
「おい 、100ってなんだよ。なにかってに決めてんだ。なんの半分だよ? それに水とか火とか、なにか数字の前に文字はなかったのか?」
「そういわれたら…… 水とか火の文字はなかったな? 50 っていう数字も囲われてたかな?」
マークに呆れられた?
ハーッと、ため息をつかれ、苦虫を潰したような顔をして考えだす。
「おまえ、それは…… いや、でも、なぁー 」
「なに、なんなの?」
「レベルが 50と、いうことかもしれない…… もしそうだとしたら…… おれは全盛期でもレベル21 だったぞ。わかるか?」
「…… うそ! そんなのへん。 おかしいよ」
「おれも、そう思う。おかしい…… あり得ないが…… 現実だよな、たぶん。それに国の最高宮廷魔法使いでも 40台だと聞いたことがあるぞ、50はまずない。 レベルは桁が上がるときが 一番 難しいんだ。それでも 一桁が 10台に、10台が 20台になることは大変だが、まだたまにある。だけどそこから先は、本当に難しい。 だからあり得ないけど、三歳のおまえがレベル50だとして、これから先の長い人生で 59までレベルを上げることが、もしかしたらできるかもしれない。 でも 40台の宮廷魔法使いが、50台に上がることは無理にちかいんだよ。わかるか、この意味?」
「…… じゃあ、わたしは国の最高宮廷魔法使いよりすごいってことなんじゃないの…… もしかして宮廷魔法使いになれるのかな?」
「おまえ…… なるのか」
「…… ならない」
ため息と同時に椅子の背もたれに倒れこんだマークは、頭を乱暴に掻いて……
「ったく。普通 平民、村の人はレベル1 から 10ぐらいまでなんだよ。水魔法ならレベル9で風呂の水が、一回なんとか溜めれるようになって商会で雇ってもらえる。レベル10になると簡単に風呂の水が 一回溜めれるようになり、レベル11からは風呂の水を溜めることが 一杯づつ増えていくといわれているから、ここら辺で貴族や王宮で雇ってもらえるレベルになる。レベル20になると水量の多い攻撃魔法が少し打てるようになるから、強い冒険者はレベル20以上だといわれているんだ。騎士もレベル20前後が多い」
「へー 、じゃあ火は?」
チラリとわたしを見て……
「…… 火か。火もレベル9までが平民。村の人の 一般的なレベルだな。小さなもと火を数回だせたり、薪に火がつけれて火力の調節がなんとかできるぐらいだな。レベ10を過ぎると火の調節が思い通りにできるから 10台前半は料理人が多いんだよ。10台後半からは冒険者も増えてくる。ここまでのレベルで料理人は王宮勤めができるぞ。レベル20を超えたらもう王宮の料理長候補だな。でもやっぱり冒険者や騎士が圧倒的に多い。火は攻撃力が強いからな、金になるんだよ」
ふーん……
「平民や村の人のレベルが 9までが多いのなら、冒険者になるのは無謀なんじゃないの?」
「まぁ、五歳でレベルの確認だからな。『スキルの確認』のときに少しぐらいレベルが低くてもまだ伸びしろもあるからなんとかなるし、さっきもいったけどレベル9 から 10台に上がる奴らは案外いるんだよ。まぁ冒険者の仕事はレベルに合わせていろいろあるしな。弱いなりに仲間と組んで協力したり、金ができたら魔法剣や魔道具もある。それに軽い身体強化の魔法はレベル9もいらないからなぁ。なにげに農家の奴らが使っているぞ」
「そうなんだ、知らなかった」
「まぁな。おまえ、まだ 三歳だしな……」
マークが遠い目をして つぶやいた。




