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108. はじめての野営

 野営ポイントはみんな使っているようなので、キレイに草も刈ってあった。


 使うときにはまず少し野営場所を整えることが、暗黙のルールなんだとガントが教えてくれる。

 そして馬車の前に火を焚いて、安全を確保。

 馬も慣れているのか、おとなしい。


 食事はパンと干し肉に、お湯だった……

 スープはまだ一日目では、作って食べないそうだ。

 わたしの分は自分で用意するようソードに指示され、みんなと同じようなモノを無難に食べておいた。

 あとはお近づきのしるしにリンゴを二個だし、ナイフで半分にしてみんなにも渡す。


 おどろきだ!

 ソードが毒味のようなことをしてから、ライにリンゴを渡している!?

 慣れている感じで、あたりまえみたいに毒味をソードがして、ガントもそれを普通に見ていた。


 これは、どうなんだ……

 下級貴族よりも上だな。


 あーーっ!

 やっぱり呼び捨ては、イヤだ〜!



 まずソードが一番はじめ、まだみんな起きているときに御者の上で寝だした。


「馬車の中で、寝ないの?」


 ガントに聞くとテントもあるそうだけど、三人の場合はひとり火の前で起きて、もうひとりはこの季節だと御者のところで寝て、残りの人が馬車の中なんだとか……

 なにかあったときすぐ分かるよう、この時間なら外で寝るほうが安全で動きやすく良いのだと教えてくれた。

 たまに盗賊なんかが出てくるそうで、魔獣よりもタチが悪いと真剣な顔でいう。


 それは、すごいなあ〜。

 アストの森のダンジョンより物騒かも?


 ある程度暗くなって寝るときまでは旅のはじめだとみんなで話しながら火の番をしたりするけど、後半になってくるとみんな疲れてきて寝れるときにはサッサと寝るようになるとガントが笑いながら話している。


「パールはアストの森をいつもひとりで、冒険していたんだろ?」


 ガントの何気ない言葉に、ライがおどろいた顔をして聞いてきた。


「えっ、ひとりで冒険しているのか?」


 ガントがアストの森の木のウロで、わたしがひとりで寝泊まりしていたと笑って話すと、寝ていたと思っていたソードも起きてきて、それはすごいっと話しに入ってくる。


「パールは、なん歳なんですか?」


 ソードにはなぜか不思議そうに、年齢を尋ねられてしまった。


「わたしですか? あと、一ヶ月ほどで十歳になります」


「十歳!! まだ、子どもじゃないか!?」


 なぜか今度は、ライがおどろいている。


 そのあとはお決まりの、なぜ冒険者なんかをひとりでしているのか? 

 ソードに質問され、もうなんだか慣れてきた両親の話からマークと侯爵令嬢の話まで、ササッと話してしまう。


 これはガントも知らなかったようで、おどろいていた。

 ライがなぜか、またマプさんと同じで辺境伯様のことを怒っている。


 それからはみんなの目が優しくなったような?

 自分の生い立ちを少し話したからか、ライにはラメールで困ったことが起きたら訪ねてこいと告げられる。

 ラメールのダンジョン近くにライの家があるそうで、その辺の場所のことを詳しく聞いていたら、ソードにまた不審がられてしまった。

 ややこしい!

 もうピアンタを離れて、伯父さんたちとラメールに住もうかと思っていることや、伯父さんたちが宿屋をはじめたいと言っていたこともすべて話してしまう。


 ソードはちょっと安心したのか、ラメールのダンジョンの近くなら宿屋をしてもお客には困らないからやっていけるだろうと教えてくれたけど。

 こんどはライがどういうわけか、本当に伯父さん家族と一緒に住む気なのか聞いてきた。


 そこ、実はわたしも迷っているところなんだよね……

 寿命が違ってしまったから、お互いのためにも別に住んだほうが良いのかも知れないと思いはじめている。


 わたしが黙ってしまったので、ライがなにかを察したのか? また質問してきた。


「パールがひとりで住むのなら、どんな家がいいんだ?」


「えっ!? わたし、ひとりなら?」


 ライを見ると、うなずいている。


 わたし、ひとり……


「んーっ、伯父さんたちの宿屋の近所で、庭の広い塀に囲われていて、中が外から見られない安全な家かな?」


「すごく、現実的な意見ですね」


 ソードがつぶやく。


「あは、はっ! ホントだね! 考えたことはなかったけど、これがわたしの理想かも?」


「パール。ダンジョンの近くだろ? そんなところ、もし見つかっても宿屋も家もすごく高いぞ! そんな金があるのか?」


「あっ、そうだよね。どれくらい、するのかな?」


「二件分だろ? 最低でも金貨五百枚だから、白金貨五枚はするんじゃないか?」


 ガントの説明に、ソードが付け足してくれる。


「いえ、もっとしますよ。最低でも白金貨六枚からでしょうね」


 チェリーに頭の中で相談する。


(チェリー、もう迷い人になってお金はあるから、本気で家探しの相談に乗って欲しいとみんなに伝えようか?)


(はい。だれかに相談するなら、ダンジョンの近くに家を持っている、お金持ちそうで悪人でもないライたちが良いでしょう)


 わたしが黙ってしまったので、ガントも場所を変えたらもっと安いぞと言ってくれだけど……


「ガント。実はわたし、お金持ちなんだよ。だからお金には困っていないので、ホントに良いところを探して欲しくて……ライがその、高くて良い場所に住んでいるということは、ライもお金持ちなんでしょ? だれか、良い家を売ってくれる人を知りませんか?」


「おい、パール! おまえ! どうして、そんなに金を持っているんだ! 宿屋にもナイショで、出てくるし……ヤバいことに手を出してないだろうなっ!?」


 ちょっと声をあらげたガントを横目にして、こんどはソードが冷静に話しだす。


「パール、あなた。まさかとは思いますが、迷い人になったのでは?」


「「えっ!!」」


 ソードは、鋭いなっ。

 ライとガントが、おどろいている。


「あーっ、ナイショですけど、実はそうなんです。 だから、ピアンタから逃げてきたんです……よくわかりましたね」



「うおーーーーっ!!」



 ガントの雄叫びが、暗闇の中に響く。


 ふーっ、ガントって……


 期待を裏切らない人だよねっ……ぷふ。



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