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107. 一番偉い人

 なんとなくだけど、ライさんが一番偉いのかな?

 そのつぎは、どっちだろう?

 年齢的にはガンさんだと思うけど、ソードさんは貴族ぽい?

 

 馬車の椅子もライさんがひとり進行方向に座り、わたしとガンさんが進行方向に背を向けて座っている。


 ガンさんがわたしに気を使って、気分が悪くなったら自分へ伝えるように言ってきた……

 ここの人たちはガンさんのことを、ガントと呼ぶ……

 もしかして、名前を使い分けているのかな?


「ガンさん、名前ホントはガントリーさんなんですね?」


「あぁ。みんなは長いから、ガントって呼んでるかな。あの宿屋の人たちだけがなぜか、ガンって呼んでいるんだよな」


「そうなんだ。じゃあ、わたしもガントさんって呼んでもいいですか?」


「ああ、好きに呼んでくれ。それからおれにも、さんは、いらん」


「はい、ガント。これからしばらく、よろしくお願いします」


「おう。六日はかかるから、よろしくな」


 年上の人に さん を付けないのは、ちょっと気になるけど、ラメール王国はそういうところなのかも?


「パール! こっちへ座れ。進行方向のほうが楽なはずだ」


 ガンさん……ガントと話しをしていると、急にライさんが話に割り込んできた……


 うるさかったかな?


「ライ? おまえの座る場所が狭くなるけど、良いのか?」


「大丈夫だ。 パールさぁ、早くこい」


「へっ、……ライさんの横ですか? わたしはこっちでも大丈夫ですよ」


「パール。ライが良いって言っているから、向こうに座っておけ。絶対あっちのほうが楽だからな」


 二人に勧められ行かない選択肢は、今のわたしに無さそうだ……


 もう素直にライさんの横へ行く。


「ライさん。気をつかってもらって、ありがとうございます」


 一番偉い人には、丁寧に!


「ライだ……」


「えっ?」


「おれのことも、ライでいい……さんは、いらない」


「おい、ライ? おまえ、どうしたんだ? なんか変だぞ?」


「どうもしない……おれだけ、 さん付けが変だと思っただけだ……」


「そうか……まあ、そうだな」


 なんか、気まずい……


 ガタンッ!


 そう思ったとき、休憩ポイントに到着したようだ。

 よかった〜 これで仕切りなおせる。


 一度みんな馬車を降りて、トイレ休憩だね!  

 先に行かせてもらう。


 オトイレをもらっていて、ホントよかったよ。

 安心、安全だよね。


 つぎは交代で、ガントが御者になるみたい。

 

 ソードさん、あっ!?

 ソードもわたしが馬車の中でライさん、じゃないライだった……

 そのライの横に座ると、おどろいた顔をしている。


「えっと、パール? それじゃあ、ライが狭い……こっちへおいで……」


 そうですよねっ!

 一番偉い人の横はちょっと気まずいし、わたしもダメだと思います!


 急いでソードのところへ行こうとして腰を浮かすと、ライに腕を掴まれその場にまた腰を下ろしてしまう。


「大丈夫だ……狭くない。パールは、ここでいい」


「ライ? それでは狭く……大丈夫なんですね?」


「ああ……」


 ハァー、もういいだろう……めんどくさい。

 図太くライの隣に座っておく。


 ソードの視線が少し痛いな。

 ソードはちょっとだけブロンさんに似たような雰囲気を持っている人で、金髪に近いハニーブラウンの髪がキラキラ輝いている。

 からだがムキッとしていて大きいのに、顔がすごくキレイで、若い?

 十代?

 アンバランスな感じがして不思議? 

 なん歳なのかな…… 


 ガントは黒っぽい焦げ茶色に少し赤みのある髪。

 からだもすごく大きくて、顔がイカつい。

 もう三十歳だと前に話していたから、いまはまだ二十代後半だよね。

 でも顔がちょっと怖い感じだから、歳がもう少しいっているように見えるのかな?


 ライは真っ黒い髪にからだは、がっしりしているほうだと思うけど。

 ガントたちに比べると、ちょっと細い。

 みんな背も高いし……

 ライは十代後半か二十代前半? ぐらいか。

 あとなんだかライは、上に立ち慣れた人の感じがするから金持ちの商家の息子か貴族……下級貴族の息子あたりかな?


 あんまり詮索はできないけど……んーっ。

 やっぱりちょっと、貴族ぽい?

 いや、きっと貴族だ。

 ライとソードには、気をつけよう……


 名前の呼び方も特にライには念のため、さんをキチンと付けて呼びたい。

 そんなことを、ひそかに考えていると……


「パール。あなたはどんな用事で、ラメール王国に行くのですか?」


 うわーっ、直球だな! 

 ソードはわたしをなんだか怪しんでいる?


「わたしは知り合いの人のお祖母さんのところへ預かり物を届けに……あとは観光でもしようかなっと……」


「そうですか。なにを預かってきたのか、パールは知っているのですか?」


「いいえ。袋に入れて預かったので中は知りません」


「そうなのですね? もし、変な モノ を預かっていたらどうするんです?」


「信頼している人なんで、大丈夫です!!」


「ふ、ふっ。怒らせてしまいましたか……」


 なんだかこの三人のほうが怪しくなってきたな。


 でもガントは、いい人だし……


「おい、ソード。そのへんにしておけ……」


「ふっ。ごめんね、パール。ちょっとした確認だから気にしないで」


「はい、大丈夫です」


 ここまでは、しょうがないか……


 それからは普通に旅の話。

 今日泊まるところは宿屋ではなく、できるだけ先に進んで野営をするのだと教えてもらう。


 このピアンタ最後の宿屋は値段の割に質も悪いし料理もマズいので、泊まらない予定で朝早くでてきたそうだ。

 そうしたら次のよい野営ポイントまで安全に着けるらしい。

 大人数のときにはいろいろ時間がかかって無理みたいだけど、これは慣れた少人数の旅人ならみんなしていることだと話してくれる。


 なるほどね……


 たまに早く出ていくお客さんがいたのは、もしかしてこのためかも?


 寝ずの番をみんなで順番にするそうだけど、わたしは無しで良いからゆっくり休んで疲れをとるようにソードが言ってくれた。


 馬車の旅は思った以上に揺れて、しんどい。


 知らない間に、うつら うつら……

 ライにもたれて、眠っていたみたいで……



 それを向かいに座っていたソードが、ハラハラしながら見ていたのを、わたしは知らなかった。



 いまから六日間、いろいろありそうだけど……


 大丈夫、今回はチェリーもいる!


 なんとか、なるさっ!!



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