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106. ラメール王国へ出発!

 これは、ビックリ!

 ガンさん……だ……


「おい! パール! おまえ、生きていたのか!? 宿屋のオヤジさんたちがすごく心配していたぞ! どういうことだっ!」


 うわーっ、どうしよう……


「おい、ガントリー。おまえのように図体のでかいものが、こんな子どもになにを大声だしてるんだ? 人にはそれぞれ事情がある。おまえ、一緒にいく者がどんなヤツなのか見にきたんだろ? 知り合いなら、ちょうどいい。パールがどんな子か知っているなら、もういいだろう? 連れていけるのか? 無理ならいい、もう帰れ!」


「うっ、親方ーっ! それは、ないよ! 親方たちが騙されているんじゃないかと心配してきたんだぞ! ケルスに聞いても、要領を得ないし……」


「ガントリーが突っ込んで聞いてくるからだろ! 察しろよ……」


「ぐっ……そういうのは、苦手だ……」


 ガンさん、ホントの名前はガントリーっていうんだ……


「ガン? さん、迷惑をかけてごめんなさい。無理ならいいんです。気にしないでください」


「無理なもんか! 前にも乗せてやるといってただろ? ただな、宿屋の人たちがすごく心配していたから……ホントにいいのか?」


「はい。手紙を残して来ました」


「そう……なのか?」


「よしっ! じゃあ、ガントリー連れていってくれるんだなっ」


 親方が早々に話をまとめる。


「ああ、パールならなんの心配もない。今回はおれを入れて三人なんだよ。人を運ぶつもりがなかったから、小さな馬車だぞ。それでいいか?」


「はい、お願いします……」


「なら。急だが、もういけるか?」


「おい、ガントリーこれを持っていけ!」


 小さな袋を渡そうとした親方に、今回は人を運ぶつもりが元々なく、そういう段取りではないので自分の私用でわたしを乗せることになるから金は必要ないといって受け取らなかった。


 急いでいるようなので、ガンさんについてすぐ外に出ていく。

 親方とケルスさんには今までのお礼と、また来るとだけ伝えたら、あれよあれよという間に馬車へ乗せられてしまう。

 ガンさんが御者をするので、馬車の中はわたしひとりだ。


 贅沢な感じだったけど今がチャンス!

 このあいだに肩から背負うカバンの中へ薄い毛布に金の塊をひとつ入れて丸め、それを布の袋にキレイに入れて、お祖母さんへ届ける品物の偽装をする。

 本物のお届け物は、わたしのマジックバックで大切に保管しておく。


 あとは旅の食料。

 リンゴに干し肉とパンを少し、マジックバックから取りだす。

 ケルスさんに作ってもらったバンブの水筒セットには、クリーンの魔法が使える今のうちにかけてしまう。

 それと偽装に便利そうな革の中袋も一緒に肩から背負うカバンの中へ移しておいた。


 メリッサお姉さんにもらった持ち手の長い袋にはそのまま膝掛けを入れておき、肩から背負うカバンとは別にして便利な偽装の携帯用カバンとして用意しておく。

 その中にも革の中袋と手拭きの布、少しのお金を入れる。

 一般の旅の荷物は、こんなもんかな?

 あとは変幻のマント、コレはどうしよう……


「チェリー、変幻のマントはどうしたら良いと思う?」


「はい。これから会う人たちは悪い人たちではなさそうです。変幻のマントは肩から背負うカバンへ入れておいて、必要ならそこからだすのが自然でしょう」


「そうだね。それだと、もしカバンの中を見られてもおかしくないね……」


 きっと残りの人たちもこんな子どもがひとりで、朝早くからラメール王国にいきたがるなんて、ちょっと変に思っているはず……


 もうなんならわたしは迷い人だとガンさんに打ち明けて、ガンさんを当たり人三人目にしてしまおうか?


 チェリーもガンさんが悪い人ではないので、それが良いかもしれないと言ってくれる。

 様子を見て決めることにしようかな。

 せっかく親切で連れて行ってくれるガンさんに、変な迷惑はかけられないからね。


 ガタンッ!

 馬車は広場で止まったようだ。


 一度出るようにガンさんに言われたので、荷物を全部持って外にでる。


「ガント! 早かったですね。この子が一緒に行く者ですか?」


「ああ、そうだ。パールといって、おれがいつも泊まっているところの宿屋に住んでいた子どもだったよ」


「そうか。なら、大丈夫だな」


 ガンさんはひとつうなずくと、わたしをみんなに紹介してくれた。


「この子は、パール。パール、ライとソードだ」


「パールです。よろしくお願いします」


「あ、あぁ……パール。よろしく……」


「よろしく。パールって呼んでもいいかな?」


「はい、大丈夫です。ソードさん」


「ふ、ふっ。じゃあ、わたしのこともソードって呼んで……さんはいらない」


「っ!?……はい、ソード……」


 なんとなくブロンさんを思い出してしまう。

 

「ガント。はじめは、わたしが御者をします」


 ソードさんが御者?

 ホントに三人だけ? 御者もいないんだ……


 確認のためおろされたわたしの荷物が思っていたより少なかったので馬車の中の荷物置き場へすべて置いてもらえることになり、そのまますぐ出発することになった。


 初対面の人たちなので、ちょっと緊張……


 でも六日でラメール王国か。


 なんだかもう……いろいろなことがいっぱいあって、それが全部あっという間で……

 すごいなぁ。


 国境を越えるまでは気を抜かないように、親方やチェリーにも注意はされているけど……


 やっぱり、ウキウキする。

 すごく楽しみだよ……


 新しい国!

 ラメール王国へ出発だ!!



 


 

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