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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第四章 屍龍~Dragon zombie~
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黒槍との闘い3

「まさか……」


 舞夜はニタリと嗤った。


「憲兵の数、少なかったやろ? 本陣なのに、ほとんどおらへんもんなぁ。 じゃあ、残った戦力は何処に行ったんやろね?」


「……貴様!」


 雷牙は瞬時に、状況を察した。 同時に、自分がいま、絶望的な状況にあるという結論がでた。


「ほいじゃ、答え合わせ、しよか」


「今頃、ギラルとその手下が拠点を制圧しとるわぁ。 すでに研究は完成しとるから、ガイアドラン動かせるんよねぇ。 だから、もうこの村も必要ない。 ───残った村人は全部、『絶王』様に捧げることになっとるんよ」


「貴様……」


「そんで、もっと大きな街に行って、もっともっと命を集めるんやと。 ───アンタが何したところで、今更何も変わらんのよなぁ」


「バカな。 そんなことが」


 呼吸が乱れる。 思考が纏まらない。 ……アイツらが死んだ? 本当に?


 否。 落ち着け。 全て本当なら、こんなにべらべら喋らないはずだ。 つまり、一定のブラフが含まれている!


「───ま、アンタにも死んでもらうけどなぁ」


「ッ!」


 舞夜の突進! 雷牙はすんでの所で回避するが、その動きは精彩を欠いていた。


「ハイヤー!」「オラァ!」


 烈火のような猛攻を、気合で捌いていく。 しかし、精神の差で、少しづつ押され始めていた。


 このままではじわじわと削られていくだけだ。 どうする? 雷牙!


 ガキィン! 足刀で薙刀を弾くと、一瞬、互いの動きが止まった。


「……?」


「───おかしいことに今、気付いたんだ。 なんで貴様がここにいるのかってな」


 雷牙の口調には、鬼神のような迫力が練り込まれていた。


 その声からは、先ほどまでの動揺は見当たらない。


「拠点を制圧するなら、主戦力であるお前が出陣してないのはおかしい。

「必要のない村を守る? そんなことに一番強い奴を配置するか?

「そして、お前があれこれ話して時間を稼ごうとしていたことで、確証を得られた」


 雷牙はゆっくりと拳を構えた。


「あらまぁ、予想以上に立ち直りが早いわぁ。 まぁでも、ウチの優勢は変わらんしなぁ。 ───夢幻(ぜろ)式、(きわみ)の型『甘楽火(かんらび)』!!」


 舞夜が薙刀を振るうと、その刃から無数の火の玉が放たれた。


 BOOM! BOOM! BOOM!


 雷牙の全身が炎に包まれる。 並の人間なら、一撃で消し炭になったことだろう。


「時間も十分稼いだし、そろそろ死んでもらうわ!」


 とどめとばかりに、舞夜の前方に特大の火の玉が形成されていくぞ!


”””───許せねぇ”””


 雷牙の精神、その最深に眠る『力』が、マグマのように煮えたぎっていた。


”””───俺から仲間を奪っていくヤツが、許せねぇ”””


 バチバチと迸る雷撃が、炎を打ち消している。


 ドクン


”””───もっとだ。 もっと、力を寄越せ”””


 これでは、足りない 雷牙の怒りに呼応するように、力は増幅されていく。


 これまでの様に、力の表層だけでは、足りない。


”””アイツを、殺す!!”””


「死ねぇ!」


 KABOOM!!!


 特大の火の玉が雷牙を直撃! その爆発でタタミは炭化し、壁は灰になった!


 ───その爆心地は目も眩むほどの光に包まれていた。


「ゼェ……これで、仕舞いどす……ゼェ」


 舞夜は軽くよろめいて、薙刀を降ろした。 魔力を過剰に消費したことで、体力が限界に来ているのだ。


 壁の穴から風が入ってきて、煙を散らしていく。


「今日は萬月也氏、この位置なら、そろそろ月は出ているか……!?」


 月光を、影が遮っていた。


 そう、満月をバックに立つ、人影によってだ。

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