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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第四章 屍龍~Dragon zombie~
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黒槍との闘い1

 村娘が目を覚ましたのは、その一時間後だった。


「あ、あれ? 私……?」


「お、起きたか、リリ! よかったなぁ、生きてて!」


 リリと呼んだ娘を、父親は力強く抱きしめた。


「あれ? 父っちゃ……。 そうだ、私、憲兵に……父っちゃ、どして泣いてるの?」


 リリは不思議そうな顔で尋ねた。


「あぁ、お前を、旅人さんが助けてくれたんだべ。 ほらぁ、そごに……あれ?」


 父親は雷牙のいた場所を指さしたが、そこには誰もいなかった。


「誰もいないよ」


「あれ? おっかしいな。 だって、さっきまでそこに───。 なんだ、けっきょく名前も告げずに行っちまったんか」


 少し減った(ほしいい)と、壁の血のりだけが、これが夢ではないと主張していた。


   ~~~   一方そのころ   ~~~


尾行(つけ)られてんな」


 居住区域から少し離れた廃墟の通り。 その中心。 雷牙は舐めるような視線を感じていた。


 近くではない。 観察者は、かなり遠くからこちらを見ている。 だが、周囲には廃墟、死体処理場、荒れた畑……それだけだ。


 人の気配はない。


 だが、確かに狙っている。


「!!」


 唐突に殺気! 雷牙はイダテン級の反射速度でブリッジ回避! その数センチ上を火柱が突き抜けていった!


 一瞬遅れていれば、大ダメージだったはずだ。 攻撃してきたのは、どこからだ?


「狙撃に近いな……。 場所は……あれか!」


 咄嗟に狙撃ポイントを特定。 相手は、謎の塔から攻撃している!


 BOM! BOOM! 次々に火の玉が降り注ぐ! これを側転回避!


 塔までの距離は後150mだ。 雷牙は一気に走り抜けることを選んだ。


 雷牙は弾丸のように飛び出す。 その後ろでいくつもの爆発!


 KABOOM! 1m右で爆発! だが雷牙は止まらない!


 KABOOM! 50cm左で爆発! だが雷牙は止まらない!


 KABOOM! 20cm! 目の前だ! 雷牙は跳躍して突破!


 KABOOM! 直撃! 雷牙は爆炎に包まれ───否、見よ! 爆炎を切り裂き現れた雷牙の勇姿を!


 雷牙は足を塔の外壁にかけ、最上階へと壁を昇っていく! 人間離れした脚力が実現させる、無茶苦茶な移動方法だ!


「ウォオオオオオオオ!」


 雷牙の拳が、塔最上階の外壁を粉砕! 空いた穴を通って、雷牙は塔の内部へと侵入する。


 降り注ぐ煉瓦の欠片と同時に、雷牙は内部の空間に着地。 塔の内部は───


「ほう……?」


 内部は、タタミが敷き詰められた、和の空間となっていた。


 見慣れた光景を見て、雷牙は首を傾げた。 なんだこれは、まるで日本のようだ。


 と、誰かの気配がした。


「! 誰だ!」


 座敷の奥、そこに誰かいる。


 その人影は、一歩ずつゆっくりと雷牙に近づいてきた。 甲冑に身を包んだ、雅な武者姿だ。


 武者は、雷牙の手前タタミ3枚分の距離でピタリと止まると、ゆっくりと一礼した。


「お初にお目にかかりやす。 ウチは三本槍が最後の一本───黒槍の舞夜いいます」


”””女の声? いや、手練れには違いないか”””


「俺は雷牙。 六道、雷牙だ。 仲間のため、貴様の命をもらう!」


 礼儀として名乗り返してから、雷牙は右手を突き付けた。 しかし舞夜は動じない。


「おお、怖い怖い。 殺気立って、殺す気なん? それとも凌辱するん? ……まぁ、ここまでたどり着けたらの話やけどなぁ」


 パチン。 舞夜が指を鳴らすと、天井の絡繰りが開き、忍や鎧武者が飛び出してきた。


「ウチの配下の精鋭どす。 まずはお手並み拝見やわぁ」


”””総勢15人。 雑魚戦で動きを観察しようって魂胆か。 戦い方を知ってるやり方だな”””


 勝てるかどうかの難敵には、多少の犠牲を出してでも戦力を調べる。 実際、このレベルの手練れなら、その差は大きい!


「だが、押して参る!」


 四方から鎧武者が突っ込んでくる。 まずは一人目の刀を弾くと、貫き手で心臓を粉砕!


「グワーッ」


「ひとぉつ!」

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