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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第四章 屍龍~Dragon zombie~
36/43

バトクロスタイム

「───俺は、六道雷牙だ。 雑魚兵士にナメられてたまるかよ!」



 雷牙は音もなく、民家の屋根に跳躍すると、重石の石を手に取った。


 そして爪で二つに割り、それを投擲。 石は憲兵に直撃し、相手は即死!


「グワーッ!」


 続けざまに二発目も投げ、直撃! 即死! ワザマエ!


 男を連行していた二人は、数秒の間に全滅した。 雷牙は速やかに飛び降り、悲鳴が聞こえた民家へと突っ込む。


 すでに何人かに目撃されているが、そんなことは後回しだ。


「───この奥か」


 玄関を突っ切り、左の部屋へ。 そこでは───


「な、何者だ貴様!」


 竜人の憲兵が村娘を犯しているところだった。


 ビリビリに破かれた服。 鞭で打たれた跡。 痛みに歯を食いしばった顔。 鮮血───


「───。 カタギに手ぇ出すたぁ、呆れたもんだ。 貴様、覚悟はできとるんじゃろうなぁ? 生かしちゃあおかんぞ」


「えぇい、突然現れて何を言い出すかと思えば。 只の阿呆か! 憲兵団に逆う愚か者目が!! イヤー!」


 憲兵は刀を抜くと同時に斬りかかってきた。 居合の技だ。 しかも迅い!


「チッ」


 雷牙は重心移動でこれを回避!


「アイヤー! イヤー!」


 憲兵の刀が襲い来る! それを手甲でいなしながら、反撃の隙をうかがう。 だが、隊長格なだけあって、隙が無い。


 ”””めんどくせぇな”””


「ハッ!」 バキィン!


 雷牙は爪を一閃! 見事に爪はまっ二つになった!


「な、ナニィ!?」


 驚く憲兵の腕をつかみ、そのまま引きちぎった。


「グアーッ!」


 鮮血が舞い、憲兵は腕を押さえ(うずくま)る。


「わ、わかった。 わた、私が悪かった、だから、許し


 だが雷牙に容赦はない! 憲兵の首をつかみ、ネックハンギングツリーに持ち上げる!


「~~~~~!」


 ミシミシと首が閉まり、憲兵が藻掻く。 見る見るうちに顔が青ざめ───ゴキン


 頸椎が折れ、憲兵は動かなくなった。


 首筋から、鮮血が噴き出し、村娘の躰に降り注いだ。


「ヒッ……ヒエッ……ひ、人殺し……!」


 村娘は、青ざめた顔で、雷牙から後退る。 一応、雷牙は恩人なのだが、村娘には、シリアルキラーが乱入してきたとしか思えないだろう。


「……ふむ」


 雷牙は少し考えこんで、そして、腕を振り上げた。


「グォオオオオ!」


 まるで獣のような雷牙の咆哮! コワイ!


「アイエエエエエッ!」


 あまりの恐怖に、村娘は気絶! 後に残されたのは、雷牙だけだった。


「まぁ、これで騒がれないから良しとするか。 ……そうか、一歩遅かったのか。 まぁ、生きてりゃ重畳だ」


 もはや事態の隠匿は不可能。 さて、どうするべきか?


 雷牙の肉体は、常人をはるかに上回る力を発揮する。 だが、そのためには常人をはるかに上回る消耗を背負わねばならない。


 ”””一度身を隠すか? いや、土地勘がないのに、無謀だ。 なら、もう暴れて陽動に出るか? くそ、それも無茶だ! 情報がない!”””


 敵は速やかに全滅させたが、目撃されている。 誰かに密告されたら御仕舞いだ。


 もはや、雷牙にできることはない。 咄嗟の善意と引き換えに、自身の安全を失ったのだ。


「こうなったら、一か八か───ん?」


 誰かの足音がした。 急いでいるような駆け足だ。

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