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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第四章 屍龍~Dragon zombie~
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決戦前

   ~~~   数時間後   ~~~


「決戦、か……」


 数時間の眠りから覚めると、岩の天井が見えた。 あの後、雷牙は自室へと戻り、仮眠をとった。


「男なら、どんな時でも眠れること、か。 キャプテンハーロックだっけか? まったく、本当、その通りだぜ」


 雷牙がいかに強いと言っても、不眠不休で戦い続けられるわけではない。 それに、力を発揮するには、エネルギィが必要だ。 つまり、飯と眠り抜きには、戦いは成立しない。


 幸い、タスクボアの肉は塩漬けにしてとってある。 睡眠は足りている。 そして、リックが使っていた装備を奪えば、動きやすいポイントガードが手に入る。


 明日の夕暮れを狙って、襲撃をかける。 レラの作戦は現実性が高く、異論をはさむ余地はなかった。


「なのに、なんでだ。 嫌な予感がするんだよな……」


 雷牙の本能が、危険を告げていた。 いわゆる、胸騒ぎがする、というやつだ。


「いや、危険は承知! 黒槍とやらを倒して、この戦いを終わらせてやらぁ!」


   ~~~   一方そのころ   ~~~


「戦の匂いがするわぁ。 もうすぐここにも、敵が来よるさかい。 今から血がうずいて仕方ないわぁ」


 雅な具足に身を包んだ人影が、艶やかな声でつぶやいた。 竜人の女だ。 だが、レラとは違う、漆黒の鱗が手足を包んでいた。


 漆黒(くろ)い鱗に、片側だけが肥大化した角。 そして、闇の様に深い眼。 そんな姿を、少し欠けた月が、妖しく照らしていた。


「……失礼します」


 障子戸を開けて入ってきたのは、黒装束の忍だ。


舞夜(マイヤ)様。 ご報告します。 赤槍───リック・エーベルの戦死を確認したとの事です」


「おやまぁ」


 黒鱗の女騎士は、残忍な笑みを浮かべた。


「やっぱり、赤槍の旦那には荷が重かったんやなぁ」


「左様ですか」


「大体、相手は炎竜を狩ったんやろ? そんなんにあれが勝てる道理あらへん。 ギラルも無茶言いよるわぁ」


「はい。 そこで、舞夜様には、直々にご出陣戴きたい、と」


 その言葉に、舞夜は牙をむいた。


「やれやれ、最初からウチが殺れば、蒼いのも紅いのも死ななかったに。 まぁええわ。 ───炎竜を狩ったくらいで強いと思ってる、そやつの首もらってくればええんやろ? 任せときぃや。 ウチがみぃんな、殺したるさかい」


 いつの間にか、舞夜の右手には、月光を反射して黒く光る、漆塗りの薙刀が握られていた。 一目でわかる、相当な業物だ。


「ウチの前じゃ、誰も彼も等しく弱兵さかい。 全部この『黒椿』の錆にしてやるわぁ」

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