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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第四章 屍龍~Dragon zombie~
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Darker than black ───闇よりも深い黒

   ~~~   一時間後   ~~~


「……」


 気が付くと又、檻の中にいた。 手枷や足枷はなくても、首輪に繋がれていることは変わらない。


 この館では、苦痛と虚無だけがあって、なにもかもがモノクロに見えた。


 ただひとつ、互いの声だけが救いだと思えた。


 実験、


 検査、


 また実験───


 それ以外の時は、檻の中だ。


 灰色の壁、天井、床。 冷たい鉄格子は、少女の細腕では一ミリも動かない。


 この檻が開くときは、実験(イタイコト)の時だけだ。


 あぁ、体中が痛い。

 しびれるように痛い。

 焼け付くように痛い。

 燃えるように痛い。

 ひりつくように痛い。

 抉られたように痛い。

 刺されたように痛い。

 腕が痛い。

 足が痛い。

 骨が痛い。

 首が痛い。

 頭が割れそうに痛い。

 おなかが痛い。

 胸が痛い。

 怖い。

 苦しい。

 痛い。


 痛い。


 どこもかしこも痛い。



 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。 痛い。


 苦しい、苦しい、苦しい、苦しい苦しい苦し苦し苦苦苦苦痛───


 いやだ。 イヤダ。 嫌だ。


───  ───  ───  


「もう、目覚めたの……?」


「あ、お姉、ちゃん」


 ルチルが横からの声に振り向くと、隣の檻に囚われた、ヒスイの姿があった。


 ヒスイの目には隈が浮き、頬はやせこけ、腕にはいくつもの注射痕と火傷の跡。


 ルチルよりもさらに、やつれた姿だった。


「ま、また、顔色、悪くなってる……」


「大丈夫よ。 私は強いもの。 それよりも、ルチルの方がつらいでしょ? 毎日うなされて、とっても辛そうに見える」


 ヒスイが細い手を伸ばす。 しかし、隣の檻までは届かず、空しく空を切る。


 反対からルチルが手を伸ばして、辛うじて手が触れ合う距離だ。


「お、お姉ちゃん……」


 薬のせいか、呂律(ろれつ)がうまく回らない。 それに、心なしか、(からだ)が冷たくなってきている気がする。


 体温がなくなったら、そのまま死ぬのだろうか?


 躰が少しづつ壊れていく感覚に、恐怖を覚える。


「手が、震えてるのね」


「うん。 ()が、私を見てるんだ。 それか、お姉ちゃんが先に死ぬかも……」


「それは……」


「怖いの。 生きてるのと同じくらい。 死ぬのが怖い。 毎日、一つづつなにかを失ってくのが怖い」


「……」


「お姉ちゃんは、死なないよね……? お姉ちゃんまで、いなくなったら、私は……ここで一人で死んでいくんだよ……」


 そう言ったルチルの眼は、奈落の底よりも深い闇に包まれていた。


「大丈夫よ」


 ヒスイの手が、ルチルの手を包む。


「……」


 顔を上げると、ヒスイは諭すように微笑んでいた。


「大丈夫。 大丈夫。 私はいなくなったりしないから」


「うん。 ……ずっと、一緒にいて、ね。 ───お姉ちゃん」


   ~~~   Dead or Alive?   ~~~


 一週間経った。


 毎日が変わることはなかった。 実験、検査、檻、夜闇。


 毎日毎日毎日毎日、毎日がその繰り返しで


 繰り返しで


 だれも

 助けては

 くれなかった。




 二週間たった。


 毎日が変わることはなかった。


 変わったのは、うまくしゃべれなくなったこと。

 それから、うでがしびれること。

 それだけ




 たぶん、いっかげつたった。


 い

 たい

 こ

 との


 く

 り

 か

 え

 し

 で


 痛くて


 繧上◆縺励′縺?繧後↑縺ョ縺九b縲√♀繧ゅ>縺?縺帙↑縺


 痛く逞帙>縲?闍ヲ縺励>縲?霎帙>縲?豁サ縺ュ 死


 死にたい




 縺ォ縺九£縺、縺溘▲縺


 きょうが、いつなのかわからない


 でもきょうは、なにかちがった。


   ~~~   ××/×/×× ギラルの館、B1F   ~~~


「ふむ、姉の方はあまり伸びんな。 これ以上実験を続けても、変わらんだろうな」


 ギラルは、地下の実験室で、椅子に座ったまま呟いた。


「まぁいい。 まだ『使い道』はある。 廃棄するのは、その後だ」


 ギシ、と椅子が軋んだ。 ギラルは座ったまま、使用人から書類を受け取った。


「妹の方は、と。 そろそろ苦痛で出せる数値の限界に来ているな。 次のステップに移行しよう。 ───クク、計画は順調。 全くもって順調だ」


 書類の束を机に置き、ギラルは椅子を90度回した。


 ギラルが向いた方の部屋の壁は、硝子張りで、外は大空洞に繋がっている。


 そして、その空洞の中心には、


 無数の鎖に縛られて眠る、巨大な竜の姿があった。


 轟欄蛾ゴウランガ! この竜は、レジスタンスの拠点、その最奥に眠っていた竜と同じ姿だ!!


 岩のような鱗に、鉄でも砕けそうな爪、そして、視界に収まりきらないほどの巨体!


「星竜の一柱。 大地の化身、岩土竜。 ───ガイアドラン!」


 ギラルは巨竜を見つめ、両手を広げた。


「あぁ、誰に分かる? この素晴らしさ! この美しさ! この力!」


 と、そのタイミングでベルが鳴った。


 ジリリリリリン!


「何だ、この忙しい時に、誰だ?」


 ギラルが通話機に怒鳴ると、すぐに返事があった。


()だ。 ギラル」


「───!!」


「命令だ。 速やかにその地域を制圧しろ。 命の数が足りない。 計画の完成に向けて、貴様も大量の命を集めるのだ」


「……ハッ、仰せのままに。 絶王、ベルグ様」


 ギラルは一拍おいて頷いた。


「任せたぞ。 ギラル」


「はい、すべては王の為に。 えぇ、村一つ分の命、その命を()べて見せましょう!」

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