洞窟探検
「うん。 いい、よ。 ……ついて、きて。 全部、話す…から…」
ノイズ。 十字架、骨、血液……。
ルチルは立ち上がり、雷牙を手招きした。
「見せたいもの…が…あるの」
ランタンを手に取ると、キィと不気味な音が響いた
~~~ 虚無
ルチルに導かれて、雷牙は洞窟の奥へと進んでいた。 ヒカリゴケの提燈のだけが弱々しく足元を照らしている。
「おどろいたな。 この洞窟、予想以上に深い。 まだ奥なのか?」
「ご、ゴメン…ナサイ。 もうすぐ、だから……」
「ああいや、攻めてるわけじゃねぇけど」
すでに500mは歩いたか。 すでに人工物は見当たらない。 人が通った跡はあるが、薄い。 きっと、めったに使われないのだろう。
そして、天然の洞窟のようには、見えない。 隧道の様に同じ大きさの穴がどこまでも続いているからだ。
「まるで、土竜の穴だな」
「そう、だね。 似たようなもの…かな…」
「?」
雷牙が首を傾げようとしたところで、突然視界が開けた。
「……着いた、よ」
振り返ったルチルと目が合う。
「これは……」
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そこは、遥か上まで続く、巨大な縦穴だった。 山を突き抜けて開いた穴から、月光が差し込んで───目の前のモノを照らしている。
それは、青白い光に照らされた、無数の十字架だった。
古い物も、新しい物もある。 そして、それぞれに名前が刻まれている。 一番新しいものは、数日前に作られたようだ。
そして、その最深部、正真正銘、洞窟の最深には
───十字架に囲まれて眠る、見上げるほど巨大な、『竜』の姿があった。
大きさにすれば、全長30mは超えるだろうか。 四足で、両肩から、大きな棘が突き出ている。
岩のような鱗に包まれたその主は、この空間の半分を埋め、そして支配していた。
「……コイツ、生きてんのか」
かすかだが、鼓動が聞こえる。 ゆっくりと、でも力強い鼓動だ。
「お、驚いた…? ここは…私たちレジスタンス…の、墓場。 ここで死んだ、人たちが……眠る場所」
「なるほどな。 十字架は墓標か。 百はあるな。 だけど、それじゃなくて」
雷牙の指が巨竜を指さす。
「コイツは、なんなんだ?」
その言葉に、ルチルは俯いて答えた。
「これが……この竜が、みんなが…私を…恐れる、理由」
ルチルの顔に、影が落ちる。 なにか、重大なことを抱えている表情だ。
「私が……ここの人たちを───殺した───から」




