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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第三章 獣肉~Beast meat~
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雷牙VS赤槍のリック~カオスなバトル~

「さっさと死になさい! この阿婆擦れが!」


 忍が三人乱入! レラの動きを阻む!


「アンタの相手はそいつらよ!」


「クッ、待ちな! この!」


 リックはレラの横をすり抜け、走り去る! レラは追いかけようとするが、忍たちがそれを許さない!


   ~~~   一分経過   ~~~


「止まりなさい! 誰かいるわ!」


 リックは、殺気を気取り、部隊を停止させた。 リックの周囲には、忍が五人。 いずれも、精鋭だ。


「よう。 赤色。 レラが頑張ってたはずだが……突破されたみたいだな?」


 リックが睨めつける先、暗闇の奥から姿を現したのは、雷牙だ!


 雷牙は、万一のことを考え、拠点の近くで待機していたのだ!


「一人ね……。 陣で囲んで、確実に仕留めましょう」


 ザザザザ! 忍たちは素早い動きで雷牙を取り囲む。 その横を抜けようとしないのは、雷牙の強さに気付いているからだ。


 だが、雷牙には、そんなものは通用しない。


「カカレー!」


 一斉に忍びたちは飛び掛かり、そして、一人目が吹き飛んだ。


「グワー!」


 雷牙のストレートジャブが、忍びの胸骨を粉砕し、吹き飛ばしたのだ!


 そのまま躰を反転させ、飛来する手裏剣を回避! 即座に空中で蹴りを放ち、二人目の頭蓋骨を粉砕!


 哀れ、忍は即死! 恐るべき雷牙の戦闘力!


 だがその時、手裏剣が飛来!


「何ッ!?」


 気が付いた時には、雷牙の脇腹に、手裏剣が突き刺さっていた。


 忍の手裏剣よりも何倍も速かった。 投げたのは誰だ? 雷牙の視線の先にいるのは───リックだ。


「アタイの精鋭を軽々と蹴散らすなんて、アンタ、只者じゃないわね。 Dethる前に、名前を訊いてあげるわ」


「……いや、お前の口調の方が気になるんだが。 なんだ? デスメタル帝国から来てんのか?」


 雷牙は言いつつも、重心を下げて警戒を強める。 その脇腹には手裏剣が突き刺さり、ポタポタと血が流れている。


「あら、アタイが気になるのねぇ。 でも、名乗らないなら、そのまま殺してアゲルわ」


 リックが槍を構えると同時に、周囲の忍も一斉にクナイやニンジャソードを構える。


「サヨナラね」


 全方位からの攻撃 アブナイ! 万事休すか!?


 否! 雷牙は寸前で跳躍し、攻撃を回避! そして、近くの木を足場に、三角跳びを繰り返す!


 ガッ! ガガガッ! ガガガガ! 跳躍のたびに勢いは増し、もはや常人では影すら捉えられないほどの速度に到達───!


 あまりの速さに、忍たちは狼狽えるばかりだ。


「狼狽えてんじゃないわよ! 近づいてきた時を狙ってDethるのよ!」


 リックが叫ぶ。 実際その判断は正しい。 だが、一手遅い!


 リックからタタミ三枚分離れたところに雷牙は着地する。 同時に、忍は全員鮮血を上げてダウン!


 これは凄い! かつて雷撃と呼ばれた英勇の必殺技、『雷光一閃』の再現だァ!


「今の、聖騎士(パラディン)クラスじゃなきゃ出せない大技よ? 一体、何者なの?」


「さぁな。 だが、これで貴様は一人だ。 腹くくらんかぁ!」


 雷牙の口調に、893スラングが混じる。 それだけ本気で戦っているのだ。


「し、下っ端をDethったくらいで調子に乗るんじゃないわよぉ!」


 リックは槍を突き出す。 雷牙は咄嗟に左へ回避!


 左への追撃! 右へ回避!


 さらなる追撃! ダッキングで回避! 


 雨(あられ)と降り注ぐ槍の連撃を、雷牙は紙一重で回避していく!


 ───愚霊兎(グレイト)! イダテン級の回避速度だ!


 そのまま雷牙は距離を詰め、銃弾のようなジャブを繰り出す! まともな人間なら、これだけで殺せる威力!


 だが、浅い。 リックはバックステップで仕切り直した。


「惜しいわね。 今追撃してれば、もう一撃入れられたのに。 それともアタイを警戒してるのかしら?」


「いいや。 これでいい。 ここがいいんだ」


「!」


 リックは反射的に周囲を見回して、そして気付いた。


 周囲は木々が密集しており、ここでは槍を十全に震えないことに。


「一流ってのは、常に周りに気を配るもんだ。 ───死ね」


 雷牙の前蹴り! リックは辛うじてこれをガード!


 返す手で突きを放つ! これもガード! だが地形が悪い! 雷牙はすでに懐に飛び込んでいた。


 拳を固く握り───斜め上方向へと拳を放つ! これは古代ボクシング、ヘビー級チャンプの必殺技、ガゼルパンチだ!


 顎から首、頭へと強烈な衝撃が突き抜け、リックは膝から崩れ落ちた。

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