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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第三章 獣肉~Beast meat~
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ナイトメア・カーニバル


 完全に日が落ちた時間。 禍々しい色の半月が夜空に浮かんでいた。


 ガサガサ、ガサ。 暗闇の中から、何かが動くような音が聞こえ、見張り兵は振り向いた。


「なんだぁ……? 野良でもで───ゴポッ」


 次の瞬間、兵士の胸からは、紅い槍が突き出ていた。 否、槍が紅いのではない。 兵士の鮮血が纏わりついて紅く見えているのだ!


 ドサッ。 兵士が倒れると、そこに紅い花が咲いた。 だが、それを気に留めるものはもういない。


 だが、槍は見事に鉄製の胸当てを貫通している。 タツジン級の暗殺者だ。


「此方リック。 ネズミは始末したわ。 ついてきて」


 小さな声だ。 だが、見よ! その声に応え、十人以上の黒装束の(ニンジャ)が姿を表した!


 この(オネエ)の名は、リック。 ギラルに使える三本槍、その二本目の刺客、『赤槍のリック』だ。


 見ての通り、音もなく見張りを殺すことなど造作もない腕前の持ち主だ。 そして、彼奴はこれから、レジスタンスの拠点に進攻しようとしているのだ!


 外観も顔も口調も色々と奇抜な(オネエ)だが、突っ込む人はいないので、このまま物語は進行する! 正直筆者もコイツは描写したくない!


 しかし既にトラップは軒並み解除され、見張りも死亡!


 ───大舞蛾(オーマイガ)ッ! 此の進撃を止められるものはいないのか? このままでは、レジスタンスは制圧されてしまうぞ!


「状況よし。 前進するわよ」


 暗殺者たちは、灯り一つない暗闇の中を、音もなく進んでいく。


「ジードの報告通りね。 確かにクドニ山に拠点があるわ」


 忍たちは頷き、洞窟へと───




 忍が一人、倒れた。




「待て! 何かおかし───」


 などと言っている間に二人目が死亡! だが、リックの対応も早い!


「総員退避! 待ち伏せよ!」


 一体、何があったのか? 答えは簡単だ。 レジスタンス側では、ジードの戦死から日数を計算し、この日に討伐部隊が到着すると予想していた。 だが、雷牙が森を見張っていても昼間は来なかった。


 ならば、夜討ちを狙っているのは自明の理。 そのことに気付いたレラが、あらかじめ対策をとっていたのだ。


「なるほどねぇ。 一筋縄じゃいかないわねぇ」


 ねちっこい声で呟いて、倒れた忍の死体から、ナイフを引き抜く。


 黒曜石でできた、黒いダガーナイフだ。 この暗闇なら、黒い刃は全く視認できない。 暗殺にはもってこいの一品だ。


「さぁて、近くにいるはずだけど……」


 その時、木の陰から、きらりと何かが光った。


「そこ! 場所が分かれば、狙い撃ちよぉ!」


 忍たちは、一斉に手裏剣を投擲! 命中! 悲鳴が上がる!


「グワーッ!」


 だがその時、樹上から、いくつもの塊が落下してきた。 それは、こぶし大の金属の塊で、紅い魔鉱石が埋め込まれていた。


 ───カッ! 金属塊から、軍用ライトにも匹敵する光が放たれ、森の中が照らし出される!


「なにぃ!」

「か、隠れろ! 狙い撃ちだぞ!」


 忍たちの姿が浮かび上がり、混乱が広がる!


 だが、森の木々の上を見よ! そこには、レジスタンスの兵士たちが構えている!


「落ち着きなさい! 灯りは少ないわ。 第一分隊は死角に移動! 第二分隊はアタイについてきなさい!」


 リックの素早い判断で、忍の半分が散開、残りは円陣を組み、攻撃に備える。


「夜分遅くにご苦労様。 だけど、ここから先は進ませないよ!」


 レラは樹上から叫んだ。 その左右には、兵士が並ぶ。。


「誰かと思ったら、『昔の』団長じゃない。 だけど、今日はこの森には用はないのよね。 今頃寝てる皆をDethるのが仕事だもの」


「させないさね。 アタシが止めて見せる……!」


「魔術も使えなくなったアナタに何ができるの? それ!」


 リックは両腕から槍を射出!


「グハッ!」「ぎゃあ!」


 レラの周囲の兵士が二人倒れる。 さらに射出!


「ぎゃあ!」


 兵士が死亡!


「このぉ! させるかぁ!」


 レラは飛び降りて、四発目を阻止! 同時に、森のあちこちで戦闘が始まる!


 ガキィン! レラの斧とリックの槍が激突! リックは素早い突きを連射し、レラは体捌きで躱す!


 距離を詰め───れらの踏み込み斬り! だがリックは手甲でガード! 衝撃を逸らす、見事なガードだ!


「チィイ!」


「さっさと死になさい! この阿婆擦れが!」


 忍が三人乱入! レラの動きを阻む!


「アンタの相手はそいつらよ!」


「クッ、待ちな! この!」


 リックはレラの横をすり抜け、走り去る! レラは追いかけようとするが、忍たちがそれを許さない!

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