雷牙VSタスクボア
ALAAS! コイツは、全長2メートル、体重200kg超えの怪物、タスクボアだ!
漢字表記は大牙猪。 DL6つまり、数百キロクラスの怪物で、非常に縄張り意識が強く、近づくものをその牙で襲う!
ルチルは気付かずに、縄張りに入っていたというのか? そして、距離は僅か、タタミ数枚分しかない!!
「ッ……」
逃げなければ! しかし、ルチルの脚は、恐怖に竦み動かない。 その上、腰まで水に浸かっているため、水の抵抗で、カメのような動きしかできない。
「フゴッ、グォウ……」
タスクボアは、息を荒くし、突き上げるような牙を、ルチルへ向ける。
ザクザクと地面をかき、今にも突進してきそうだ! しかも、この猪は水など気にしないのだ! コワイ!
ルチルへ目掛け、大猪の牙が一直線に迫る! このままではルチルは串刺しは免れない!
「あ……た、助け、て」
蚊の鳴くような声で発した願いは、はたして───
「ブロロrrr!」
ゴキンッ!!!
岩が砕けるような音が響き、その牙が止まった。
水飛沫があがり、ルチルの視界が一瞬、遮られる。
一秒の停止。
大猪は頭部から流血し、脚をよろめかせた。 その前方一メートルには、
「よう、大丈夫か?」
飄々とした顔でルチルを振り返る男の姿。
「ラ…ライガ……!」
「おう。 ちょっと待ってろ、コイツを片付けるからよ……!」
魔猪は、新たなる侵入者へと牙を向ける。 流血のせいか? 息が荒く、闘争本能がむき出しだ───ッ!
だが、その牙が雷牙を貫くことはなかった。
雷牙が素早く水から上がり、跳躍したからだ。
空中で、木の幹を蹴り、さらなる高高度へ跳躍! その位置は、魔猪の首の上!
雷牙は拳をまっすぐに構え、一気に降下! これは48の殺人技の一つ、フライングパンチだ~~!
「Es Sei! Bei dew Ptortender hdle! Heilden ich!」
「ブロロrrrrr!!」
雷牙の拳と、魔猪の牙が激突!
押し勝ったのは……雷牙の拳だ! 一直線に魔猪の牙をへし折り、頭蓋骨を粉砕! そのままの勢いで泉へと落下し、
ザッパ~ン!!
再度水飛沫があがった。 滝のような水がルチルに直撃し、頭からずぶ濡れにする。
「……」
ルチルの髪から、ポタポタと水滴が滴り落ちる。
たっぷり五秒間の空白を得て、ルチルはハッと我に返った。
「ライ、ガ……?」
「おうよ。 無事か? 怪我は、な……」
そこで、ルチルが裸であることに気付き、台詞が中断された。
その胸は、今日も豊満だった。