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雷名の牙R ~獣の拳と竜の巫女~  作者: ファイバード
第三章 獣肉~Beast meat~
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森の泉とサービスカット

 どこまでも続く森木々。 その中でもひときわ背の高い木に登り、雷牙は、森の様子を眺めていた。


 前回の戦闘から、一週間がたった。


 ルチルに絶対安静と言われていたため、雷牙は半ば監禁状態で過ごしていたのだった!


「ようやっとだ。 肩をばっさりいって、完治に一週間なら、早いな」


 そう言って、雷牙は肩の包帯をほどいた。 その下からは、僅かに傷跡の残ったヒフ。


 常人なら失血死していたことを考えれば、驚異的な回復力だ。


 ヒュウゥウ─── 一陣の風が吹いて、包帯をはためかせる。


 元の世界では感じたことの無い風に、慣れ始めてる自分に、雷牙は少し驚いた。


 この世界の風は原始的で、獣の匂いがする。


「……ん? 獣の、匂い?」


 待てよ? 雷牙は違和感に気付き、身構えた。


 違和感! それは、この野生に近い世界を生き抜くために、重要な感覚! このわずかな感覚を見落とすかどうかで、多くの人が命を左右されてきたのだ。 それを考えれば、違和感に気付く能力は、きわめて重要と言えるッ!!


「近くに、なに(・・)か、いるなッ!」


 雷牙は獣めいた嗅覚で、魔物の気配を察知!


 そして雷牙は跳躍! 匂いの元目掛けて、一直線に走り出した!


   ~~~   サービスカット   ~~~


 森の奥から水音が響いてくる。 木々の隙間から見えるのは、澄んだ水面。 湧水がたまり、泉となっているのだ。


 鳥の声と水音が彩る中、ルチルはその衣装を脱ぎ、水浴びをしていた。


 裸になると、その躰に残された、無数の傷跡、火傷跡がより痛々しく見える。


 顔の左半分を覆う火傷跡。 濁って視力を失った左目。 右肩、左腕、両脚、胴体にも傷が残り、右手中指はなくなっている。


 とまあ、エロスの欠片もない描写はここまでにして、ルチルの裸体がいかに美しいかを描写しよう(最初からそうしろよとか言ってはいけないのだ)。


 褐色の肌に、幼さの残る肢体。 それに対し、不釣り合いに大きな胸はアンバランスで、絶妙にエロい。


 僅かに浮き出た肋骨や、湿気を孕んで纏わりつく白い髪もイイ。 なんというか、存在が性的だよな!


 なにより、か細い唇が浮かべる弱々しい笑みは、儚さを描き、砂絵のような芸術性を形どっている。


   ~~~


「……♪」


 チャプン。 水滴が落ちて、波紋を起こす。 水面に映った顔が揺れた。


 この姿を見て、誰もが私を避ける。 怪物にでもあったかのように、視線を逸らし、距離を取る。


 今までに私を避けなかったのは、私にこの火傷をつけた商人。 私を実験台にしたあの男。 それから、レラ。


 あともう一人……。


「ライ…ガ……」


 怪物から私を守ってくれた人の名前。


 私を嫌わなかった人。


 無愛想だけど、私に優しくしてくれた人。


 私を助けてくれた、人生二人目の、英勇。


 そして、


 いつのまにか、


 気になっている人───


 考えるだけで、心臓が高鳴る。 私は胸に手を当てた(エロいな)。


 バクバク、バクバク。 小さくても、この心臓は、生きているを叫んでいる。


 と、その時───ガサガサッ───草をかき分けるような音が響いた。


「えッ?」


 雷牙なら、私が見えない場所で見張ってくれているはず。 覗きにでも来たのだろうか?


 咄嗟に躰をかくそうとして、気付いた。


 この音は、人間ではない。 そして、人間よりも、大きい。


 ズシン


 草をかき分け、森の奥から茶色い塊が姿を現した。


 それは、私よりも大きな猪だった───


   ~~~


 ALAAS! コイツは、全長2メートル、体重200kg超えの怪物、タスクボアだ!


 漢字表記は大牙猪。 (ディザスター)(レベル)6つまり、数百キロクラスの怪物で、非常に縄張り意識が強く、近づくものをその牙で襲う!


 ルチルは気付かずに、縄張りに入っていたというのか? そして、距離は僅か、タタミ数枚分しかない!!

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