プロローグ
ある男の話をしよう。 男の名前は『六道 雷牙』。 齢18にして、転生前は地元を取り仕切る893の、若頭だった男だ。。
赤い髪、蒼い眼、他に特徴を上げるとするなら、そう、雷牙はとてつもなく強かった。 どれくらい強かったかって? それはもう、地元じゃ知らないやつはいないくらいさ。
その日、つまり雷牙の18歳の誕生日のことだ。 雷牙は対立する893の事務所に一人で殴り込みをかけた。
そして、壊滅させた。
30人ほどいた893どもを相手に、拳一つで、だ。 ドスの刃をへし折り、赤星の9mm弾を避け、拳を叩き込み、蹴りで頸椎を砕き、徒手空拳で、一人残らず片付けた。 繰り返すが、たった一人でやったことだ。
───生まれついての戦闘のセンス、
───銃弾が飛び交う中で生き残った経験、
───そして、転生して手に入れた強靭な肉体、
そのどれもが非凡なもので、おかげで雷牙は、聖騎士さえも上回る戦闘力を手に入れた。
だが、それでも死んだ。 誰かに撃たれて死んだ。 そして、別の世界へと渡った。
転生してからも、雷牙は戦った。 見上げるほどの巨竜と、地を埋め尽くす軍勢と、人を捨て、怪物となった者どもと、激戦を繰り広げた。
おかげで、財産も女も手に入れたのさ。 使い切れないほどの金、絢爛豪華な宝石、そして、愛すべき女(これだけは言っておこう、その胸は豊満だった)───。
では、雷牙の戦いの物語を始めよう。 無敵の拳の英雄譚。 激闘をつづった戦記。 愛する女の為に、最後まで戦い抜いた男の物語。 幕は上がった。 万雷の喝采をここに!
───さあ、死ぬ覚悟はできてるか?
~~~ 幕が上がる音 ~~~