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勇者の実力

国王との話がまとまると一人の男が部屋に入って来た。


「けっ、これが俺らを救ってくれる救世主様かよ。…まだ子供じゃねえか。」


その男は黒髪で短髪の男で顔あたりには髭を生やしていて、腰には刀のような物をぶら下げている。侍のイメージを持ったかも知れないがそんなカッコいいものじゃない。言うなればただのおっさんだ。


「これっ!玄武、いくらお前でもそのような言葉は許さんぞ」


「わーってるよ。ピーピーうるせぇじじいだな。」


な、国王に向かってそんな口がきけるなんて何者なんだ!?それに玄武って日本人みたいな名前だな。


「この者は我が王国の戦士長の玄武だ。そして一千年前に呼び出された勇者の子孫でもある。こんな性格だが腕は確かだ。今日から玄武に武器の使い方や戦い方を教えてもらうと良い。」


「勇者の子孫…ですか。よろしくお願いします、玄武さん!!」


いつも通り、達也は爽やかな笑顔を玄武さんに向けた。


「うぇっ…お前、俺の嫌いなタイプだわ…。」


「えっ…。」


思わず俺も口を開けて驚いた。まさか達也のスマイルを見てそんなことを言う人がいるなんて思わなかった。


「ま、いいわ。俺についてこい、今から闘技場でお前たちの実力を試してやる。」


玄武さんはニヤリと笑みを浮かべて俺たちを見る。俺たちは蛇に睨まれたカエルも同然だった。





「ここが闘技場だ。」


玄武さんがダルそうに言う。


「ここが闘技場…。」


「広ーい。」


「なんか砂くさい〜。」


闘技場と言われる場所では地面が砂で覆われており、広さは学校の大きめのグラウンドくらいの大きさだ。


「早速だが、ここで俺と一対一で戦ってもらう。そこにある武器を使ってもいいぜ。」


武器が置かれている場所を指差す。想像通り俺たちは玄武さんと戦わなければいけないらしい。


「…そういやお前らS部屋、C部屋、E部屋、G部屋と分けられているらしいが俺に力を見せつけることが出来れば待遇を上げてやるぜ。S 部屋の奴らは知っていると思うがS部屋はいいよなぁ〜、個人用の部屋に30畳の大きさ、さらには言えば何だって出てくる。うまい飯だって食えるし、女も抱ける。ハハハハハ!…ま、せいぜい頑張るこった。」


クラスの大半の人の顔つきが変わった。

てか、俺の部屋ってG部屋だったんだ…。


「ほら、誰でもいいからかかって来い。」


玄武さんはダルそうに腰にある刀ではなく、先ほど玄武さんが指差した武器の場所から一本の木材で出来た刀を手に取る。

しかし誰も1番目に出ようとしない。


そんな中、武器の置かれている場所に歩く音が聞こえた。


「僕が最初に行くよ。」


そう答えたのはもちろん達也だ。玄武さんと同じ木刀をとる。


「よろしくお願いします。」


「へえ…俺と同じ武器を取るなんて余程舐めてるようだな。」


玄武さんの言う通り、武器の置かれてある場所には金属で作られた武器も数多くある中、1番攻撃力の低そうな木刀を取ったのだ。


「いえ、勝負はフェアにやりたいだけです。」


「…ふーん、じゃあその甘い考えを叩きのめしてやるよ。来な、初手は譲ってやるよ。」


「ではお言葉に甘えて!!」


達也は全力で玄武さんに向かって走りだす。木刀を右手に持ち、力いっぱい木刀を振り下ろす。


「単純な動きでつまらんなっ!」


玄武さんはいとも簡単に達也の刀を払いのける。達也がふらついたのを玄武さんは見逃さず、一歩前に踏み込みそのまま木刀を達也の胸を突く。


「ガハッッッ!!」


達也は思わず膝をつく。


「おいおい、そんなもんかよ。勇者なんだからもっとやるかと思っていたがガッカリだな…。」


玄武さんの言葉を聞いて観戦していた斎藤俊が口を開いた。


「ふざけんなよ!俺たちは戦いなんて無縁のところから来たんだ。それなのにいきなり呼び出して戦わせて…何がガッカリだ!!」


斎藤俊の言ってることはもっともだがお前は毎日喧嘩していたから無縁ではないと思うが…。


「や、やめろ俊…僕はまだ戦える…。それに玄武さん…まだ僕の天職である勇者の力は出していません。まだまだこれからです。」


「…ほう、じゃあその力を見せてみな。」


「うおおぉぉぉ!!」


達也は先ほどと同じように玄武さんに走りだす。



(どうゆうことだ?先ほど言った言葉は見栄だったのか?…まあいい、どちらにしよやることは変わらん!)


達也の木刀が先ほどと同じ軌道で振り下ろされる。

玄武は木刀を真正面から防ぐ。が、そこから達也はジャンプして玄武の上を一回転して回る。


(何っ!!これを狙っていたのかっ!!そんなトリッキーな動きが出来るとは…面白い!)


達也は玄武の後ろに着地し、木刀を右回しに振る。



達也は玄武の後ろを取ったことで自分の勝ちを疑わなかった。しかし木刀を右回りに振ると…


カアアァァン!


そこには玄武が真正面にいた。そして達也の刀をいとも簡単にはじき返した。


(そ、そんな…確かに後ろを取ったはずなのになぜ、こちらの方向を向いているんだ!?)


「何を驚いてるんだ?この国の王国戦士長がこんなもんでやられるとでも思ったのか?…甘いやつだ。ま、初戦闘にしてはまだマシだがな…。もうお前はいいぞ。お前の実力はだいたい分かった。」


「待ってください!!僕はまだ勇者の力が出していません!」


「分かっているさ。だがこっちも時間がないんだ。何せあと31人やらなきゃいけないんでな…。」


「分かりました…。」


(ちっ…、出し惜しみせず本気でやればよかったな…。ま、次はどうなるか覚えておけ…。)




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