職業チート！？
「こ、ここは……？」
俺たちは意識を失った後、目が覚めると目に映ったのは知らない天井だった。状況を確認するべく周りを見渡すとそこはベッドが大量にあり俺自身もそのベッドの上で寝かされていたようだ。
「あ、あの…だ、誰かいませんか！？」
そう叫んでみるとすぐに返事は帰ってきた。
ドタッドタッドタッ！！
勢いの良い足音が聞こえる。そして音が止まると同時にガチャリとドアが開けられた。
そこにはこの世の人間とは思えないほどの美女…………というわけではなくおばちゃんが入ってきた。しかしただのおばちゃんではなく、髪の毛や目の色が青色だった。
「ついにお目覚めになりましたか。」
そのおばちゃんは俺を見て興奮していた。
「あ、あの…ここはどこですか？」
おそるおそるおばちゃんに聞いてみる。初めて見る人だし髪や目が青色で鼻も高いことから緊張しているのは当然だ。
「そうですね…まずは私の名前はミルフィー、この王城の総括下女を務めています。そしてこの世界はメナラタ。ま…あなた方から言うと異世界です。」
「い、異世界！！？な、何を言ってるんですか！？」
突然ここは異世界ですと言って信じる者がいるだろうか？いや決していないだろう。俺はこの時はただの馬鹿げたイタズラだと思っていた。
「異世界から来られた方々は皆そう言いますがこの後に行われる儀式を受ければ自然と理解できますよ。…あなた様と同じ時に来られた方々と同じようにね。」
それは衝撃の発言だった。俺にとっては異世界に行こうが天国に行こうがどうでもいい。ただクラスメイトたち、特に見島達也がここにいる。それだけで俺の気分は憂鬱になった。
おばちゃん、いやミルフィーさんは俺が急に顔が暗くなったことを不思議に思いながら口を開く。
「どうかなさいましたか？」
「いえ、何でもありません……。今からその儀式とやらを受ければいいんですか？」
「はい。【祝福の議】を受けてもらい、結果を見て、それぞれの部屋に移って頂きます。」
「それぞれの部屋？」
「そうです。祝福の議ではその人の天職やステータスを見ることが出来ます。
そしてその結果によって部屋が振り分けられているのです。上級職の場合はスイートコースのS部屋へ、一般職の場合は6畳ほどのC部屋へ、そして下級職の場合は…6畳ほどの部屋を４人で住んでもらうE部屋に行ってもらうことになります。」
「……そうですか…。」
俺は興味なさげに聞いていた。なぜだろうか、下級職を取るような気しか起きなかったのだ。
そして間もなくして俺は部屋を出て、広い廊下を歩き、何やら教会のような場所に来た。正面には何やら丸い球体のような物が飾られている。しかも大きさは人よりも大きい。そして目の前には水晶を持ったお婆さんがいた。目の色や髪の色が赤色というなかなかファンキーなお婆さんだが対して興味を持たなかった。そう、この世界に同じく見島達也がいるのだから…。
「ほっほっほっ、よくぞ目覚めたのぅ。異世界人よ。」
禍々しい黒いローブに身を包むお婆さんはまさに魔女だ。
「……。」
「ほほ、そんなに緊張なさんな。どんな天職であっても鍛えればいずれは上級職へと上がることが出来る。例え低級職でも心配することはない。」
「…お願いします。」
「では始める！」
すると魔女のようなお婆さんが持つ水晶が光りだす。眩い光で思わず目を閉じてしまう。しばらくして光りは収まり、目を開ける。
「……どうでしたか？」
「うむ……。長年この仕事をやり続けてはいるがこんな職業は初めて見た！！」
魔女のようなお婆さんは興奮したように話す。そしてお婆さんは初めて見た天職の名を高らかに話した。
「お主の天職は……新天職【奴隷】じゃ！！」
