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異世界突入

「ヒャハハハハハ、ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!…アハハハハハハハハハ!!アハハハハハハ!!」


 洞窟の中、1人奇妙な笑いをする者がいた。だがなぜかその笑い声には怒りや悲しさが溢れるような笑い方だった。


(……あぁ…どうしてこんなに笑っているんだっけ…?

……そうだ、思い出した。確か俺の名前は無消 零(むしょうぜろ、高校2年生だったはずだ。そんな俺がなぜこんな薄暗い洞窟の中を1人笑っているんだ?……そう、そうだ。思い出してきたぞ。俺は確かこんな人生を送ってきたんだ。)


           :

           :

           :


 俺は幼稚園から高校までいじめられてきた。理由は簡単だ。幼稚園のとき、無口で感情を出さない性格の俺を見島 達也(みじまたつやは俺をいじめてきたのがきっかけだった。

 

 幼稚園から小学校に上がっても当然、見島達也はいるわけで幼稚園の頃よりいじめはエスカレートしてきた。小学生ながらいじめられ続けた俺はストレスを解消するために暴食暴飲を繰り返した。結果、俺の身体は脂肪がたっぷり付いた。まるで歩く豚のように。

 それを見島達也は見逃すわけもなく、それを理由にまたいじめがエスカレートしていった。今思えば小学生の頃はまだよかった。所詮ボールを投げつけられたり、給食をわざと俺にかけたり、見島達也が行った悪戯の全ての罪を俺にかぶせただけだったのだから…。

 

 中学校に入るとさらにエスカレートした。俺をいじめる人の数は見島達也だけでなく、5人に増えた。周りの連中もそれを見て見ぬふりをする奴らや、他人の前ではいい格好をしようといじめを止めるつもりもないのにやめるように口を挟む奴らがばかりになった。

しかしそれでも高校に比べればまだマシだったのかも知れない。なぜなら中学校では暴力を振るわれたり、万引きをさせられたり、便器に顔を埋められただけなのだから…。


 高校になって絶対に見島達也とは同じクラスが嫌だったから本気で勉強をして府内では上位の高校に入った。しかしそこには見島達也もいた。見島達也は運動神経抜群で容姿も良い、さらには勉強も出来る天才だったのだ。見島達也の評判は良く、気配りやさりげない優しさ、そして何でもこなせるその才能に皆、見島達也のことを信頼し尊敬していた。だからこそ見島達也のやることは全て許され、逆にいつも見島達也にいじめられる俺は学校全体の嫌われ者だった。

 この頃だろうか。俺は何も考えなくなった。いじめられることに反応するのに疲れ、自殺も考えた。だが高校を卒業すればいじめも終わる、そう思い自殺することをやめた。

 しかしこの考えを持つことでさらにいじめはエスカレートしていった。クラス全員が毎日いじめるようになってきたのだ。男子には暴力は当たり前のこと、全裸でグラウンドを走らされたり、便所の水を何度も飲んだ。女子には暴言の嵐で死んで欲しいと何度、言われたことか。さらには女子の中のあるゲームで俺に告白しなければならないという罰ゲームを作り、罰ゲームの女子が嫌すぎて不登校になった。そして先生からも俺は何も知らないとばかりの態度で俺は地獄のような日々を過ごした。

 そしてあの出来事が起きた。


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キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン


 四時間目の授業が終わり、昼休みに入ったときだった。


「おい、無消。ワッフルパンとメロンパン、あとチーズパン買ってこい。」


 そう言うのは見島達也と同じく俺をいじめる斎藤 俊(さいとうしゅんだ。身長178で髪の毛はいつもオールバックのヤンキーだ。見島達也といつも連んでいて暴力の大概はこいつの仕業だ。


「…分かった。」


 俺がそう返事をすると後ろから声がする。


「あ、俺にも牛乳とコロッケパン1つな。」


 そう言うのはいつも俺に便所の水を飲ませたり、服を破いたりする小山 亮(こやまりょうだ。


「…はい。」


 俺はいじめに反抗する気持ちもなく、ただこの日常が早く終わって欲しい気持ちでいっぱいだった。どうせ、反抗すればいじめが急速にエスカレートするだけと分かっている以上、俺は自分に嘘をついた。俺は大丈夫だと…。


「早く行けよ!!てめぇ、俺らのパン買えなかったらどうなるか分かってるよな!!…今日はサンドバッグ状態で終わると思うなよ!」


 斎藤俊は俺にそう吐き捨てながらニヤリと笑みを浮かべた。まるで俺のことを何とも思っていない…いや思っていないのだろうがゴミのように俺を扱う。


 そして言われたままに購買へ足を進めると突然真っ白な円上のものにクラスは包まれた。クラスメイトたちは当然驚く。


 しかし俺は何もかも興味がなかった。突然現れた真っ白の魔法陣のようなものが何を起こすのかなどどうでも良かった。ただこの地獄がいつ終わるのかそればかりを気にしていた。


「な、なんだ!?この光りは!!?」


「お、落ち着けよ!!き、きっと何かのいたずらだろ!」


 そして俺たちは意識を失った…。

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