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アヤコの店

 ――そうだ。これは何かの間違いに違いない。

 そう信じてもう一度目を凝らした。

 〝アヤコの店〟。

 俺が半眼で見据えた背の低い看板には、やはりそう書いてある。


 黒い背景に紫色の流れるような文字。

 これ、夜になったら中の電灯で光るやつだろう。

 いかにも飲み屋くさい。というか飲み屋だ。そうに違いない。

 現実を否定するつもりが確信してしまった。

 けれどもサリーは言ったのだ、ここが〝願いの叶う場所〟だと。


「あのさ、サリー」

「何?」

「あんた、ほんとは悪魔かなんかだろ。そんで死人の俺をからかって楽しんでんだろ」

「どういう意味?」

「だってここ飲み屋じゃん。どう見ても場末のスナックじゃん」

「違うわよ。ここは占い屋」

「占い屋ぁ?」

「そう。ここの占いは当たるって評判なのよ。現にあなたの未来も言い当てたわけだし」

「え?」


 俺が思わず聞き返すと、サリーはまたくすりと笑った。猫が笑うはずがないのだが、ヒゲが動くと何故だかそんな風に見えてしまうのだ。


「それじゃ、あたしはもう行くから」

「えっ。い、行くってどこに?」

「こう見えてあたしも忙しいの。でもあなたとは、近々また会うことになると思うわ。それまでどうか元気で。ごきげんよう」


 いやいやいや〝ごきげんよう〟じゃねーだろちょっと待てよ、と俺が引き留める隙もなく、サリーはするりとすぐ傍の路地へ消えてしまった。

 慌ててそれを追おうにも、問題の路地は猫一匹がようやく通れるくらいの幅で、とても人間が入れるような場所じゃない。

 取り残された俺は、遠ざかる鈴の音を聞きながら途方に暮れた。ここは天岡あまおか市内でもとりわけ古いと言われる町だ。道は狭く入り組んでいて、車道はどこも一通だった。

 〝アヤコの店〟は、そんな町並みの一角にある。色褪せた看板を掲げる昔ながらの商店や、小さな床屋がぽつぽつと並んだ通りの真ん中だ。

 同じ通りにはこの昼間からカーテンを閉め切り、今も経営しているのか定かでない定食屋やタバコ屋なんかもあった。

 道行く人影と言えば、小さな手押し車をキイキイと鳴らしながらのんびり歩いているばあちゃんが一人。数年前まで新興住宅地と呼ばれていた俺の家の近所とは大違いだ。遠くで鳴いている蝉の声が、静かすぎる町に物寂しさを運んでくる。


「行くしかない……よなぁ」


 あまりの寂寥感に泣きたくなりながら、俺はどう見ても飲み屋としか思えない〝アヤコの店〟と向き合った。

 建物の外観は、このあたりのものにしてはずいぶん新しめに見える。看板こそ怪しさ満点だが、外壁は細かいレンガ風のタイルで覆われていて、陸屋根を戴いたその建物は、道端にでかい角柱が一本立っているみたいだった。

 店の横幅は狭い。二メートルあるかないかといったところだ。

 その分奥行きがあるのだろうことは、さっきサリーが入っていった路地を覗いたときに見当がついた。

 背もそれほど高くは見えないから平屋だろう。趣味の悪い看板さえなければ、小洒落た雑貨屋か何かに見えなくもない。


(とりあえず……入るだけ入ってみるか)


 ついに意を決し、俺は恐る恐る目の前のドアへと手を伸ばした。

 これはサリーとここへ来る途中に気付いたことだが、幽霊――もとい魂だけの存在となった俺にも手足がある。

 唯一死ぬ前とはっきり違うのは、ドアへ向けて伸ばした腕が透けていることだった。着ている服は最期に着ていたそれなのだけども、それも色を失って今はただ蒼白い。そんな自分の体を改めて見下ろして、俺は本当に死んだのだなと実感する。


 途端にまた泣きそうになって、俺は唇を噛み締めた。

 噛み締めたつもりになっているだけで、痛みはない。この状態で泣いたところで涙が出るのかどうかも知らない。

 それでも胸を満たしたこのやるせなさだけは、間違いなく本物だった。

 どうして俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ。こんな理不尽な死に方があってたまるか。

 そんな怒りとも悔しさともつかない感情が、俺に決意を固めさせた。

 不条理な終わりを迎えた俺の人生、やり直せるもんならやり直したい。俺はまだこの世界で生きたい。


 その思いに突き動かされるがまま、目の前のドアノブを掴む――つもりが掴めなかった。

 スカッという気の抜けるような感触。

 ああ、そうだ。俺、今幽霊なんだった。

 幽霊は実体が無いのだから物を掴めるはずがない。……って、あれ? だとしたら俺、さっきサリーを追いかけることもできたんじゃね? 

 今更そんなことを思って悔しさに歯噛みする。今から追うこともできるが鈴の音はもう聞こえない。

 かなり遠くへ行ってしまった証拠だろう。諦めるしかなさそうだ。


 はあ、と一つため息をつき、それから俺は気持ちを切り替えた。

 とにかく今はサリーの言葉を信じて進むしかない。たとえ嘘でも、今の俺が縋れるのはそれしかないのだから。

 覚悟を決め、目の前のドアを擦り抜けた。通り抜けるときに思わず目を瞑ってしまったが、別段痛みなどはない。

 それよりもまずは、目を開けた途端に見えたエスニックな内装に、俺は思わず「おお」と感嘆の声を上げた。

 店内はやはり狭いが奥行きがある。入り口の左右にある縦長の、嵌め殺しのステンドグラスから注ぐ光が唯一の光源だ。

 壁は一面唐草模様が描かれた土色の壁紙に覆われていて、床には同じ色のタイルが敷き詰められていた。

 奥に伸びた店内は手前が待合室、奥が占い部屋のようで、二つの空間は黒と紫の中間のような色をした薄いカーテンで仕切られている。


 そのカーテンが邪魔で占い部屋の様子は見えないが、待合室には向かって左に椅子が三つ、右には背の低い本棚が一つ置かれていた。

 本棚の上には奇妙な模様が描かれた象や猫の置物と一緒に、白い皮張りのテントを模したランプがある。

 下に入っているのは各種占い本と自己啓発本。まさに占い屋という感じだ。

 サリーの言葉は本当だった。外からはとてもそうは見えないが、中は雰囲気満点だ。


 更に右手の壁には何が描かれているのかいまいちよく分からない絵画と、金縁の鏡が飾られていた。絵画の方は緑や茶色の絵の具を乱暴に塗りたくったようにしか見えないのだが、それは俺に絵心がないせいなのか、はたまた描いた人間のセンスの問題なのか。

 待合室に人がいたならぜひとも意見を求めたいところだったが、生憎店内は無人だった。

 もっとも誰かいたところで、幽霊となった俺の声など届くはずもない。何とかして俺の存在を知らせようにも、物に触れることすら叶わぬ身ではそれさえも難しい。

 ――ときに、俺の姿は鏡に映るのだろうか。その好奇心じみた疑問は、壁にある金縁の鏡へと向けられた。

 ホラー映画やなんかだと、鏡の前に立った人間の後ろに悪霊が映り込む、なんて展開がよくあるが実際はどうなのだろう。昔から鏡は魔力を持っているなんて言われるし、もしかしたらもしかするかもしれない。

 俺は既に存在しないはずの心臓が高なるのを感じながら、思い切って鏡の前に立った。

 そこに映り込んだのは、


「――いらっしゃい。やっぱり来たのね」

「うはぁっ!!」


 突如鏡に映った黒髪の女。

 にやりと笑ったその女にいきなり声をかけられて、俺は盛大な悲鳴を上げた。

 あまりの驚きと瞬間的な恐怖に、やはりないはずの心臓がバクバクと音を立てる。鏡に映っているのは色白なその女だけ。真正面に立っているはずの俺の姿はどこにもない。

 だが俺は、その女の顔に見覚えがあった。

 スーパーで会ったあの女だ。

 まさかという驚愕と共に振り返る。俺なんかよりよっぽど幽霊然としているので、振り返ってもし誰もいなかったらという恐怖はあったが、それはすぐに掻き消えた。

 ああ、良かった、人間だ。

 女は確かにそこにいて、今日も全身黒ずくめの衣装に身を包んでいる。


「あ、あんた、あのときの……!」

「あら、覚えててくれたの? 光栄だわ」

「そりゃ、あんなの忘れたくても……って、いや待て、あんた俺が見えるのか?」

「ええ、もちろん見えるわよ、武海いさみタケル君。〝アヤコの店〟へようこそ」


 ああ、くそ、この人はまた俺を混乱させるようなことを言う。何で俺の名前を知ってるんだ。どうしてこの人には俺の姿が見えるんだ。

 そう言えばさっきのサリーとかいう猫も、俺が名乗る前からフルネームを言い当てていた。

 ってことはあいつもこの女の仲間なのか? こいつらは一体何者なんだ?

 この女は、何で俺の死を言い当てることができたんだ?


「私の名前は月宮絢子つきみやあやこ。あなたの名前は〝占い〟で調べさせてもらったわ。死んだ人間の姿というのは、見える人間には見えるものなの。あなたをここまで案内してきた灰色の猫ロシアンブルーは私の友人。どうして人の未来が読めるのかは、話すと長くなるから省略するわ」

「……! ひ、人の心を読みやがった……!」

「うふふ、そんなに驚くことないじゃない。曲がりなりにも占い師ですもの。むしろこのくらいの読心術は心得ていて当然でしょう?」


 そう言って、スーパーのニンジン女――もとい月宮絢子は、くすりと妖しい笑みを浮かべた。その笑みを見た途端、俺の背中にはぞくりと不気味な悪寒が走る。

 こいつ……ほんとに何者なんだ? 信用して大丈夫なのか?

 俺が胸に抱いたその不信感さえも、女はすぐに見透かしたようだ。細い肩を竦めると、自らの肘を抱くように軽く腕を組んで言う。


「そんなに警戒しなくても、取って食べようなんて思ってないから大丈夫よ。ここが占い屋なのは見てのとおり。だけどこういう体質でね、色々と副業もやってるわ」

「副業……? それって、霊媒師とか?」

「まあ、似たようなものね。こう見えてその筋じゃあ結構有名なのよ。以後よろしくね」


 ウインクしながらそう言われたが、〝以後よろしく〟って何をよろしくされたんだ。

 そもそも〝その筋〟ってどの筋だ。怪しい。怪しすぎる。見た目はこの上なく美人なのに、口を開くと胡散臭さしかない。なんて残念な人なんだ。言葉を交わせば交わすほど、俺の中の不信感がすくすくと順調に育っていく。


「それで、サリーについてきたってことは、人生をやり直したくてここへ来たと受け取っていいのね?」

「あ、ああ……そのつもりだったんだけど……」

「あら、気が変わった?」


 何の悪気もないといった風に、女――絢子さんは首を傾げた。

 言っちゃあ悪いけど、そりゃこんな怪しい人が出てきたら決意だって揺らぎますよ。そもそも本当にそんなことができるのかどうかさえ疑わしいのに。


「――できるわよ。あなたにその気があるのなら」

「えっ……」

「ってサリーが言わなかった? 私の力を以てすれば、あなたにもう一度生きるチャンスを与えてあげられる。新たな肉体を用意して、そこにあなたの魂を定着させることがね。だけどそれは、決して褒められた行為とは言えない。それが何故かは分かるわよね?」

「……死んだ人間を、生き返らせることになるから?」

「そうよ。それはこの世の摂理にもとる。通常、死んだ人間の魂というのは本能に従って、自らあの世へ渡るものなの。そうして生前の記憶を失い、新たな肉体に宿って次の生を迎える。それが魂のあるべき姿。あなたもこのまま放っておけば、やがてあの世へ呼ばれるわ。よほどの執念でもない限り、肉体を失った魂がこの世に留まり続けることはできないから」

「……」

「けれどあなたはチャンスを得た。生前の記憶を保持したまま、この世でもう一度生きるチャンスを。それをどう受け止めるかはあなた次第。気にしない人間はまったく気にしないし、真面目な人間は自分だけがズルをするのかと思い悩むわ」


 ――自分だけが、ズルを。絢子さんが告げたその言葉が、やけに俺の胸を抉った。

 そうだ。この世には俺以外にもいくらだって理不尽な死に方をした人達はいる。

 戦争、災害、病気、事故、殺人、自殺――。

 本当はみんなもっと生きたかったはずなのに、自分ではどうにもできない理由で死んでいく。それはテレビの中の話でも、遠い国の話でもない。いつも傍にある現実だ。

 なのに俺が、俺だけが、死をなかったことにするなんて許されるんだろうか。

 今もきっとあちこちを、俺と同じ無念を抱えた魂が彷徨さまよっているはずなのに。


「――というわけで、白羽の矢もとい運命のダーツに射抜かれた武海タケル君には、〝人生再チャレンジプラン〟を初回無料で体験できる特別優待券をプレゼント☆ 生涯に二度とないチャンス! この機会にぜひぜひ試してみてね☆」


 瞬間、俺は盛大にその場にコケそうになった。営業スマイル全開で言った絢子さんの手には、本当に一枚のチケットがある。

 しかもそのチケットには、達筆な文字ででかでかと『人生補完計画』と書かれているだけだった。

 どう見ても手書きである。それ、俺が来る前に慌てて作っただろう。というかその名前は色々とマズイだろう。


「あ、あんた、直前までのしかつめらしい講釈は何だったんだよ! 新手の当選詐欺かなんかか!」

「失礼ね。これは当店の正当なサービスよ。ただ、あなたがあとで真実を知って罪悪感に駆られたりしないように、必要事項を説明しただけ。この世ではね、ズルだろうと何だろうとチャンスをモノにできる人間が出世するのよ。それができない正直者は損をするだけ。あなたも生きて社会に出れば、それが嫌ってほど分かるわ」

「仮にも生き返りたいと思ってる少年に汚い大人の現実を突きつけるのはやめてくれませんかね」

「あら、知っておいて損はないと思うけど。とは言え私は見てのとおり、心の清らかな大人だから何も心配いらないわ。迷える少年を導くのもまた大人の仕事。私はいち社会人として、その責務を果たしたいだけよ」


 ああ、胡散臭い。最高に胡散臭い。

 そのいかにも善人ぶった顔をやめろ。今更そんな綺麗な目をしたって俺は信じないからな。

 大人は汚い、汚いんだ。そうやって純粋な子供の心を弄ぶ。それだけは今、この人との会話ではっきりと学習した。


「ああ、ちなみにもう一つ忠告しておくと、確かに私の力があればあなたの願いを叶えることはできるわ。だけど仮に生き返ったとしても、あなたはもう〝武海タケル〟として生きることはできない。まったく新しい顔、新しい名前を持った別の人間として生きることになるのよ。それが何故なのかも、改めて説明する必要はないわよね?」


 急に生真面目な口調になって問われ、俺は思わず表情を強張らせながら頷いた。

 それも当然だ。死んだはずの人間が奇妙な巡り合わせで生き返ったなんてことが知れたら、世間は大騒ぎになる。その行為が絢子さんの言う〝摂理に悖る〟行為である以上、とても公にするわけにはいかないだろう。


「だけど、さ。それならその、俺の元の体に魂を戻すってことはできないのか?」

「残念だけど、それは無理ね。肉体が壊れることなく魂だけ抜けてしまったというなら話は別だけど、一度壊れた肉体に魂は宿れない。それは穴の開いた器にいくら水を注いでも漏れてしまうのと同じこと。まったく不可能ではないとは言え、そうして無理に甦ったところでそれはもはや人ではないわ。ただの生きる屍ばけものよ」


 ……化け物、か。それもそうだよな、と思いながら、しかし俺は俯いた。

 あの世へ行くことを拒み、生前の記憶を持ったまま、まったく別の人間として生まれ変わる。そこには一体、どんな意味があると言うのだろう。

 いくら死ぬ前の記憶を持っていても、俺が俺として生きられないのなら、それは本当に〝生き返った〟と言えるのだろうか?

 まったく別人の皮を被って、今後一生周りを騙しながら生き続ける人生に、果たして価値などあるのだろうか?


 そもそも俺は、生涯人を騙し続けて生きられる自信などない。初めは何とか上手くやれたとしても、きっといつかは自分の正体を打ち明けたくなるときが来るはずだ。

 そんな苦悩を抱えてまで生きたい理由が、俺には何かあっただろうか。

 学校にはだらだら通っていただけだし、将来の夢も特にない。好きな人はいたけど付き合ってはなかったし、生き返ってまで告白したいという度胸もない。

 他に気になることと言えば、来年の春に出るという『ナイツ・オブ・ドラゴンズ2』のことくらいだろうか。……あれ、なんか悲しくなってきた。俺の人生って一体何だったんだろう。


 俺の言う〝未練〟なんて、所詮そんなもんでしかなかったのか。今になって振り返ってみると、自分がいかに空っぽでくだらない人生を送ってきたのかという現実がまざまざと迫ってくるようだった。

 こんなつまらない息子のために、父さんは毎日働いていたのだろうか。こんな親不孝な息子のために、母さんはあんなに泣いていたのだろうか。

 タケル、と必死に俺の名を呼んでいた両親の声を思い出すと、急に視界がぼやけてくる。

 ああ、俺、愛されてたんだ。父さんと母さんに、あんなに愛されてたんだ。

 なのに俺は、二人が惜しみなく注いでくれた愛情に何一つ応えることができないまま、たった十六歳という若さで死んでしまった。

 それは父さんと母さんにとって、どれほどの衝撃だったのだろう。俺は何も返せなかった。お礼さえまともに言えなかった。

 今まで育ててくれてありがとう。

 たった一度でいい。父さんと母さんに会って、そう伝えたい。

 今の俺には、他にできる親孝行が見つからないのが悔しいけど。

 このまま二人に何も言わず、この世から消えちまうなんて嫌だ。

 ――嫌だ。

 はっきりとそう思った刹那、俺を見つめた絢子さんが微かに、けれど確かに微笑みかけてくる。


「決心はついた?」


 俺は頷いた。不安や迷いはもうなかった。

 この人が本当に俺の願いを叶えてくれると言うのなら、今はそれを信じたい。どんなにわずかな可能性でも、縋れるものなら縋りたい。

 空っぽでくだらなかった人生を、もう一度やり直したいんだ。

 今度はちゃんと、自分の生きる意味を見出だせるように。


「いい目になったわね。それじゃあ、ついていらっしゃい」


 相変わらず涼しい声色でそう言って、絢子さんは店の奥へと消えた。

 紫黒色のカーテンの向こう。

 その先に、俺の第二の人生が待っている。

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