表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暁の龍  作者: さらねずみ
序章
2/36

衰弱と崩壊

龍と人間の共存する、こことは違う異世界。

神にも等しい力を与えられし支配者"神龍"の治める世界。

この世界で、長い永い年月と共に築かれてきた平和は、ほんの刹那の出来事により突如として崩壊を始めてしまった。


その世界の中心、聳え立つは、淡い光を放つ巨樹。蛍のような光が枝々から滴れば、銀色の光を帯びた草原が揺れる。

昼も夜も判別のつかぬような、薄暗い暁の世界。それの一番奥深く、かの世界の支配者は床に伏せり、弱々しい声で呟いた。


『……最早、我もこれまでか…』

「そのようなことはございません!只今魔術師が全力を挙げて治療を…!!」

『…よいのだ。我の衰弱はこの異世界の衰弱。魔術でどうこうできるものではない』

「然しこのままでは、この世界のみならず貴方様も…!!」


人影は、焦る。幾重にも重ねられた夕霧のような帳の向こうで、床についている者の言葉に。

主の衰弱、これすなわち世界の崩壊。自分では決して抗うことのできない運命を今、目の前に突きつけられてしまったその者は、ただただその非情な現実に打ち据えられていた。

新たな発言も出来ず、唇を噛み締めて俯く。じわりと口の中に滲む鉄の味が、妙に強く感じられた。


もう、終わりなのか。

この世界の終焉は、最早決まってしまったことなのか。

そう絶望に浸っていた刹那、声が響いた。


『……悲観するな。まだ、手は残っている』


帳の向こう、起き上がった人影。その人影は、自らの家臣である者を労るように、言葉を放った。

精一杯振り絞った、凛とした声で。


『…我が家臣よ、頼みがある。

――とある人物を、我の元に連れてきてくれ』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ