【解放】前
マカは振り返り、ミナの眼を真っ直ぐに見つめた。
「ミナ、昼休み。教室飛び出した後、何していたんだ?」
「何って…」
ミナの顔色はすでに白かった。
そのままミナの家の前まで来たので、話しは中断した。
「…何って…」
ミナはぼんやりと言葉を繰り返した。
今はもう夜。そろそろ寝る時間だ。
しかし眠気が無い。
マカの言葉が頭から離れないのだ。
このサイトの悪いウワサはある程度知っていた。
でも今更止めるワケにはいかなかった。
「マカにやっと近くなったのにっ…!」
ギリッと唇を咬んだ。
マカは成績優秀者として、そしてあの人離れした雰囲気によって、一目置かれた存在だった。
それが口数少なく、取っ付きにくい性格でもだ。
そんなマカが、自分と親しくしてくれる理由が分からなかった。
出会いは入学式の時。
クラスに入って、マカと眼が合った。
それだけでマカの方から近づいて来てくれた。
それ以来、親友と呼べるぐらいまで仲良くなったつもりだった。
しかし不安は募るばかり。
マカに一度、何故『自分』だったのか尋ねてみた。
「一緒にいるのが楽だから。ミナは純粋だから」
…と、的をえない返答だった。