第0話
(…此処は?)
気が付いたら見覚えの無い場所に立っていた。
正確には『立っている』は合っていないかも知れない。
床や天井?と見える場所全てが白で埋め尽くされ、更に自分が立っているのか寝ているのか…果ては浮いているのかも判らない。
そして動きたくても動けない…。
どれ位の時間が経ったのだろうか?
1分?10分?1時間?1日?1週間?1ヶ月?1年?
…もしかしたら1秒かも知れないし、もっと時間が経ったのかも知れない。
ただ時間の間隔…いや、感覚は曖昧になっている。
…変わった事と言えば、何時の頃からか何かが近付いてくる感じがする。
「…はっ?」
唐突だった。
いきなり…と言っても気が付いたら景色は変わっていた。
周りが白ばかりだったのが、まるで何処かの神話に出てきそうな宮殿にいた。
…玉座、とでも言うべきだろうか?
王様とかが座って居そうな椅子に、気が付かなかったが男が座っている。
身長は180ある自分よりも更に高そうで、筋肉もかなり有りそうだ。
髪は銀髪で長さは腰まで有りそうだ。
…と言うより、何処かで見た気がする。
何より目を引くのは、ひじ掛けに片腕を乗せ、顎に手を当てながら…寝ているかは分からないが目を瞑っている姿勢にも関わらず、威厳と言うか風格と…、何かを感じずには要られない。
「…来たか」
いつの間にか男が目を開けて自分を見ていた。
「…此処は?俺は一体…」
「此処は私の住む…聖域だ。お前は死んだ」
…一瞬、自分の時間が止まった様な気がした。
「…死んだ?」
「そうだ、死んだ」
認めたくは無いのに、何故か目の前の男の言葉を否定は出来なかった。
「…何で、何で俺は死んだんだ?それに死んだなら何で見覚えの無いこの場所にいるんだ?」
「お前が死んだ理由?知らんよ…と、言いたいが、間違いで他の神に殺されたらしい。んで、そのまま放置しやがったから俺が引き取った」
「はっ?間違い?奴?」
何だよ間違いって!?
奴って誰だよ!?
…つかこれって
「まぁ、テンプレだな」
「思考を読むな!て事は、奴って他の神か?」
「…まぁ、そうだな」
俺の疑問に男…神様かも?
神男は歯切れの悪い返事を返して来た。
「…何だよ?」
「あのな、俺の名前は神男じゃないぞ?俺は厳密には【神】じゃない」
「じゃあ何だよ?」
「何だろうな?」
俺の質問に即答で質問で返して来た。
「そんな事はどうでも良い」
「おい!?」
「お前が選べる道は2つだ。1・自ら望んで転生する、ある程度なら自分で力とか要望出来る。2・強制的に転生させられる、力とかは俺の気分次第…だな」
「いやいや?どっちにしろ転生じゃん!」
「だって邪魔だしお前、早く此処から出したいからな」
「邪魔って…、まぁいい。1と2にの違いって?」
「1は強力過ぎる力じゃなければ基本的には何でも可能、2は選べないし何になるかも不明、俺の気分で適当に見繕って授ける感じだな、代わりに1と違って1つ位は強力な力が入るかも…だな」
いやいや、博打は嫌い何だよ
「1で頼む」
「ふむ、構わないぞ?それで希望は?」
そこでふと考える。
自分は特に考えて…いや、1つだけなら自分が考えられるのがあった。
「ならさ、俺がハマっていたゲームで使用していたキャラクターの力をそのままくれ」
「…ゲーム?」
俺の答えに男は聞き返す様に呟いた。
「ゲームって知らないか?」
「いや、知ってる。それで良いのか?」
「あぁ、他だと今一分からないけど、それなら分かるからさ」
男は暫く上を見上げてから
「…成る程、なら少し弄る事にはなるが良いだろう」
「…弄る?」
「あぁ…大丈夫だ、そのキャラクターより弱くなる事は無い」
「…なら良いけど」
「では今から送るぞ?」
「はっ?…どんな世界かも、まして力の使い方は?」
「説明がメンドイ、体と力かオマケは向こうに着いたら完成する」
「体?オマケ?てか完成って?」
「…達者でな」
俺の言葉を無視して男は指を鳴らす。
すると俺の足元から身体が消えて来ていた。
(おい!?)
男を見ながらどういう事か聞こうとしたが、口元まで消えているらしく声が出ない。
そして最後に見たのは最初の姿勢になった男の姿だった。