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マタギの里で、最強の獲物にされました〜クマとイケメンに囲まれて、私の命と恋は持つのか!?〜  作者: AAA


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6/10

第5話:食い止められた悲劇と、隠された深手

 クマ避けの鈴を押し付けた春樹が去り、私は一人、ぼんやりとしていた。


里の男たちの会話が、風に乗って聞こえてくる。


彼らは、私の命を救った冬真の行動について話していた。


「冬真のやつ、相変わらず手柄を独り占めしやがって」


「まあいいじゃねぇか。だが、よく動けるな。昨夜の『見回り』で、かなり深いのを負ったって聞いたぞ」


「見回り? あの『尺取り(しゃくとり)のゴン』を追っていたのか?」


「ああ。冬眠前のクマは凶暴だ。特にあのゴンは、里の近くで何度も目撃されている大物。冬真は里にクマが入るのを食い止めようと、単独で遭遇したらしい」


(え……?)


里の男たちの会話を聞き、私の心臓がドクンと跳ねた。


冬眠前のクマ。それは、食料を求めて人里近くに出没し、最も危険で凶暴な時期だと聞く。


そして、その相手が「尺取りのゴン」と呼ばれる、里でも恐れられている伝説の巨熊だという。


昨夜の激闘。深手。


「動くな。俺の縄張りが汚れる」と言い放ち、私の命を救ったあの瞬間。


彼は、巨大で凶暴なクマとの命懸けの戦いの直後だったというのか。


(嘘……。さっき、そんな素振り、欠片も見せなかった)

(私の命を救った時、彼はたしかに、一瞬だけ顔を歪ませたような気がした。あれは、クマへの威圧ではなく……傷の痛みだったんだ)


あの圧倒的な強さは、満身創痍の上で成り立っていた。


彼は私のために里の領域に戻ってきて、クマを追い払ってくれた。


(駄目だ。恩人なのに、重い怪我を負っているのに、気づかなかったなんて)


マタギのプライドか、里の掟か。彼は怪我をしても、誰にも頼らない。


(だけど、ここは乙女ゲームの世界観だ)


(ヒロインとして、看病ルートを黙って見過ごすわけにはいかない!)


私は決心し、祖母の家にあった薬箱と、おかゆを作るための米と鍋を抱え、里の人間が絶対に近づかない冬真の住処を探し始めた。

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