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マタギの里で、最強の獲物にされました〜クマとイケメンに囲まれて、私の命と恋は持つのか!?〜  作者: AAA


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3/10

第2話:クマと、絶対的なヒーロー

 里に来て三日目の昼下がり。

私は里長から言われた「絶対入るな」と言われた山には入らず、集落に隣接した裏の畑で、祖母が残した草を刈っていた。


(ふう。慣れない作業で、すぐに汗だくになる)


都会の喧騒とは違う、鳥の鳴き声と風の音。

平和だ。なんて平和なんだろう。


――その時。


バリバリッ!


畑の向こう、鬱蒼とした森の境界で、大きな音がした。

まるで、太い木がへし折られるような音。


(え……?何か、大きな動物が走ってる?)


次の瞬間、私の目に飛び込んできたのは、畑の柵を軽々と乗り越え、こちらに向かってくる黒い巨大な影だった。


「ひっ……!」


クマだ。

しかも、集落の間近まで来ている。ありえない。


私は腰を抜かし、その場に座り込む。

逃げなきゃ。そう思うのに、恐怖で体が動かない。

クマは立ち上がり、私に向かって「ウオオオオオオ!」と咆哮した。


(あ……ダメだ。私、ここで死ぬんだ……)


(なんでこんな里に来たんだろう。最期がクマに喰われるなんて、最悪すぎる!)


恐怖で目を閉じ、死を覚悟した――その時。


「動くな!」


低い、それでいて鼓膜を震わせるような、鋭い声。

同時に、私とクマの間に、影が一つ立ち塞がった。


ズン、と。


私が里長の後ろで見た、あの分厚い背中。

鹿革の装束を着た、あのマタギだ。


彼は私の方を振り返りもせず、クマに向かって立ち尽くす。

その手には、まるで最初からそうであったかのように、一丁の銃が握られていた。


「里に近づいた獲物は、すべて俺の獲物だ」


そして、私に告げた。


「お前は、俺の縄張りに迷い込んだ。だから、俺の所有物だ。勝手に死ぬな」


(え? 縄張り? 所有物?)


(まって、今、クマから助けられてるのに、このセリフは……ドSイケメン攻略対象のやつ!?)


私の視界には、恐怖よりも、目の前の男の圧倒的なカリスマ性が映り込んでいた。

彼の名は、阿仁アニ冬真とうま

この物語の、【メイン攻略対象】だった。

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