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第十一話「アキラ・オザキ」

 2133年7月

「首相!オザキ首相!ISMOのプロジェクトマネージャーに指名されたというのは本当ですか!首相…え?銃声です!別館の方で銃声が!車が突っ込んできました!激しい撃ち合いに!あ!ちょっ!バイクです!バイクが飛び込んで来ました!危ない!運転手が!今、燃えた日の丸の旗を掲げた若い女性が門の方へ駆け込んで行きキャーッ!!!」


 爆発と衝撃が辺り一面を薙ぎ払い、側にいた群衆は皆倒れ伏した。それは日本の総理大臣を狙った自爆テロだった。爆発を免れた人々が散り散りに逃げ去っていく中、1人の女性がフラフラと逆方向へ、爆発の中心地へと歩いていく。


 多くの警察官やSPが折り重なって倒れている死体の山の中に、目的のものを彼女は見つけた。あの人を。いや。正確にはあの人の一部を。


 彼女は跪いた。あの人の肉片を手に取り、声をかけた。「願い事は叶った?」


 震える手で、愛おしそうに頬擦りをし、そして、口に運んだ。


 *******************************************************


「どれくらい経った?」目覚めるとアキラは側の人物に声をかけた。唐突に呼びかけられてその人物は飛び上がるほど驚いた。


「総理!気がつかれましたか!」秘書官のヤマムラだった。「3日です!あれから3日経っています!今ドクターを呼びますね!」慌てるヤマムラに対して「待て。」アキラは静かに制止した。


「ヤマムラ。私の容体はどの様に報道されている?」


「重症です。意識が戻らず絶対安静の状態だと…」


「そうか…。」しばらく考え込んだ後「私は死んだ。そう発表してくれ。」


「それは一体?!」


「反体制派の攻撃を防げなかった。これは明らかな失敗だ。現政府は弱みを作ってしまった。この先、私が復帰したとしてもテロ対策に予算を回さねばならなくなる。」


「しかしそれは当然の施策です。総理もこうして無事に回復された訳ですし、今後も計画の中枢として…」


「いや。私がまた表舞台に立てば同じ事を繰り返すだろう。そんな無駄は避けたい。政権はサナダ君に任せて、私は全くの別人に成り代わろうと思う。」


「別人…ですか。」


「反体制派の目を逸らして、裏で計画を進めていく。と同時に反体制派を油断させて1人残らず潰す。時間はない。一気にやるつもりだ。」


「ISMOには何と…」


「私が直接話す。それとワン博士に連絡を取ってくれ。全身整形の予約を取りたいとな。」そう言ってアキラはほくそ笑んだ。


 ******************************************************


 2133年9月

「驚きました。本当にすっかり別人ですね。」ヤマムラが驚嘆の言葉を口にした。


「ワン博士の腕は本物だな。」鏡に映った新しい顔をじっくり見つめながらアキラは言った。


「私はその顔好みじゃない。」カルテを確認しながらショウランが不機嫌そうに言った。


「…その事なんだが、こうして別人になってみると…何と言えばいいのか、顔なんてどうでも良いと思えるな。」ボソッとアキラは呟いた。


「いや。顔だけじゃない。この肉体そのものが、単なる容れ物の様に感じる様になったよ。」2人の方を振り向いて、しかし自分に言い聞かせる様にしてアキラは言った。


「何?哲学に目覚めた?」興味なさ気に返事するショウラン。


「分からん。ただ、心境の変化があった事は確かだ。私は以前の私とは違う。」


「それで…今後の予定は…?」ヤマムラが尋ねる。


「無論、今まで通りだ。エルバートン計画は予定通り2150年の打ち上げを目指して、粛々と推し進める。私ももう一介の一般人、ゼノン・アマミヤだ。以前より自由に動けるというもんだよ。」


「その名前、最悪!」ショウランが吐き捨てる。


「総理…あ!いや、アマミヤさん…わ、私の処遇は…」恐る恐るヤマムラが尋ねる。


「分かっている。お前も、お前の家族も搭乗名簿にもう載せている。結婚したばかりだろ。心配するな。」


「あ!ありがとうございます!」平伏するヤマムラ。


「よし!じゃあ手術の準備をしろ。」


「は?」


「は?じゃないよ。何故ワン博士がここにいると思うんだ。お前も全身整形を受けるんだよ。」


「え!ど、どうして!」


「そのままのお前が私に付き従っていたら怪しまれるだろうが。オザキは死んだんだ。お前も死ね。別人になるんだ。」


「そ、そんな…。」


「名前は…そうだな。ミラン・カシムでいこう。」


「何故っ?!」


「その名前、最悪!」


 *******************************************************


 2133年11月

「お呼びでしょうか。アマミヤ長官。」青い顔をしてトウコ・イノウエ博士が部屋に入ってきた。何を言われるのか覚悟している様な顔つきだった。


「まぁお座りください。」慇懃に椅子をすすめるとゼノンは話し出した。


「宇宙の熱的死が実際に観測されて8年。この危機を回避する為の、博士の提唱したハビタブル計画は非常に期待できるものでした。冷凍睡眠を利用して人類をバーナード星系へ脱出させるとは。


 一万年の長きに渡る旅の中で、技術の進歩を、テレポーテーションで先に送り込んでいたロボットを用いて自動的に発達させ、目的の星に辿り着く頃には高度な文明を手に入れた状態で新世界を築く。誠に素晴らしいアイデア。ですが。」ここで一息ついてトウコの顔色を伺う。彼女は更に青ざめていた。


「肝心の量子テレポーテーション。これの進捗が芳しくない様ですな。今日お呼びしたのは、大変申し上げにくいのですが、予算がオーバーしてしまったんですよ。他の事業を削らなければならなくなった。博士のこれまでの功績は賞賛に値するものでしたが、現実的に考えなければならない。博士。計画から外れてください。


 先代の長官は猶予期間を設けていた様ですが、それも終わりです。今後は残りの人員で開発を続けていきます。」


 言い終わってゼノンは、トウコの返事を待った。彼女の視線は彷徨っていた。が、しばらくして意を決したのか、ゼノンの目を真っ直ぐ見返すと震える声で話し始めた。


「そう言われると思っていました。おっしゃる通り量子テレポーテーションは壁にぶつかっています。いえ、停止性問題が発生してしまい、それ以上先に進めない状態に陥ってしまいました。クビになっても仕方ない。それは認めます。


 ですが、つい先日、全く新しい観点から、も、もっと別の方法で、もっとローコストで済むアイデアが生まれたんです。それを是非、試させて頂きたいんです。」


「博士。先ほども言いました様にもう既に予算オーバーなんですよ。ここに来てまた一からやり直し?話になりませんよ。」ゼノンは苦笑した。


「承知しています。しかしこれが実現すれば計画は確実に前倒しできます。更に搭乗人員数も大幅に増やせます。まずは草案だけでも聞いて頂けませんか。」


「貴女もしつこいな。仮にそうだったとしても我々にはそれを試す予算も時間もない。貴女が食い潰してしまったんだ。潔く身を引いてください。」無表情のまま、だが視線は鋭くゼノンは言った。


 それに対してトウコは、相変わらず震え声でこう返した。

「ハビタブル計画を遂行するにあたって私はあらゆる情報にアクセス出来る権限を預かりました。世界中の、ありとあらゆる情報、それは秘匿データでさえも同じでした。コンピュータに記録された膨大な情報に、私は全てアクセス出来たのです。」


「何の話ですかな?」


「ある日、私はとあるIDに関する秘匿データに偶然アクセスした事があったんです。」唾を飲み込んでからトウコは続けた。


「それは、日本の重要人物のIDを改ざんした内容でした。本当はまだ生きているのに、死亡届を出し、全くの別人になったという記録、そして、その人物が、実はISMOの長官として、極秘裏に反体制派の粛清を行なっているという、確かな証拠でした。」


「ほう。面白い。続けてください。」


「その人物は、ある計画に携わっています。その計画の名は『エルバートン計画』。ごく限られた一部の上級国民のみを地球から脱出させ、新天地において新世界を築く。選民思想に基づく、人口削減を行おうとしているのです。」


「で?その人物とは?」


「あなたです。オザキ総理。あなたは死んだフリをして邪魔者を排除し、選ばれた人間だけを連れて、新しい世界の支配者になろうとしている。こ、この事実を、国民が知ったら、一体どうなるでしょう。」


「うむ。大問題ですな。で、要求は?」


「わ、私をこのまま計画の一員として在籍させてください。…それだけです。」


「ふーむ。なるほど。流石はイノウエ博士だ。私がこの姿になったのは2ヶ月前です。それがまさかこんな短期間でバレてしまうとは。しかもエルバートンという言葉まで引き出した。天才の呼び名は伊達ではありませんでしたな。」


 感嘆の声を上げた後ゼノンは「ですが、私を脅迫するネタとしては少々弱い気もします。」机の上でスフィアホログラムを展開させながら言った。


「近頃ISMOのデータベースに妙な閲覧記録が見受けられるという報告が上がっていたんですよ。本来なら見過ごしてしまう様な、些細なバグ扱いで終わる所だったのですが、よくよく調べてみるとどうやら改ざんの跡がある。


 そこでもう少し詳しく調べてみた所、この記録は私を狙った自爆テロに関する情報に特に注意を向けているらしかった。


 私が実は生きていて、別人になりすましている事。それを手伝った者。その目的の解明。そして、この一連の動きを作った張本人である自爆テロを起こしたテロリストの正体。閲覧者はこのテロリストのIDを念入りに抹消していた。」ホログラムには1人の女性の姿が映っていた。


「ツギコ・イノウエ。反政府団体『バーニング・フラッグ』の構成員。そしてイノウエ博士。貴女の妹でもありますね。」トウコの顔面は今や完全に血の気が引いていた。


「貴女は貴女の保身の為、このテロリストが自分のたった1人の肉親であるという情報を全て抹消した。あらゆる情報にアクセス出来る権限を利用して。実行犯は全くの赤の他人であるかの様にデータベースを改ざんした。その中で、私の正体にも気づいたんですね。」


 それだけ言うとゼノンは徐ろにホログラムを閉じて『データ削除』のボタンを押した。


「さっきも言いましたが、この短期間で私の正体を見破るとは、全く大したものです。貴女の才能は本物だ。先程、先代の長官を話題にしましたが、実は私はクビにするには惜しい人材だと思ってはいるのですよ。」話の先が見えず、動揺を隠せないトウコを無視してゼノンは話し続ける。


「予算オーバーだと言いましたが、個人的には貴女の言う『別の方法』というものに大変興味がある。そこで、我々はお互いの弱みを握った訳だ。脅迫ではなく取引をしませんか?」意図を図りかねて黙ったままのトウコだったがゼノンは構わず続けた。


「結婚しましょう。」


 まるで「昼休憩にしましょう。」とでも言ったかの様なフラットな口調だった。


「貴女の身にもしもの事があれば、貴女が掴んだ秘密が暴露される。保身に敏感な貴女だ。それくらいの段取りは済ませてから今日、この場に来られたのでしょう。が、それは私も同じ事。これでは膠着状態だ。だったらお互い痛み分けという事にして歩み寄ってはいかがでしょうか。


 実を言うと私もこの姿になったは良いものの、バックボーンが薄すぎて、立ち居振る舞いに困っていた所なんですよ。それが『天才数学者イノウエ博士の夫』と言う事になれば、それだけで信用が増すでしょう?貴女も引き続き開発、研究に、以前よりも安定した環境で没頭できる訳だ。これぞウィンウィンというものです。いかがですか?」


******************************************************


 青ざめた顔のまま、トウコは部屋を出ていった。後ろ手に扉を閉める、その姿を見送りながらゼノンはナノフォンのスイッチを入れた。


「私だ。イノウエ博士の件は不問にする。うむ。任せてくれ。あれはまだ使える。それとな。結婚式場の予約を頼む。」


 ******************************************************


 2133年12月

「この様に、より設備の整った火星から『負のエネルギー』を放射する事で、地球周辺で人為的にビッグバウンスを起こし、広がりきったエネルギーを引き戻す。つまり宇宙の再生を始める事が出来るのです。私たちはこれを『マイクロエクピロシス』=『閉じた宇宙』と名付けています。」


 会議室ではもう2時間以上、エレナ・ローウェルのブリーフィングが続いていた。しかし、ゼノンの頭の中に彼女の言葉は一言も染み込んではいなかった。


 ただ、エレナの姿を見つめているばかりであった。


 そこにいるのはとても人間に見えなかった。容姿の美しさ等という抽象的な表現では言い表せない、既存の概念を超越したオーラ、魂の実存を醸し出している様に感じていた。


 確か彼女は長年イノウエ博士の助手として、公私共に付き従っているという話ではなかったか。前にも何度か会っているはずだが、これは一体どうした事か…どうしてこんなにも目が離せないのか。


 ゼノンは自身の感情が制御できていない事に狼狽えていた。


「何かご質問は?」ブリーフィングを終えてエレナが聞いた。

「生まれはどちらでしたか。」ゼノンは質問したが明らかに関係のない話であった。

「アリゾナ州、アメリカです。」しかし質問に答えるエレナ。

「イノウエ博士の元では何年助手をされていますか?」

「3年ほどになります。」

「なるほど。しかしお若いのに大した知見だ。以前お会いしているが覚えてらっしゃいますか?」

「はい。覚えております。」


 この様なやり取りがこれ以降、会議が終了するまで続き、計画に関する話題は一度も上がらなかった。周りにいる関係者は皆、呆気に取られていたがゼノンは一向に気にしていなかった。


 程なくして「エレナがゼノンの愛人になった。」という噂が広まる事になるが、事実はともかく、それすらもゼノンは気にしなかった。


 ただ、彼女が持つ独特の雰囲気は、何か自分の考え方に近しいものがあると感じながら、それを確かめる術がない事に、歯がゆい思いを募らせるばかりであった。


 *******************************************************


 2141年6月

「電力が慢性的に足りていません!計画が遅れる事もそうですが、セキュリティに穴ができる事の方が今は心配です!」


 方舟級宇宙船「ノアズアーク」建造中のスペースドックでマヌエルが、ロボットアームの音に負けない様、大声で報告している。

 アメリカは今、国民を二分した論争が巻き起こっていた。


 2ヶ月前に配信されたニュースサイトにおいて、そこの名物アンカー、マックス・ブレナンとゲストのトウコ・アマミヤ博士の対談が大きな波紋を呼んでいたのだ。


 テーマは「エクピロシス計画」。


 宇宙の熱的死が実際に観測され、地球が氷河期に突入する事が明らかとなった。これを回避する為、安全な火星から負のエネルギーを照射して、宇宙の再生を図る計画だったが、全ての人類を救うのではなく、ごく一部の選ばれた人間だけが地球を脱出して、この任に当たる。これが論争の種となっていたのだ。


 選抜対象から外れるであろう低所得者層、移民、難民からの反発が大きく、それはやがて抗議デモ、暴動、テロ行為へと発展していき、一部地域では宇宙船の発射予定地がリークされ襲撃されるという事件も起こっていた。


「電力供給はもう既に目一杯です。これ以上となると、交通システムか、通信システムか、いずれにしろどこか削る必要が生まれます!」サイズの合わないヘルメットを手で押さえながらミランも負けじと大きな声で返した。


「ナントカフラッグっていうテロ組織!あれを警戒してるんですが、奴らどういう訳か方舟の重要拠点をピンポイントで襲ってくるんですよ!全く手に負えません!」


 2人共、現場の視察に来たゼノンに話しかけていた。エクピロシス計画が人々の知る所となり、その途端、反体制派の動きが活発化した事を受けてゼノン自ら調査を始めていた。


「スパイの疑いは?」事務所に入ってやっと普通の声で喋れる様になったマヌエルは、ゼノンに聞いた。


「ない事はないが、それを一つずつ潰している猶予もなさそうだ。」鼻を鳴らして言う。


「どうされますか?」ミランが尋ねる。


「当てはある。電力を補充し、尚且つテロ組織を潰す。一石二鳥の方法だ。」


 *******************************************************


 2143年12月

「今年に入ってもう2000万人がホロウシェル化しています。おかげで戦争の勢いは衰えつつありますけどね。どっちが良いのやら。」マヌエルは資料を見ながら答えた。


 方舟の発射場を狙い撃ちする、非選抜者達の攻撃は日毎止む事はなかったが、決定的なダメージを与えるまでには至らなかった。


 それもこれも、大戦勃発を前後して発売された「バーチャルセイント2/バーチャルヘブン」を利用中のユーザーの大半が、大停電による「ホロウシェル」(意識転送の失敗による廃人化)で、ただでさえ人手不足な世界において、更に人口減少に拍車をかける事態となっていたからだった。


「反乱分子の炙り出し、電力の確保、そして食糧の確保。良い事ずくめじゃないか。」ゼノンは鼻を鳴らしていった。


「何度も言うが私は培養肉は食わん。」イブラヒムは納得いかない素振りで答えた。


「我々の真の目的は新しい世界を作る事にあります。そこをお間違えなく。」ゼノンはイブラヒムだけではなく、その場にいる全員に向かって言った。


 そこは完成したばかりの方舟級宇宙船ノアズアーク内に作られたエグゼクティブ・フロアの一室だった。ゼノンとイブラヒムの他、ワン・ショウラン、マヌエル・ロドリゲスが最終打ち合わせを行なっていた。


「実は計画の遂行にあたってもう1人、我々の仲間に迎え入れたい人物がいるのです。」ゼノンは皆に言った。


「トウコ・アマミヤ博士ですか!」マヌエルが目を輝かせながら言った。


「いや。リカレントセイント代表、ヨハン・アーカートです。」


「あの若造か?」相変わらず不機嫌そうなイブラヒム。他の者も戸惑いの表情を隠そうともせず、特にマヌエルの落胆ぶりは酷かった。


「そうです。と言うかもう既に迎え入れており、この船に乗り込んでいます。」


「何だってそんな勝手な事を!」ショウランが抗議する。


「彼の才能と求心力は我々にとって是が非でも取り込みたい、貴重な人材です。イブラヒムにご協力いただきブラックアウトを起こさせたのも、こちらの要求に対して彼が選択肢のない状態を作る為でした。


 目論見通り、大量のホロウシェルが生まれ、世論は彼を告発する流れになり、信者と批判者の論争は世界大戦を煽る動きに繋がった。暗殺を恐れた彼はやむなく船上の人となった訳だがこんなに手回しが上手くいった事は、私の経歴の中でもなかったかもしれない。


 ああ。言い忘れていましたが私もリカレントセイントに入信しましたよ。」ゼノンは淡々と述べた。マヌエルだけが目を剥いていた。


「ともかく。こうして準備は整った訳です。あとは満を侍して待つばかり。計画の前祝いといきましょう。」そう言ってゼノンは皆にワインを振る舞った。それはこの船の中で作られた初めてのワインだった。


「私は飲まん。再生水仕込みの酒など飲めたものじゃない。」腕組みしたままイブラヒムが答える。


「結構。では。我々の計画完遂と、新世界の誕生に!」そう言ってゼノンはグラスを掲げた。


 第十二話に続く


*今回の引用元「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」(1995年の映画)

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