エピローグ
生まれながら、人は平等ではない。
この目を背けてきた当たり前の事実に直面し、打ちひしがれたのは最近のことである。
そして今、嘗てない人生の分岐点に立たされている。
『選べ。このまま無能のまま一生を終えるか、自分自身で殻を破り生きていくのか。』
これは、平等ではない自分の運命に抗っていく物語である。
なぜそのような状況に身を置いているのか、それには5年前を振り返る必要がある。
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僕の名前はロスター。10歳になったところのお子様です!
今日は村の10歳になる歳のみんなが一斉に『魔力測定』を行うみたい。それに備えて昨日は早く寝たんだけど、中々寝付けなくてあんまり寝れてない。1人暮らしだから、誰にも起こしてもらうことも無く順調に朝は寝坊するのである。なので、親友との待ち合わせへの遅刻を自覚しながら玄関の扉を開けて外へ行き、朝日を浴びながら背伸びをしていた。
「おーい、ロスタ〜。早く行くぞ〜。」
気の良い挨拶と共に手を振って歩いてくる親友の名前はゼノ。おそらく、僕の遅刻癖を察知して家まできてくれたのだろう。同い年なのがこの親友だけなのもあり仲はすこぶる良い。
「早くしないと、遅れちゃうぞ〜。…まぁ、僕達だけなんだけどね。」
そう、この村。やたら小さく田舎のために同学年が僕とゼノのみで、他にいない。なので多少遅刻しても大丈夫だろうとたかを括っていたのもあり僕は今、少し余裕のある気分である。
「よし、行こうかゼノ!」
そう言って、2人で『魔力測定』の場所である教会へ向かって向かったのであった。
ほどなくして到着した教会。村民の総人口が限界集落と呼ばれるほどにまで少ないため、このような非日常的なイベントごとや行事などには総出で集まりたがる。
「あ、やっと来たな!この遅刻常習犯共!」
僕たちが教会に着くなり、こちらに気付いて腰に両手を置いて僕たちに遅刻を咎めた快活そうな修道服のオバ…お姉さんは、この教会の聖職者のラミさん。自称20歳の、実年齢35歳である。
「違いますよ。今日もいつも通り…」
「……あぁ、ロスターか。」
「そうです。」
すぐにチクるよ、ゼノ。まぁ間違いじゃないんだけどね。だって仕方ない、楽しみで仕方なかったんだから。『魔力測定』。
「はぁ、全く。ご両親が泣いてしまうわよ?遅刻ばかりしていたら。Aランクのギルド会員であるご両親のようにはなりたくないの?」
「へへッ。大丈夫だよ!もう村の成人にはゼノ以外誰にも1回だって負けないし!ゼノただって僕の方が勝ちが多いんだもん、魔力だって扱えるようになればAランクくらいすぐなれるよ!」
唯一、ゼノには6:4…、いや7:3で勝ち越してるし、自信がある!
「相変わらずだのぉ、ロスターよ。」
「あ、村長!お体に障りますからどうかお休みになられてください!」
そう言って近づいてきた、この村の村長さんである…あれ、村長さんの名前ってなんて言うんだっけ。……まぁいっか。そう言って近づいてきてラミさんが慌てて持ってきた椅子にゆっくり座る村長。
「のぉ、ロスターよ。お主は自分の魔力を扱えるようになったら今後どうする?両親がそうであったようにギルドの会員になるのかの?ゼノもじゃ、今後はどうするつもりじゃ?」
ゼノは少し考えるような素振りを見せていたが、僕はそこまで考えていることもなかったので、
「うーん、そうだね。両親とも顔も知らないけど、どうせなら親のAランクは超えたいなとは思ってるよ。」
と、答えた。ゼノはゼノで
「…僕はロスターよりも強くなりたい。何回やっても負けないくらい!」
ほほう〜。中々言ってくれるじゃない、親友?
双方の今後の展望を静かに聞いていた村長さんは一瞬、誰も気付かないようなほんの一瞬だけ目を細め思案したような顔つきになったすぐ直後に、
「ほっほっほ。目標が高ければ高いほど良いものじゃ。今後も励みなさい。」
と、何とも村長らしい声をかけた。
[定刻]
「さぁ、『魔力測定』を始めるわよ。ロスター、ゼノ。こっちに来なさい!」
「きたぞ、測定だ!どんな魔力なんだろう?」
「んー、戦闘の役に立ってくれる魔力なら嬉しいんだけど…。」
「そんな弱気になるなって!なんか出るだろ!僕は炎とかがいい!」
各々の希望を抱きながら。
いよいよ『魔力測定』が始まる。
初めまして、OTです( ᐙ )
何もノウハウが分からないまま始めた感じなので
到らない点がいっぱいだと思います!
感想や評価などよろしくお願いします( . .)"