量子力学みたいに、面白い、って言われたい!
初めての現代ものの作品です。よろしくお願い申し上げます。
「結果表出して。」
この声……抗えない。
「……酷いと凄いが混在してて、いっそ面白いね。規則性が在る数字の並び、と言えるかも。」
入学後初の中間考査結果表。
酷いは物理350人中333位。数学311位。
凄いは英語1位。国語、日本史3位。
入学した高校はかなりの進学校。
受験の時は英国社でほぼ満点を取り、数学と理科で何とか三割を取って合格をもぎ取った。
イケボで眼鏡なお隣さんのお陰。
彼は今年、難関国立大学の物理学科に指定校推薦で合格。
「私立文系最難関も可能。何故国立理系志望?親御さんも学費は心配無い、って……。」
「……量子力学、学びたいの。」
「……?」
「原子よりも小さい世界の力学。不思議だから。……面白いかなあ、って。」
……よし、眼鏡をずらせた。
きちんとネジを締めてるから滅多にずれないんだよね。
目つきが悪い事を気にしてるからコンタクトにはしない。可愛い所もある。
「……不思議だから、か。それに、面白い、と。」
興味、持った?
「……良いね。」
不思議なのも、量子力学に興味を持ったのも本当。
でも、一番不思議なのは。
大好きなのに、私の気持ちが分からない人。
「理系の人はね、興味を持たせるの!不思議、とか面白い、とか!」
文系一桁順位理系三桁順位にも拘わらず国立大学志望の母の大学受験を心配した私の祖父母が頼んだ家庭教師が父。
契機は一冊の本。
父が当時の交際相手に勧められ、良さが分からず溢した所、自分と違う部分を楽しめと伝えた母。
目から鱗が落ちたらしい父。
何とか合格、の母に
「おめでとうございます。」
父が渡した例の本。
デリカシーが無い、と言った母に。
「……僕が購入を。交際は解消済です。傍に居るとこの本を面白いと感じられる方が現れたので交際を停止希望、と。」
……何それ。だと思う。
頬には酷い痣。
「歯には当たらない様に避けました。僕は面白味がありませんが、貴女といると面白い人になれるかも知れません。……宜しくお願いします。」
だから、興味を持たせたら勝ち!らしい。
「……どうかした?」
「何でもない!」
興味を持たせたのは、今は私の進路。
待っててね。
必ず、私を面白い、って言わせるんだから!
読了ありがとうございます。ラブコメ未満のお話でした。前向きな主人公と眼鏡なイケボお兄さん、楽しんでお読み頂けましたら嬉しいです。よろしければブクマ、評価、いいね、評価のお星様⭐等をよろしくお願い申し上げます。